冬の検針票を見て、ガス代が夏よりずっと高くなっていることに驚く。お風呂に入る回数も、料理の回数も、夏とそれほど変わらないはずなのに。寒い季節は、シャワーを浴びる時間が長くなり、お湯の温度も上げがちです。
ガス代は、電気代に比べると、どこで使っているのかが見えにくい出費です。けれども、ガスが何に使われているのかが分かれば、がまんを増やさなくても、減らせる所が見つけやすくなります。
家の中でガスを使う場所は、実はそれほど多くありません。
ガスは、ほとんど「お湯を作るため」に使っている
ガス代を減らす手がかりは、家のどこでガスを燃やしているかです。使う場所と冬に増える理由が分かると、平均の金額やガスの種類の違いも、自分の検針票と比べながら読めます。
ガスを使う場所は3つ
家庭でガスを使う場所は、大きく分けて3つです。
- 給湯: お風呂、シャワー、洗面所や台所のお湯
- 台所: ガスコンロ
- 暖房: ガスファンヒーターなど(使っている家だけ)
ガスコンロを使うのは、料理をしている間だけです。一方、給湯器は、蛇口やシャワーからお湯を出すたびに、水を温めるためにガスを燃やしています。お湯を使う量が増えれば、それだけガスを使います。
冬にガス代が上がる理由
冬は、水道の水そのものが冷たくなります。同じ40℃のお湯を作るのにも、冷たい水から温めるほうが、多くのガスが要ります。そこに、次のような使い方の変化が重なります。
- シャワーを浴びる時間が長くなる
- お湯の設定温度を上げる
- 湯船にお湯をためる日が増える
- 食器洗いや洗顔に、お湯を使うようになる
つまり、冬のガス代を見直すなら、目を向ける先は「お湯」です。
一人暮らしのガス代の平均
総務省の「家計調査」(2025年)によると、単身世帯のうち、会社員などの勤労者世帯の1か月のガス代は、平均2,829円でした。同じ調査で、電気代は平均6,033円です。
これは1年を通した平均です。冬はこれより高く、夏は低くなります。また、住んでいる地域や、次に説明するガスの種類によっても変わります。自分の検針票と比べるときは、同じ月の、前の年の金額と比べるのが確実です。
都市ガスとプロパンガス
家庭のガスには、都市ガスと、プロパンガス(LPガス)があります。どちらを使っているかは、検針票や、ガス会社からの請求の案内で分かります。
2つは、料金の決まり方も、1m³あたりの単価も違います。この記事で紹介する節約額の試算は、都市ガスの平均的な単価(1m³あたり162円)で計算されたものです。プロパンガスの家では、金額は変わります。「使うガスの量が減る」という点は同じなので、金額は目安として見てください。
まず、自分の使用量を確かめる
見直しの前に、検針票(または、ガス会社の会員ページ)で、次の2つを確かめます。
- 使用量(m³): その月に使ったガスの量
- 前の年の同じ月の使用量: 載っていれば、比べます
金額は、ガスの単価が変わると上下します。使い方を変えた結果を見るには、金額ではなく、使用量(m³)で比べるのがおすすめです。
毎月の光熱費を記録しておくと、季節ごとの変化が分かります。家計簿アプリで記録する方法は、次の記事で紹介しています。

お風呂: 追い焚きとシャワーを見直す
ガス代の見直しで、効果が出やすいのがお風呂です。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、お風呂の省エネとして、次のような行動と、節約額の試算を紹介しています。

間隔をあけずに入り、追い焚きを減らす
湯船のお湯は、時間がたつと冷めます。冷めたお湯を温め直す「追い焚き」には、ガスを使います。
同サイトの試算では、2時間置いて4.5℃下がったお湯(200L)を、1日1回追い焚きする場合と比べて、間隔をあけずに入ると、年間でガス38.20m³の省エネ、約6,190円の節約になります。
- 家族がいる場合は、続けて入る
- 一人暮らしなら、お湯をためたら、冷めないうちに入る
- 入っていない間は、必ずフタをする(フタをしないと、お湯の熱がどんどん逃げます)
同サイトは、浴槽に水をためてから沸かすよりも、お湯をためるほうが省エネにつながる、とも案内しています。
オーエのアルミ保温シートは、両面がアルミの発泡ポリエチレンのシートで、大きさは約70×120cm、厚さは約0.4cmです。浴槽の形に合わせてはさみで切れるので、先に浴槽の内側の寸法を測っておきます。風呂ふたと重ねて使うと、保温の効果を高める助けになります。
シャワーを流したままにしない
同サイトによると、シャワーを1分間使うと、12Lのお湯が流れます。45℃のお湯を流す時間を、1日1分短くした場合の試算は、次のとおりです。
- ガス: 年間で12.78m³の省エネ、約2,070円の節約
- 水道: 年間で4.38m³の節水、約1,140円の節約
- 合わせて、約3,210円の節約
シャワーは、ガス代だけでなく、水道代にも関わります。
- 髪や体を洗っている間は、シャワーを止める
- お湯が出るまでの水を、流しっぱなしにしない
- 手元で止められるシャワーヘッドに替える方法もある
水道代の見直し方は、次の記事で紹介しています。

