冬になって届いた電気代の知らせを見ると、秋までの倍近くになっていて、思わず二度見します。暖房を我慢しようと厚着で過ごしてみたものの、寒さで何も手につかず、結局はスイッチを入れることになります。
電気代を減らすために、寒さを我慢する必要はありません。暖房の使い方には、暖かさを大きく変えずに、使う電気を減らせる所がいくつかあります。
減らせる金額は、部屋や機種によって変わります。秋までと同じ暮らし方をしているつもりでも、冬は電気を使う理由が増えています。
冬に電気代が上がる理由
冬の電気代が高くなるいちばんの理由は、暖房です。夏の冷房よりも、冬の暖房のほうが、電気を多く使いやすくなります。
理由は、外と部屋の中の温度の差にあります。夏は、外が35℃で部屋を28℃にするなら、差は7℃です。冬は、外が5℃で部屋を20℃にするなら、差は15℃になります。温度の差が大きいほど、エアコンは多くの電気を使います。
そのほかにも、冬は次のような理由で、電気を使う量が増えます。
- 日が短く、照明をつけている時間が長くなる
- 家で過ごす時間が長くなる
- 水が冷たくなり、お湯を沸かすのに多くのエネルギーが要る(給湯に電気を使っている場合)
- 電気毛布、電気ストーブ、加湿器など、冬だけ使う器具が増える
総務省の家計調査(2025年)では、一人暮らしで働いている人の電気代は、1年を通した平均で月に6,033円でした。これは年間の平均なので、暖房を使う月は、この金額より高くなるのがふつうです。
まず、自分の使用量を確かめる
節約を始める前に、自分がどのくらい電気を使っているかを確かめます。見るのは、金額ではなく「使用量」です。使用量は「kWh(キロワットアワー)」という単位で書かれています。
- 電力会社の会員ページやアプリを開く(紙の検針票が届かない契約が増えています)
- 今月と先月、できれば去年の同じ月の使用量(kWh)を見比べる
- 1日ごと、1時間ごとの使用量が見られる場合は、どの時間帯に多く使っているかを見る
金額は、電気の単価が変わると上下します。使用量を見ておくと、自分の使い方が変わったのかどうかを、正しくつかめます。
毎月の電気代を記録しておくと、見直しの効果が分かりやすくなります。支出の記録に使える家計簿アプリは、次の記事で比べています。

エアコン暖房の3つの見直し
エアコンは、外の空気の熱を集めて部屋に運ぶ「ヒートポンプ」という仕組みで動いています。この仕組みに合った使い方をすると、少ない電気で暖められます。
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、エアコンの暖房について、次の3つの行動と、その節約額の試算を紹介しています。

| 見直すこと | 1年間の省エネ量 | 節約額の目安 |
|---|---|---|
| 設定温度を21℃から20℃に下げる | 53.08kWh | 約1,650円 |
| 暖房を1日1時間短くする | 40.73kWh | 約1,260円 |
| フィルターを月に1〜2回掃除する | 31.95kWh | 約990円 |
出典: 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約」。2.2kWのエアコン(おもに6畳用)を使った試算。設定温度の項目は、外の気温が6℃で、1日9時間使った場合。
この金額は、決まった条件での試算です。部屋の広さ、建物の造り、住んでいる地域、エアコンの機種、電気の単価によって変わります。「このくらい減らせることがある」という目安として見てください。
1. 設定温度は、20℃を目安にする
資源エネルギー庁は、冬の暖房時の室温の目安を20℃としています。ここでいう20℃は、リモコンの設定温度ではなく、部屋の温度のことです。
部屋の造りやエアコンの位置によっては、設定を20℃にしても、部屋が20℃にならないことがあります。温度計を1つ置いて、自分のいる場所の温度を確かめながら、設定を調節します。
設定を1℃下げて寒く感じるときは、上に1枚羽織る、ひざ掛けを使う、といった工夫を組み合わせます。同庁も、設定温度を上げる前に、着る物を工夫することをすすめています。
2. 使う時間を、少しだけ短くする
暖房を1日1時間短くするだけでも、1年では差が出ます。
- 出かける前、寝る前は、少し早めに切る(部屋の温度は、すぐには下がりません)
- 起きる時間に合わせて、タイマーで入れる(寒さがつらくて布団から出られず、暖房をつけたまま長く過ごす、ということを防げます)
- 使っていない部屋の暖房は切る
「エアコンは、つけたままのほうが安い」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは、部屋の造り、外の気温、留守にする時間の長さによって変わります。短い外出なら、つけたままのほうが使う電気が少なくて済むことがあり、長く留守にするなら、切ったほうが少なくて済みます。迷うときは、会員ページで1日ごとの使用量を見ながら、自分の部屋で試してみるのが確かです。
3. フィルターを月に1〜2回掃除する
フィルターにほこりがたまると、空気の通りが悪くなり、同じ暖かさにするために多くの電気を使います。資源エネルギー庁は、月に1回か2回の掃除をすすめています。
- エアコンの前のふたを開けて、フィルターを外す
- 掃除機でほこりを吸い取る。汚れがひどいときは、水で洗い、よく乾かしてから戻す
- 掃除の前に、運転を止めてコンセントを抜く
エアコンの内部の洗浄は、自分でやらず、知識のある事業者に頼みましょう。同庁も、知識のない人が内部を洗うと、故障の原因になることがあると注意しています。
暖かい空気を逃がさない・回す
エアコンの使い方とあわせて、部屋の中の暖かさを保つ工夫をすると、設定温度を上げずに済みます。

