仕事から帰ってきて、疲れているのに、そこから献立を考えて、材料を切って、調理して、片付けます。毎日の料理は、思っている以上に時間と気力を使う家事です。
作り置きは、完成したおかずをたくさん作ることだけではありません。もっと手軽なやり方でも、平日の料理は楽になります。
週末に何時間もかけなくても、作り置きは始められます。保存が不安な人も、気をつける点を知っておけば、安心して続けやすくなります。平日の夕方、冷蔵庫を開けてから献立を考え始める日が続いているなら、作り置きが役に立つ場面です。
作り置きで料理が時短できる理由
料理には、献立を考える、買い物をする、材料を切る・下ごしらえをする、加熱する、片付けるといった、いくつもの工程があります。作り置きで時間を減らせるのは、これらの工程をまとめて行えるからです。
- まとめて切る・まとめて加熱する: 同じ材料を2回分まとめて切ったり、コンロとオーブン、電子レンジを同時に使ったりすると、1回あたりの手間が減ります
- 片付けが1回で済む: 包丁やまな板、鍋などを出して洗う作業が、平日の分まで週末の1回にまとまります
- 献立を毎日考えなくて済む: 作り置きをするには、先に何を作るかを決めることになります。「今日は何を作ろう」と毎日考える負担が減るのも、作り置きの大きなメリットです
作り置きが向いている人・向いていない人
作り置きは、平日の帰宅後に料理の時間を取りにくい人や、週末などにまとまった時間を取れる人に向いています。一方で、週末も忙しい人や、毎日できたての料理を食べたい人は、完成したおかずをたくさん作るより、下ごしらえだけ、下味冷凍だけといった軽い方法のほうが続けやすいでしょう。平日の夜に翌日の分の下ごしらえをしておく、夕食を多めに作って翌日のお弁当や朝食に回す、といったやり方もあります。
週末にまとまった時間を取れない人は、材料とレシピがセットで届くミールキットを使う方法もあります。届く内容や料金、配達できる地域は、サービスによって異なります。
ヨシケイを頼むなら、届いた材料を平日の夜に調理する時間が取れそうかと、住まいが配達できる地域に入っているかを、先に考えておくとよいでしょう。
作り置きの3つのレベル
作り置きには、手間の大きさが異なる3つのレベルがあります。いきなり全部をやろうとせず、自分の生活に合うものから取り入れれば十分です。

レベル1: 下ごしらえだけしておく
野菜を切っておく、ゆでておく、きのこをほぐしておくなど、調理の前の作業だけを済ませておく方法です。平日は、切ってある材料を炒めたり煮たりするだけで済みます。
いちばん手軽に始められる方法で、味付けは平日に決めるため、その日の気分に合わせて料理を変えられるのもよいところです。
レベル2: 下味冷凍
肉や魚を保存袋に入れ、しょうゆやみそなどの調味料で下味をつけて、冷凍しておく方法です。食べる日に解凍して、焼く・炒める・煮るだけで、メインのおかずができあがります。
保存袋のメーカーである旭化成ホームプロダクツは、食べる日の朝に冷凍室から冷蔵室に移しておけば夕方には解凍でき、しょうゆやみそなどで下味をつけると、そのまま冷凍するより酸化を防いでおいしさが長持ちする、と案内しています。
冷凍しておけるので、週の後半に食べる分にも使いやすく、できたてを食べられるのも魅力です。
ジップロックのフリーザーバッグ Mサイズは、縦189×横177mmの袋が120枚入りで、冷凍から電子レンジ解凍まで使えます。ただし電子レンジでの加熱には使えず、カレーやシチューのように油の多い物は、レンジでの解凍には向きません。
レベル3: おかずの作り置き
煮物や炒め物、あえ物などのおかずを完成させて、冷蔵や冷凍で保存しておく方法です。平日は、温めたり器に盛ったりするだけで食事ができます。
平日の手間はいちばん少なくなりますが、週末の調理時間は長くなり、保存のルールにも特に気をつける必要があります。
組み合わせるのがおすすめ
3つのレベルは、組み合わせて使うことができます。たとえば、「週の前半はおかずの作り置き、後半は下味冷凍」「副菜だけ作り置きして、メインは下味冷凍」のように組み合わせると、週末の負担を抑えながら、平日の料理を楽にできます。
作り置きの進め方
作り置きは、段取りを決めておくと、週末の作業がスムーズになります。