アラミックのプロプレミアム ST-X3BA は、手元のボタンでシャワーを止められる日本製のシャワーヘッドで、水流をハードとソフトに切り替えられます。バランス釜のお風呂には使えません。手元で止めて出し直したときに一時的に冷たい水が出ることがありますが、これは給湯器の仕組みによるものです。
シャワーヘッドを替えるときは、自分の家のシャワーのホースに付けられるかを、商品の説明で確かめてください。賃貸の部屋では、元のシャワーヘッドを取っておき、退去のときに戻します。
湯船とシャワー、どちらが少なくて済む?
これは、シャワーを使う時間と、浴槽の大きさで変わります。
省エネポータルサイトは、家族4人が4分ずつシャワーを使うと、浴槽1杯分とほぼ同じ量になる、と説明しています。1分で12Lなので、4分で48L、16分で約190Lです。
一人暮らしで、シャワーが10分なら、使うお湯は約120Lです。湯船にお湯をためて、さらにシャワーも使えば、その分が足されます。短いシャワーだけの日はお湯が少なく、湯船にためる日は多くなる、と考えると分かりやすいでしょう。
寒い日に湯船で温まることには、ガス代では測れないよさがあります。「毎日ためる」か「まったくためない」かではなく、ためる日を決める、ためる量を少し減らす、という調節もできます。

給湯器の設定を見直す
お風呂の入り方を変えなくても、給湯器のリモコンの設定だけで減らせる分があります。
- お湯の設定温度を、必要以上に高くしない(高い温度のお湯を水で薄めて使っているなら、設定を下げられます)
- 使わないときは、リモコンのスイッチを切る(省エネポータルサイトの案内)
- 自動でお湯の温度を保つ機能は、入る時間が決まっていないときは切っておく
設定の方法は、給湯器の種類によって違います。リモコンの表示や、取扱説明書で確かめてください。
台所: 食器洗いとコンロを見直す
台所のガスは、食器洗いのお湯とコンロの火の2か所で使っています。どちらも、道具を買い替えずに、温度と火の大きさを変えるところから手をつけられます。
食器洗いのお湯は、低めの温度で
冬は、食器洗いにもお湯を使います。省エネポータルサイトの試算では、給湯器の設定温度を40℃から38℃に下げて食器を洗うと、年間でガス8.80m³の省エネ、約1,430円の節約になります。1回に65Lの水(水温20℃)を使い、1日2回、手で洗った場合の試算です。
同サイトは、「ため洗い」もすすめています。
- お湯を出しっぱなしにしない
- 洗う前に、食器を水につけておく
- 油汚れは、いらない布やへらで拭き取ってから洗う
手荒れが気になってお湯を使っている人は、ゴム手袋を使うと、低めの温度や水でも洗いやすくなります。
一例として、内側が起毛になったポリ塩化ビニル製のロング手袋があり、3色がセットになっています。袖口が広いタイプ(16×42.5cm)と袖口を絞ったタイプ(14×48.5cm)があり、長さも違うため、注文のときにどちらかを選びます。
コンロは、炎を鍋の底からはみ出させない
鍋の底からはみ出した炎は、鍋を温めずに、まわりの空気を温めています。省エネポータルサイトの試算では、水1L(20℃ほど)を沸かすとき、強火から中火にすると、1日3回で、年間でガス2.38m³の省エネ、約390円の節約になります。
金額は小さいものの、すぐにできることです。同サイトは、次の点も挙げています。
- 鍋の底の水滴を拭き取ってから、火にかける
- 底の平たい鍋ややかんを使う
- 火をつけるのは、鍋をのせてから
お湯を沸かすときは、必要な量だけを入れ、フタをして沸かしましょう。
容量2.5Lのステンレス製で、ガスの火のほか、IH(200V・100V)でも使えるのが、貝印のシェフトロン笛吹きケトルです。本体の大きさは約196×230×170mm。笛を鳴らすために、フタは少しきつめに作られています。
暖房: ガスファンヒーターを使っている場合
ガスファンヒーターを使っている家では、暖房もガス代に関わります。省エネポータルサイトの試算では、設定温度を21℃から20℃に下げると、約1,320円の節約になります。外の気温が6℃で、1日9時間使った場合の試算です。
- 設定温度を上げる前に、着る物やひざ掛けで調節する
- 出かける前や寝る前は、15分くらい前に切る
- 換気は、取扱説明書の案内のとおりに行う
エアコンでの暖房を中心にしている人は、ガスではなく電気の見直しになります。
エアコンでの暖房の見直しは、次の記事で紹介しています。

