冷蔵庫の奥から、いつ買ったか思い出せない調味料や、しなびた野菜が出てくる。あると思って買わなかった卵がなく、ないと思って買った豆腐が2つある。扉を開けたまま、探し物をしている時間が長い。冷蔵庫の中は、毎日使うのに、全体を見わたす機会の少ない場所です。
冷蔵庫は、買い替えないかぎり、大きさを変えられません。けれども、入れる量と置き場所の決め方を少し変えるだけで、同じ冷蔵庫でも、食材を使い切りやすく、探しやすくできます。
整理を始める前に、知っておきたい目安があります。
冷蔵庫は「7割」と「見える」を目安にする
冷蔵庫にどれだけ、どう入れるかは、量と見やすさの2つで決まります。どちらも、食材を使い切れるかどうかと、冷え方の両方に関わる目安です。
詰める量は、7割程度まで
厚生労働省は、家庭での食中毒を防ぐためのポイントの中で、冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意するよう呼びかけています。目安は、冷蔵庫や冷凍庫の7割程度です。
理由は、冷たい空気の通り道にあります。政府広報オンラインは、冷蔵庫や冷凍庫に詰めすぎると、冷気の循環が悪くなると説明しています。食品がぎっしり詰まっていると、冷たい空気が全体に行きわたりにくくなるのです。
温度は、冷蔵庫を10℃以下、冷凍庫を-15℃以下に保つことを目安にします。細菌の多くは、10℃以下では増えるのがゆっくりになり、-15℃以下では増えるのが止まるためです。
奥まで見えることが、使い切りにつながる
7割までにしておくと、もう1ついいことがあります。奥の物が見えることです。
手前の物をどかさないと奥が見えない冷蔵庫では、奥の物は忘れられます。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトも、冷蔵庫の整理をすすめる中で、「とりあえず保存」した物は、結局食べずに捨てられることが多いようだと書いています。
扉を開けたときに、何がどこにあるかがひと目で分かる。これが、冷蔵庫の整理で目指す状態です。
食材を使い切って食費を抑える工夫は、次の記事で紹介しています。

電気の使い方にも関わる
冷蔵庫に入れる量は、電気の使い方にも関わります。省エネポータルサイトは、冷蔵庫の省エネとして、次のような試算を紹介しています。
- ものを詰め込みすぎない: 詰め込んだ場合と、半分にした場合を比べると、年間で電気43.84kWhの省エネ、約1,360円の節約
- 開けている時間を短くする: 開けている時間が20秒の場合と、10秒の場合を比べると、年間で電気6.10kWhの省エネ、約190円の節約
どちらも、決められた条件で比べた試算です。冷蔵庫の大きさや機種、使い方、電気の料金によって、金額は変わります。大きな金額ではありません。整理しておけば探す時間が減り、扉を開けている時間も短くなるので、電気代はそのおまけくらいに考えておけば十分です。
温度の設定も見直せます。省エネポータルサイトは、設定が「強」になっていたら、「中」や「弱」にするようすすめています。ただし、食品の傷みには注意が必要なので、夏や、中の物が多いときは、冷え方を確かめながら調節します。

冷蔵庫を整理する4つの手順
整理は、次の4つの手順で進めます。

時間のあるときに、全部を一度にやる必要はありません。「今日は上の段だけ」「今日はドアのポケットだけ」と、1か所ずつ進めても同じです。食品を外に出している時間を短くするためにも、1段ずつがおすすめです。
1. 全部出す
1段分の食品を、すべて外に出します。出した段は、台ふきんで拭いておきます。
出した食品は、1つずつ期限の表示を確かめます。
期限の表示には、「消費期限」と「賞味期限」の2つがあります。農林水産省によると、賞味期限は、消費期限が表示されている食品に比べて、傷みにくい食品に表示されています。賞味期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。
ただし、どちらの期限も、袋や容器を開けずに、書かれたとおりに保存した場合のものです。同省は、一度開けた食品は、期限に関係なく早めに食べるよう呼びかけています。開けてから長くたった物は、期限の日付だけで判断しないようにしましょう。
2. 分ける
出した食品を、次の3つに分けます。
- 早く食べる物: 期限が近い物、開けてある物、使いかけの野菜、作ったおかずの残り
- よく使う物: 卵、牛乳、納豆、よく使う調味料など、毎日のように出し入れする物
- ときどき使う物: 出番の少ない調味料、買い置きの物
このとき、冷蔵庫に入れなくてよい物が混ざっていないかも確かめます。
冷蔵庫に入れなくてよい物
省エネポータルサイトは、常温で保存できる物を冷蔵庫に入れていないか、見直すようすすめています。缶詰、びん詰、調味料は、開けていなければ、冷蔵庫に入れる必要はありません。
食品の袋や容器には、保存の方法が書かれています。「直射日光を避けて、常温で保存」と書かれた物は、開けるまでは棚にしまえます。「開けたあとは冷蔵庫で保存」と書かれた物は、開けてから冷蔵庫に移します。
冷蔵庫の外の棚や引き出しの整え方は、次の記事で紹介しています。