1. 献立をざっくり決める
まずは、平日の何日分を、どのレベルで準備するかを決めます。最初から全部の日を作り置きでまかなう必要はありません。「月〜水の夕食のメインだけ」のように、範囲を絞って始めます。
献立を考えるときは、次の点を意識すると、作業が楽になります。
- 食材をまとめて使う: 同じ食材を複数の料理に使うと、買い物の量が減り、下ごしらえもまとめてできます
- 調理方法を分ける: コンロで煮る料理、電子レンジで作る料理、オーブンで焼く料理のように分けると、同時に進められます
- 味付けを変える: しょうゆ味、みそ味、塩味、甘酢など、味付けを変えておくと、同じ週に食べても飽きにくくなります
2. 買い物をまとめる
献立が決まったら、必要な材料を書き出して、まとめて買い物をします。家にある食材や調味料を先に確認しておくと、買いすぎや買い忘れを防げます。
3. まとめて調理する
調理は、「洗う・切る」「加熱する」「冷ます・詰める」の順に、工程ごとにまとめて進めると効率的です。
- 野菜を洗って、まとめて切る。生で食べる物や加熱しない物を先に切り、肉や魚は最後に扱うと、まな板や包丁を使い分けやすくなります
- 煮込みなど時間のかかる料理から火にかけ、その間にほかの料理を進める
- 使い終わった道具は、加熱を待つ間に洗っておく
4. 冷まして保存する
できあがった料理は、次の章で紹介するルールに沿って、しっかり冷ましてから保存します。容器にラベルやマスキングテープを貼って、料理名と作った日を書いておくと、食べ忘れを防げます。浅くて小分けしやすい保存容器の選び方は、次の記事で紹介しています。

iwaki のパック&レンジ 7点セットは、200mlが4個、500mlが2個、1200mlが1個の耐熱ガラスの容器で、フタをしたまま電子レンジで温められます。角型の容器は、フタを外せばオーブンにも入れられます。
小分けにするなら、同じ iwaki の浅型 450ml(13×12.8×高さ5.5cm)もあります。冷凍庫や食器洗い乾燥機にも使えます。フタは密閉式ではないので、横に倒した状態での保存には向きません。
保存容器や袋に貼るラベルには、ニチバンのワザアリテープが使えます。幅25mm×長さ6mの、手で切れるテープです。冷蔵庫(4℃)や冷凍庫(-18℃)の中でも使え、作った日や中身を油性ペンで書き込めます。
安全に保存するためのルール
作り置きで特に気をつけたいのが、食中毒です。厚生労働省の「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」や、農林水産省の情報をもとに、作り置きで押さえておきたいルールをまとめます。

