給料日前になると、財布の中を見てため息が出る。家計簿アプリを開くと、食費の欄だけが思ったよりふくらんでいる。自炊を増やそうと食材を買ったのに、忙しくて使い切れず、結局は捨ててしまった。食費の節約は、やる気だけでは続きにくいものです。
食費は、毎日のことだからこそ、我慢を重ねるやり方は長続きしません。それより、「何に使っているか」を分けて見て、手間の少ない所から変えていくほうが、無理なく減らせます。
自分の食費が多いのか少ないのかが分からないと、どこまで減らせばよいのかも決められません。では、一人暮らしの人は、食費に月いくら使っているのでしょうか。
一人暮らしの食費の平均は、月に約4.6万円
総務省の「家計調査」(2025年)によると、一人暮らしで働いている人(単身世帯のうち勤労者世帯)の食費は、1か月の平均で45,787円でした。1日あたりにすると、約1,500円です。
| 費目 | 1か月の平均 | 支出全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 支出の合計(消費支出) | 191,523円 | 100% |
| 食費(食料) | 45,787円 | 23.9% |
| うち外食 | 13,817円 | 7.2% |
| うち調理食品(弁当・総菜・冷凍食品など) | 8,662円 | 4.5% |
| うち菓子類 | 4,038円 | 2.1% |
| うち飲料 | 3,884円 | 2.0% |
| うち酒類 | 2,069円 | 1.1% |
出典: 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 2025年」。単身世帯のうち勤労者世帯(平均年齢43.3歳)の1か月平均。
この数字を見るときに、気をつけたい点が2つあります。
1つ目は、これが平均だということです。住んでいる地域、年齢、収入、仕事の形によって、食費は大きく変わります。平均より多いからといって、使いすぎとは限りません。
2つ目は、調べる対象によって数字が変わることです。高齢の人を含む一人暮らし全体(平均年齢58.6歳)では、食費は44,659円、外食は9,761円でした。働いている人のほうが、外食に使う金額が多い傾向が見られます。
平均は、「これより多ければ減らす」という基準ではなく、自分の食費の中身を見るための物差しとして見てください。
食費は3つに分けて見る
食費を見直すときは、合計の金額だけを見ても、手の打ちようがありません。次の3つに分けると、どこに手を入れればよいかが見えてきます。
- 外食: 店で食べる食事、飲み会など
- 弁当・総菜など: コンビニやスーパーの弁当、総菜、冷凍食品など、買ってそのまま食べる物
- そのほか: 自炊の食材、飲み物、菓子、酒など

家計調査の数字では、外食と調理食品を合わせると約22,500円で、食費のほぼ半分でした。働きながらの一人暮らしでは、作る時間が取れない分、外で食べたり買って帰ったりする割合が高くなっていることがうかがえます。
自分の食費も、同じ3つに分けてみましょう。家計簿アプリを使っている人は、1か月分の記録を見直します。記録がない人は、1週間だけ、レシートを取っておくか、スマートフォンで写真に撮っておくだけでもかまいません。キャッシュレスで払っている人は、決済アプリの利用履歴を見るだけでも分かります。
家計簿アプリの選び方は、ここでは扱いません。大切なのは、きれいに記録することではなく、「外食」「買って食べる物」「そのほか」のどれが多いかをつかむことです。
無理なく見直せる4つの順番
3つに分けたら、次の順番で見直します。上にあるものほど、手間が少なく、暮らしを変えずに取り組めます。

1. 飲み物と菓子を「ついで買い」しない
家計調査では、飲料と菓子類を合わせて、月に約7,900円でした。1回の金額は小さくても、毎日のように買うと、まとまった金額になります。
- 水筒やマグボトルに、家で入れた飲み物を持って行く
- 職場や学校に、ティーバッグやインスタントコーヒーを置いておく
- コンビニに寄る回数そのものを減らす(寄ると、予定になかった物も買いやすくなります)
- 菓子は、食べたいときにその都度買うのではなく、週に一度まとめて買う
全部をやめる必要はありません。「毎日買っていた飲み物を、週に3日は持って行く」くらいから始めると、続けやすくなります。
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2. 外食は「回数」で決める
外食は、食費の中で金額が大きくなりやすい所です。ただ、人と会う楽しみや、疲れた日の助けでもあります。なくすのではなく、回数を先に決めておきます。
- 「昼の外食は週に2回まで」「飲み会は月に2回まで」のように、回数で上限を決める
- 何となく入る外食(帰りが遅くなった日、献立を考えるのが面倒な日)を、家にある物で済ませる日に置き換える
- 外食をする日は、その日に使う金額の上限を決めておく
何となく入る外食を減らすには、「家に帰ればすぐ食べられる物がある」状態にしておくことが助けになります。冷凍のうどんやごはん、卵、納豆、冷凍の野菜などを切らさないようにしておくと、外で食べる理由が1つ減ります。
3. 弁当・総菜は「全部を買わない」
弁当や総菜を買うのをやめて、すべて自炊に切り替えるのは、忙しい人には負担が大きすぎます。おすすめは、一部だけを家で用意する方法です。
- ごはんだけ家で炊く: まとめて炊いて、1食分ずつ冷凍しておきます。総菜だけを買えば、弁当を買うより安く済むことがあります
- 主菜だけ買う: 揚げ物や焼き魚などの主菜は買い、みそ汁や野菜は家で用意します
- 昼の弁当を、週に1〜2回だけ持って行く: 前の日の夕食を多めに作り、取り分けておきます
週末に時間が取れる人は、作り置きをしておくと、平日に買って帰る回数を減らせます。無理なく始める方法は、次の記事で紹介しています。