3. 戻す
分けた食品を、冷蔵庫に戻します。どの段に何を置くかは、次の決め方で考えます。
冷蔵庫の中の温度は、段や場所によって少しずつ違い、その違い方は機種によって変わります。「この食品はこの段に」という案内は、お使いの冷蔵庫の取扱説明書を確かめてください。ここでは、どの冷蔵庫にも当てはまる、置き場所の決め方を紹介します。
「早く食べる物」の場所を、1つ決める
目の高さの段の手前に、「早く食べる物」の場所を作ります。トレーや浅いかごを1つ置き、期限の近い物や使いかけの物は、すべてそこに入れます。
料理を始めるときや、何か食べたいときに、まずこのトレーを見る。それだけで、使い忘れは減らしやすくなります。家族がいる場合は、「ここにある物から食べる」と伝えておきます。
よく使う物は、取り出しやすい所に
毎日出し入れする物は、目の高さから胸の高さの、手前のほうに置きます。置く場所を決めて、いつも同じ所に戻します。
朝食で使う物(バター、ジャム、ヨーグルトなど)を1つのトレーにまとめておくと、トレーごと出して、トレーごと戻せます。扉を開けている時間が短くなります。
肉や魚は、袋や容器に入れる
厚生労働省は、肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れて、冷蔵庫の中のほかの食品に、肉汁などがかからないようにするよう呼びかけています。
買ってきたパックのまま入れるときも、袋に入れるか、受け皿になるトレーの上に置きます。そのまま食べる物(サラダ、果物、作ったおかず)とは、場所を分けておくと安心です。
奥と手前で、列を作る
同じ種類の物は、手前から奥へ、縦1列に並べます。横に並べると、奥の物が手前の物に隠れます。縦に並べれば、手前の物を取ったあと、奥の物を手前に引くだけで済みます。
新しく買った物は奥に、前からある物は手前に置きます。
熱い物は、冷ましてから入れる
作ったおかずや、沸かしたお茶を入れるときは、冷ましてからにします。省エネポータルサイトは、温かい物をそのまま入れると、庫内の温度が上がり、冷やすのに余分なエネルギーが使われると説明しています。
作り置きのおかずを安全に保存する方法は、次の記事で紹介しています。

冷凍室と野菜室の整え方
冷凍室と野菜室は、冷蔵室と違って深さがあり、重ねて入れた下の物が埋もれやすい所です。入れる向きと上下の順番を変えると、見つけやすくなります。
冷凍室は、立てて入れる
引き出しの形の冷凍室は、上から見下ろして使います。食品を重ねて入れると、下の物が見えなくなります。
- 袋に入れた食品は、平らにして凍らせ、本のように立てて並べる
- ブックスタンドや仕切りを使うと、数が減っても倒れにくい
- 袋に、中身と、入れた日を書いておく
- 市販の冷凍食品は、種類ごとにまとめる
冷凍室も、厚生労働省の目安では、詰める量は7割程度までです。凍らせた物は長く持ちますが、いつまでも同じ状態ではありません。入れた日を書いておき、古い物から使います。
野菜室は、使いかけを上に
野菜室は深いので、下の物が埋もれやすい場所です。
- 使いかけの野菜は、袋や容器に入れて、上の段やトレーに置く
- 大きな野菜は下に、小さな野菜や使いかけは上に
- 紙袋や仕切りで区切ると、小さな野菜が転がらない。汚れたら、紙袋ごと取り替えられる