粗熱をとって、浅い容器に小分けにする
調理した料理を温かいまま置いておくと、細菌が増えやすくなります。農林水産省は、あら熱がとれたら密閉容器に入れるかラップでぴったり包み、早めに冷蔵庫や冷凍庫に入れること、浅い容器に小分けにすると冷める時間を短くできることを案内しています。
特に、カレーや煮物のように大きな鍋でたくさん作った料理は、冷めるまでに時間がかかります。農林水産省によると、ウェルシュ菌という細菌は、加熱したあとの冷める途中で急に増えることがあるため、小分けにして素早く冷やすことが大切です。
冷蔵庫・冷凍庫の温度と詰め込みに注意する
厚生労働省の「食中毒予防の6つのポイント」では、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は−15℃以下に保つことが目安とされています。細菌は、10℃ではゆっくりと増え、−15℃では増えるのが止まります。
また、冷蔵庫や冷凍庫に詰めすぎると、冷気が行き渡りにくくなります。詰め込みは7割程度が目安です。作り置きを始めると保存容器が増えるため、冷蔵庫の空きスペースも考えて、作る量を決めましょう。
「何日もつか」は決めつけず、早めに食べきる
作り置きで気になるのが、「何日もつのか」という点です。ただ、保存できる期間は、料理の種類、使った食材、調理や保存のしかた、冷蔵庫の状態などによって変わるため、一律に「◯日なら大丈夫」とは言えません。農林水産省も、冷蔵庫に保存した調理済みの食品は、なるべく早く食べきるよう呼びかけています。冷蔵庫の中でも増える細菌がいるので、冷蔵庫に入れたから大丈夫、とは考えないでください。
そこで、作り置きは「食べる日から逆算して、数日のうちに食べきれる量を作る」と考えるのがおすすめです。週の後半に食べる分は、冷凍したり、下味冷凍にしたりして、冷蔵で長く置かないようにします。においや見た目、味に少しでもおかしいと感じたら、食べずに処分してください。
温め直しは中心までしっかり加熱する
作り置きの料理を温め直すときは、中心まで十分に加熱しましょう。厚生労働省の「6つのポイント」では、加熱の目安を中心部の温度75℃で1分間以上とし、みそ汁やスープは沸騰するまで加熱するようすすめています。電子レンジで温めるときは、途中で混ぜるなどして、加熱のムラを減らせます。
解凍は冷蔵庫・電子レンジ・流水で
冷凍した料理や下味冷凍の食材は、冷蔵庫の中や電子レンジで解凍するのが基本です。水を使う場合は、密閉できる袋や容器に入れて、流水で解凍します。農林水産省は、常温で解凍した場合は放置しないこと、一度解凍した食品はなるべく早く使い切ることも呼びかけています。
取り分けるときは清潔な箸やスプーンで
保存容器から料理を取り分けるときは、清潔な箸やスプーンを使うのが基本です。食べかけの箸を入れると、口の中の細菌が料理に移ることがあります。食べる分だけ取り分けて、残りはすぐに冷蔵庫に戻すようにします。
また、調理に使った包丁やまな板、ふきんなどは、洗ったあとに熱湯をかけるなどして清潔に保ちましょう。
作り置きに向く料理・向かない料理の考え方
作り置きでは、料理によって、保存に向くもの・向かないものがあります。一般的には、次のような傾向があります。
- 作り置きしやすい傾向があるもの: 水分が出にくい料理、しっかり加熱した料理、味が染みておいしくなる煮物やきんぴらなど
- 作り置きに注意したいもの: 生野菜のサラダやあえ物など水分が出やすい料理、加熱しない料理、半熟卵のように加熱が十分でない料理など
- 冷凍すると食感が変わりやすいもの: じゃがいもなどのいも類、豆腐、揚げ物など
作り置きに向かない料理は、平日に作る料理に回すか、下ごしらえだけしておくと、無理なく取り入れられます。たとえばサラダなら、野菜を洗って水気を切っておくところまでにしておき、食べる直前にあえる、という方法もあります。
作り置きを続けるコツ
作り置きは、最初から頑張りすぎると続きません。品数も手間も、少なめから始めるくらいでちょうどいいです。
- 最初は2〜3品から始める: いきなり1週間分を作ろうとすると、週末の負担が大きくなります。まずはメインを2品、副菜を1品など、少ない品数から始めましょう
- レベル1・2から始める: 下ごしらえや下味冷凍は、失敗しにくく、週末の時間も短く済みます。慣れてきたら、おかずの作り置きを増やしていきましょう
- 完璧を目指さない: 市販のお惣菜や冷凍食品、カット野菜などと組み合わせても構いません。「全部手作り」にこだわらないことが、長く続けるポイントです
- 作ったものと食べた日を記録する: どの料理が早く減ったか、食べきれずに残ったかを振り返ると、次の週の献立や量を決めやすくなります
- 家族と分担する: 家族がいる場合は、「切るのは担当、味付けは別の人」のように、作業を分けると負担が減ります
料理以外も含めた家事の減らし方や分け方は、次の記事で紹介しています。

作り置きの時間が取れない週は、料理の作り置きを家事代行サービスに頼む方法もあります。料金や依頼できる内容はサービスや地域によって違います。頼むなら、何社かを並べて比べてからにしてください。
料理の作り置きをCaSy(カジー)に任せたい週があるなら、頼める内容と、住んでいる地域が対象かの2つが、決める前に見る所です。
まとめ
作り置きは、下ごしらえや下味冷凍で平日の工程を1つ減らすところから始めると、週末の負担が軽く済みます。保存は日数を決めつけず、食べる日から逆算して作る量を決め、温め直しは中心までしっかり加熱します。
今週末は、月〜水のうち1日分のメインになる肉を保存袋に入れ、しょうゆやみそで下味をつけて冷凍しておくと、その日は朝に冷蔵室へ移しておくだけで、夕方には焼いたり炒めたりするだけの状態になります。