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4. 買った食材を捨てない
節約のために食材をまとめて買ったのに、使い切れずに捨ててしまう。これは、払ったお金をそのまま捨てているのと同じです。
環境省の発表によると、2024年度に日本で出た食品ロス(まだ食べられるのに捨てられた食品)は約461万トンで、そのうち約224万トンが家庭から出たものでした。消費者庁は、同じ年度の食品ロスによる経済的な損失を、国民1人あたり年間31,097円と推計しています。これは家庭と事業者を合わせた金額で、減らした分がすべて家計に戻るわけではありませんが、決して小さくない金額です。
家庭から出る食品ロスの主な原因は、食べ残し、手をつけないまま捨てること、皮を厚くむきすぎることなどとされています。一人暮らしで特に起こりやすいのは、買ったことを忘れて、手をつけないまま期限が切れることだと思います。
- 買い物の前に、冷蔵庫の中を見る(スマートフォンで写真を撮っておくと、店で確かめられます)
- 使い切れる量だけ買う。大きな袋のほうが割安でも、捨てれば高くつきます
- 買ってきたら、すぐ使わない肉や魚は、その日のうちに冷凍する
- 冷蔵庫の手前に、先に使う物を置く
冷蔵庫の中を見やすく整える方法は、次の記事で紹介しています。

食品に書かれている期限には、2つの種類があります。「消費期限」は、安全に食べられる期限です。弁当や生の肉など、傷みやすい食品に付いています。「賞味期限」は、おいしく食べられる期限です。過ぎたらすぐに食べられなくなるわけではありませんが、保存のしかたを守り、早めに食べきると安心です。
買い物のしかたを決めておく
見直す所が決まったら、買い物のしかたにも決まりを作っておくと、元に戻りにくくなります。

1週間の予算で考える
1か月の予算だけを決めると、月の前半に使いすぎて、後半が苦しくなりがちです。1か月の食費を4〜5週に分け、1週間ごとの予算にすると、使いすぎに早く気づけます。
例えば、食材と日用の食品に使う分を週に5,000円と決め、その分だけを別の財布や、決済アプリの残高に入れておく方法があります。金額は、自分の今の食費から少しだけ下げた所に置くと、無理がありません。
買い物の回数を減らす
店に行く回数が多いほど、予定になかった物を買う機会も増えます。買い物を週に1〜2回にまとめ、行く前に「買う物」を書き出しておきます。
空腹のときに買い物をすると、あれもこれも欲しくなります。食事のあとに行くか、帰り道に寄るなら、買う物を決めてから店に入るようにします。
「安いから買う」をやめる
特売やまとめ買いは、使い切れるなら得になります。使い切れないなら、損になります。安さではなく、「今週、これを何回食べるか」で決めるようにしましょう。
調味料も同じです。新しい料理のために買った調味料が、一度使ったきり残っている、ということはないでしょうか。まずは、しょうゆ、みそ、塩、砂糖、油など、何にでも使える物だけでそろえると、むだが出にくくなります。
自炊は「全部」でなくてよい
食費の節約というと、「毎日自炊をする」ことを思い浮かべるかもしれません。けれども、一人分の料理は、食材を使い切りにくく、道具や調味料もそろえる必要があります。慣れないうちは、かえって高くつくこともあります。
続けやすいのは、次のような「半分だけ自炊」です。
- 朝は、パンやごはんと、卵・納豆・ヨーグルトなど、切らずに食べられる物で済ませる
- 夜は、ごはんとみそ汁だけ作り、主菜は買ってくる日があってもよい
- 鍋や丼など、1つの鍋やフライパンでできる料理を、いくつか決めておく
- 疲れた日のための「何もしない日」を、週に1〜2日、初めから予定に入れておく
自炊の回数を増やすことより、「何となく外で食べる」「何となく買って帰る」回数を減らすことを目標にすると、気持ちの負担が軽くなります。
やりすぎないために
食費は、健康に直接つながる支出です。減らすことだけを目標にすると、体調をくずしたり、反動で使いすぎたりすることがあります。
- 食事を抜いて減らそうとしない
- 安さだけで選んで、同じ物ばかりを食べ続けない
- 人との食事や、楽しみにしている外食まで、すべてなくそうとしない
- 月に一度、食費を見直す日を決め、きつすぎると感じたら予算を戻す
食費よりも先に、通信費や保険料などの固定費を見直すほうが、暮らしを変えずに支出を減らせることがあります。固定費の見直し方は、次の記事で紹介しています。

まとめ
一人暮らしの食費は、「外食」「弁当・総菜など」「そのほか」に分けて、手間の少ない所から見直すと続きます。働く一人暮らしの平均では、外食と弁当・総菜などで食費のほぼ半分を占めています。
次にやるのは、1週間分のレシートを3つに分けて、いちばん多かった所を見つけることです。減らす相手は、食事ではなく「何となく」の1回です。