冷蔵庫の整理に使えるグッズ
置き場所が決まったら、必要な物だけを足します。買う前に、棚の幅・奥行き・高さを測っておきましょう。
トレー・浅いケース
「早く食べる物」や「朝食の物」をまとめるのに使います。
- 棚の奥行きに合う長さを選ぶ(短いと、奥に空きができて、物が入り込みます)
- 中が見える、透明か半透明の物を選ぶ
- 取っ手が付いていると、引き出しやすい
- 洗いやすい形を選ぶ
一般的な大きさの納豆パックなら10個を立てて入れられるのが、山崎実業の tower 冷蔵庫中収納ケース 仕切り付です。外寸は約幅37.5×奥行11×高さ8.2cmの細長い形で、付属の仕切り2枚を好きな位置に差して区切れます。電子レンジ、食器洗い乾燥機、熱湯には対応していません。
ドアポケットの仕切り
ドアのポケットで、チューブの調味料や小さな袋が倒れるのを防ぎます。
- ポケットの奥行きと高さに合うかを確かめる
- チューブを立てて入れられる形だと、残りの量が見やすい
山崎実業の tower 冷蔵庫中スリム調味料収納ラックは、外寸が約幅6.5×奥行30×高さ9.2cmの、チューブの調味料を立てて並べるラックです。仕切りは5枚付いていて、そのうち2枚はマヨネーズのような背の高い容器を斜めに入れるための物。奥行きが約30cm以上ある冷蔵庫の棚に向けた物なので、置く場所の奥行きを先に測っておきます。
冷凍室用のスタンド・仕切り
袋に入れた食品を、立てて並べるための道具です。
- 幅を変えられる物だと、食品の量に合わせやすい
- 冷凍室の深さに合う高さを選ぶ
山崎実業の tower 冷凍庫中仕切り調節収納スタンド W27は、約幅27×奥行14×高さ13.9cmのスタンドで、仕切りバーを差す位置を変えながら、最大3つに区切れます。耐冷温度は−40℃です。深さのある冷凍室の下の段に置く物なので、引き出しを閉めたときに上の段に当たらないか、高さを確かめてから選びます。
保存容器
使いかけの食材や、作ったおかずを入れます。
- 中が見える物を選ぶ
- 四角い形は、すき間なく並べやすい
- 同じ種類でそろえると、重ねやすい
- 電子レンジで使えるか、冷凍できるかを、商品の説明で確かめる
iwakiのパック&レンジ 7点セットは、耐熱ガラスの本体にポリカーボネートのふたを組み合わせた保存容器で、200mlが4個、500mlが2個、1200mlが1個入っています。ふたをしたまま電子レンジで温められ、角型の物はふたを外せばオーブンにも使えます。
ラベルとペン
開けた日や、作った日を書くのに使います。はがしやすいテープと、油性のペンを、冷蔵庫の近くに置いておきます。置き場所が遠いと、書かなくなります。
ニチバンのディアキッチン ワザアリテープなら、はさみを使わずに手で切れます。幅25mm・長さ6mの白いテープです。冷蔵庫(4℃)や冷凍庫(−18℃)の中でも使えて、油性ペンで日付や中身を書き込めます。
冷蔵庫用の温度計
冷蔵庫の中の温度を、数字で確かめたいときに使います。厚生労働省の目安(冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下)に収まっているかを見られます。設定を弱くしたときや、夏に、中の温度が気になる場合に役立ちます。
クレセルの AP-61 は、直径58mm・厚さ18mmの温度計で、吸盤で庫内に貼り付けて使います。冷蔵室・野菜室・冷凍室のどこでも計れますが、バイメタル式のため、置いてから正しい値を示すまでに約1時間かかります。
4. 保つ: 整った状態を続ける
買い物をするたびに、冷蔵庫の中身は入れ替わります。整えた状態が続くかどうかは、買う前、買ってきた直後、週に1回の見直しの3つの場面にかかっています。
買い物の前に、中を見る
買い物に出かける前に、冷蔵庫を開けて、何が残っているかを確かめます。スマートフォンで写真を撮っておくと、店で迷ったときに見返せます。
週に1回、「早く食べる物」を見直す
見直すのは週に1回、ごみを出す日の前の日か、まとめて買い物をする日の前。開けるのは「早く食べる物」のトレーです。残っている物を使う献立を、その日に入れます。
このとき、ほかの段からも、期限の近い物をトレーに移します。短い時間で済む作業ですが、続けると、使い忘れを減らしやすくなります。
買ってきたら、すぐに入れる
厚生労働省は、冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れるよう呼びかけています。入れるときに、前からある物を手前に寄せ、新しい物を奥に入れます。
政府広報オンラインは、冷蔵庫に入れても、細菌はゆっくりと増えるとして、冷蔵庫を過信せず、早めに食べることが大事だと伝えています。冷蔵庫は、食品をいつまでも守ってくれる場所ではありません。
暮らし方に合わせた例
冷蔵庫の大きさや買い物の回数が違えば、同じ7割の目安でも、気をつける点は変わってきます。
一人暮らし(小さめの冷蔵庫)
棚の少ない冷蔵庫では、段ごとの使い道と、入れておく物の数を先に絞ります。
- 棚が2〜3段の冷蔵庫では、1段を「早く食べる物と、作ったおかず」の段にする
- 調味料は、使い切れる小さいサイズを選び、数を増やさない
- 冷凍室が小さいときは、冷凍する物を、ご飯・パン・肉など、よく使う物に絞る
小さい冷蔵庫ほど、「7割」を超えやすくなります。まとめ買いの量を、冷蔵庫の空きに合わせて決めましょう。
二人暮らし・共働き(週末にまとめ買い)
まとめ買いをする家では、買った直後に冷蔵庫がいちばん混み合います。7割に収まっているかは、週の後半の様子で見ます。
- 買い物の前の日に、「早く食べる物」のトレーを空にする献立にする
- まとめ買いのあとは、いっぱいになる。週の後半に7割に戻っていれば、買う量は合っている
- 置き場所を、家族で共有する(トレーに「朝食」「早く食べる」とラベルを貼る)
まとめ
冷蔵庫を整理するのは、食べ物を使い切るためです。詰めるのは7割程度まで、期限の近い物は目の高さの手前に1か所、と決めておくと、奥で忘れられる物が減ります。
どこに何を置くか迷ったら、扉を開けたときにひと目で見えるかどうかで決めれば、大きく外れません。