窓から逃がさない
部屋の中で、熱の出入りがいちばん大きいのは窓です。
- 暗くなる前に、カーテンを閉める
- カーテンは、厚手で、床に届く長さの物にする
- 窓やドアのすき間から風が入るときは、すき間テープでふさぐ
暖かい空気を、下に回す
暖かい空気は軽いので、天井の近くにたまります。頭のあたりは暖かいのに、足元が寒いのは、このためです。
- エアコンの風の向きを、下向きにする
- サーキュレーターや扇風機を、天井に向けて回し、上にたまった暖かい空気を動かす
資源エネルギー庁の冬の省エネの案内でも、扇風機やサーキュレーターで暖かい空気を循環させることが挙げられています。
アイリスオーヤマの PCF-HD15EC は、適用床面積の目安が8畳のサーキュレーターで、左右には自動で首を振り、風量は3段階で切り替えます。「マカロンタイプ」と「ノーマルタイプ」の2つの形があるので、注文するときは型番で見分けます。
加湿する
空気が乾いていると、同じ温度でも寒く感じやすくなります。洗濯物を部屋に干す、加湿器を使う、といった方法で湿り気を足すと、暖かく感じやすくなります。加湿しすぎると、窓の結露やカビのもとになるので、窓がびっしょり濡れるようなら控えてください。
室外機のまわりをふさがない
エアコンは、外に置かれた室外機で、外の空気から熱を集めています。室外機の吹き出し口の前に物を置くと、働きが悪くなります。ベランダに物を置いている人は、室外機の前が空いているかを見ておいてください。
体のそばを暖める
部屋全体を暖めるより、体のそばだけを暖めるほうが、使う電気は少なくて済みます。エアコンの設定を控えめにして、体のそばを暖める物を組み合わせる方法です。
- 重ね着をする。首・手首・足首を冷やさない
- ひざ掛けや、羽織って着る毛布を使う
- 電気毛布を、ひざ掛けや敷き毛布として使う
- 厚手の靴下やルームシューズを履く
電気毛布は、体に近い所を暖めるので、部屋全体を暖める暖房に比べて、消費電力が小さいのが特長です。ただし、寝ている間に長い時間使い続けると、低温やけどのおそれがあります。寝る前に布団を暖めておき、寝るときには切るか、いちばん低い温度にしましょう。
寝るときに下げる「いちばん低い温度」は、椙山紡織の SB-S103 なら「弱」で、表面温度は約23℃です。「中」は約36℃、「強」は約52℃です。約140×80cmの日本製の電気敷毛布で、消し忘れを防ぐタイマーも付いています。
平日の1日に当てはめた使い方の例
ここまでの工夫を、日中は仕事で家を空ける一人暮らしの1日に当てはめると、次のようになります。時間は一例なので、自分の生活に合わせて動かしてください。

- 朝: 起きる30分前に、タイマーで暖房を入れる。カーテンを開けて、日の光を入れる
- 出かける前: 家を出る15分ほど前に暖房を切る。長く留守にする日は、つけたままにしない
- 帰ってきたら: まずカーテンを閉めてから、暖房を入れる。部屋が暖まるまでは、上着を1枚羽織って過ごす
- 夜: 部屋が暖まったら、設定を1℃下げてみる。座る場所では、ひざ掛けや電気毛布を使う
- 寝る前: 布団を暖めておき、寝る15分ほど前に暖房を切る
月に1〜2回、休みの日にフィルターの掃除を入れれば、3つの見直しがそろいます。
暖房のほかに見直せる所
暖房ほどではありませんが、冬に増えやすい電気は、ほかにもあります。
- 照明: 使っていない部屋の照明を消す。古い電球を使っているなら、LEDに替える
- お湯: 電気でお湯を沸かしている場合は、シャワーを出したままにしない。電気ポットで長い時間保温せず、使う分だけ沸かす
- 冷蔵庫: 冬は、設定を「強」から「中」に変えられないか確かめる。物を詰め込みすぎない
- 暖房便座: ふたを閉める。便座と洗浄水の温度を、低めに設定する
- 使っていない器具: 長く使わない物は、コンセントから抜く
全部をやろうとすると、続きません。暖房の3つの見直しを先に試し、余裕があれば、ここから1つ足すくらいで十分です。
契約の見直しは、使い方とは別に考える
ここまでは、電気の「使い方」の話でした。電気代を減らす方法には、もう1つ、電力会社や料金プランを見直すという「契約」の方法があります。
契約の見直しは、一度手続きをすれば、そのあとは何もしなくても効果が続くのが利点です。賃貸の部屋でも、自分で電力会社と契約している場合は、切り替えられることがあります。見直しの順番と確かめる点は、次の記事で紹介しています。

いくつかの電力会社を並べて比べるなら、エネピのような比較サービスを使う方法もあります。郵便番号や毎月の電気代などを入力すると、料金のシミュレーションができます。
我慢しすぎないために
電気代を気にするあまり、寒さを我慢しすぎると、体調をくずすことがあります。
- 寒くて眠れない、手がかじかんで動かない、というときは、迷わず暖房を使う
- 体調が悪い日、特に冷え込む日は、節約を休む
- 暖かい部屋と、寒い廊下・脱衣所・トイレとの温度の差が大きいと、体に負担がかかります。寒い場所へ行くときは、1枚羽織る
節約は、暮らしを楽にするための手段で、寒さに耐えること自体が目的ではありません。
まとめ
冬の電気代を押し上げているのは、外と部屋の温度の差を埋める暖房です。室温20℃を目安にする、使う時間を少し短くする、フィルターを掃除する、の3つに、窓から熱を逃がさない工夫と体のそばを暖める物を組み合わせると、寒さを我慢しなくても使う電気を減らしやすくなります。
設定温度を決めるときの目安は、リモコンの数字ではなく、温度計で見た自分のいる場所の室温です。