着る毛布なら、LOWYA のグルーニーがあります。ポリエステル製で、丈はショート(幅65×奥行135cm)とミドル(幅70×奥行145cm)から選べます。洗濯機で洗える一方、着たまま火を扱うのには向かないので、ガスコンロの前に立つときは脱いでおきます。
契約の見直しは、使い方とは別に考える
ここまでは、使う量を減らす方法でした。もう1つ、料金の決まり方そのものを見直す方法があります。
都市ガスは、ガス会社を選べる地域があります。一方、プロパンガスは、賃貸の部屋では大家さんや管理会社がガス会社を決めていることが多く、住んでいる人が自分で切り替えるのは難しい場合があります。
契約の見直しは、今の料金と使用量を確かめたうえで、落ち着いて比べるものです。電気やガス、通信などの固定費を見直す順番は、次の記事で紹介しています。

ガス料金を比べるときは、エネピのような比較サービスを使う方法もあります。電気とガスの料金を比べられるサービスで、都市ガスとプロパンガスのどちらも扱っています。
一人暮らしで続けやすい順番
全部を一度に始めると、続きません。手間が少なく、がまんの少ない順に並べると、次のようになります。
- 給湯器のリモコンを、使わないときは切る(今日からできます)
- シャワーを、洗っている間は止める
- 食器洗いのお湯の温度を、少し下げる
- 湯船にためる日は、冷めないうちに入り、フタをする
- コンロの炎を、鍋の底に合わせる

1つ始めたら、次の月の検針票で、使用量(m³)を前の年の同じ月と比べてみてください。数字が減っていれば、続ける励みになります。
平日の1日に当てはめた例
ここまでの見直しを、一人暮らしの平日に当てはめると、次のようになります。
- 朝: 顔を洗うお湯は、出しっぱなしにしない。出かける前に、給湯器のリモコンを切る
- 夜、帰ってから: 料理のときは、鍋の底の水滴を拭き、炎を鍋の底に合わせる。お湯は、必要な量だけ沸かす
- 食事のあと: 食器は、汚れを拭き取ってから、ため洗いにする。お湯の温度は低めにする
- お風呂: 湯船にためる日は、ためたらすぐに入り、出るまでフタを使う。シャワーの日は、洗っている間は止める
- 寝る前: 給湯器のリモコンを切る
どれも、1つずつは小さなことです。ただ、お湯は毎日使うものなので、1年を通すと差になります。全部を守ろうとせず、自分の暮らしに合うものを選んでください。
がまんしすぎないために
節約のために、寒い浴室で震えながら短いシャワーを浴びる、というのは長続きしません。体を冷やして体調を崩しては、元も子もありません。
- 寒い日は、湯船で温まる日にする
- お湯の温度を下げすぎない
- 続けられないことは、やめてよい
減らすのは「むだに流しているお湯」と「冷ましてしまう熱」であって、温まる時間そのものではありません。
まとめ
冬のガス代を押し上げているのは、冷たい水から作るお湯です。記事の節約額は都市ガスの単価で出した試算の目安なので、効果は金額ではなく検針票の使用量(m³)で見ると、ガスの種類にかかわらず比べられます。
最初の1つは、給湯器のリモコンです。今夜お風呂から上がったら、その場でリモコンのスイッチを切ってから寝てください。

