料理の時間を少しでも短くしたい、狭いキッチンをもう少し使いやすくしたい。そんなときに気になるのがキッチンの便利グッズです。ただ、話題になっている道具をなんとなく買ってみたものの、洗うのが面倒で使わなくなった、しまう場所がなくて出しっぱなしになった、ということがあります。
道具が悪いわけではなく、自分のキッチンや料理のしかたに合っていなかっただけかもしれません。買う前に少し確認しておけば、「買ったのに使わなくなった」という失敗を防ぎやすくなります。
キッチンの便利グッズを買う前に確認したい4つのチェック
キッチンは、作業台・引き出し・吊り戸棚など、限られたスペースに多くの道具が集まる場所です。便利グッズを1つ増やすと、その分だけ置き場所と洗う物が増えることになります。買う前に次の4つを確認しておくと、実際に使い続けられる道具を選びやすくなります。
1. 減らしたい手間がはっきりしているか
「野菜を切るのが面倒」「冷凍した肉の解凍に時間がかかる」「フライパンの油汚れを洗うのが嫌」のように、どの工程のどんな手間を減らしたいのかを具体的に言えるかどうかを考えます。困りごとがはっきりしないまま買った道具は、使う場面が思い浮かばず、しまいっぱなしになりがちです。
2. 洗う手間が増えないか
時短のための道具でも、部品が多くて洗うのに時間がかかるなら、差し引きで手間が増えてしまうことがあります。分解して洗えるか、食器洗い乾燥機(食洗機)に対応しているか、すき間に汚れが残りにくい形かが、見ておきたい点です。
3. 置き場所を決められるか
買う前に「どこにしまい、どこで使うか」を決めておくと、使うたびに奥から取り出す手間が減ります。折りたためる、重ねられる、立てて収納できるなど、収納時のサイズも商品ページで確認しておくと、届いてから置き場所に困りません。キッチンのどこに何をしまうかの決め方は、次の記事で紹介しています。

4. 1つで何役こなせるか
特定の食材や料理にしか使えない道具は、使う機会が限られます。「保存容器としても、電子レンジ調理にも、そのまま食卓にも使える」のように、複数の役割を兼ねられる道具のほうが、狭いキッチンでは使い続けやすい傾向があります。

使わなくなりやすいキッチングッズの特徴
雑誌やWebメディアで紹介されている「買ったけど使わなくなったキッチングッズ」の声を見ると、いくつか共通する傾向があります。
- 洗う手間が、得られる時短より大きい: ブレンダーやフードプロセッサー、ハンドマッシャーなどは、「洗う手間をかけるより手でやったほうが早い」という理由で手放されることがあります。刻む・すり潰すといった作業の道具は、1回の量が少ない家庭ほど、この傾向が出やすいようです
- 用途が1つに限られている: 特定の料理のために買った道具は、その料理を作る機会が思ったより少なく、引き出しの奥にしまわれがちです
- 掃除やお手入れが負担になる: 三角コーナーのように、ぬめりやカビが出やすく、こまめな掃除が必要なものは、置いていること自体が負担に感じられることがあります
- 置き場所が決まっていない: しまう場所を決めずに買うと、作業台に出しっぱなしになってスペースを狭くしたり、しまい込んで存在を忘れたりしやすくなります
裏を返せば、「洗いやすい」「複数の用途に使える」「お手入れが簡単」「しまう場所が決まっている」道具ほど、生活に定着しやすいといえます。ここからは、この視点で工程別の道具を紹介します。

下ごしらえの手間を減らす便利グッズ
下ごしらえは、洗う・皮をむく・切るといった作業が重なり、料理の中でも時間がかかりやすい工程です。
分解して洗えるキッチンバサミ
キッチンバサミは、ネギや葉物野菜、肉、のりなどを、まな板と包丁を出さずに切れる道具です。刃物メーカーの貝印も、まな板や包丁の準備が省けることや、洗い物が少なくなることをメリットに挙げています。
選ぶときにまず見たいのは、刃が2枚に分解できるかどうかです。分解できるタイプは、刃の合わせ目に入り込んだ汚れも1枚ずつ洗えるため、肉や魚を切ったあとでも清潔に保てます。食洗機を使っている場合は、食洗機対応かどうかもあわせて確かめます。刃にカーブがついたタイプは、食材が滑りにくく、厚みのある肉も切りやすい設計になっています。
貝印の SELECT100 キッチンバサミ(DH3005)は、刃を外して接合部まで洗える作りで、長さは約21.4cm、重さは約119gです。表の細い刃は袋切りやカニの足に、裏の太い刃は肉やハムにと、使い分けられるようになっています。柄はポリプロピレン製で、耐熱温度は130度。
薄型のまな板シート
薄くて柔らかいシート状のまな板は、切った食材をシートごと曲げて鍋やフライパンに移せるのが特徴です。薄いため収納場所をとらず、数枚を立てて保管できます。
食中毒予防の観点からは、包丁やまな板を肉用・魚用・野菜用で使い分けると、より安全とされています。まな板シートを色違いでそろえて食材ごとに使い分ける、分厚いまな板の上に敷いて肉や魚を切るときだけ使う、といった使い方ができます。
スライサー(安全ホルダー付きのもの)
千切りや薄切りは、スライサーを使えば包丁より短い時間で済みます。一方で、国民生活センターは、スライサーで指先にけがをする事故について注意を呼びかけています。2017年度以降の5年半あまりで、医療機関から寄せられたスライサーによる事故の情報は87件にのぼり、食材が小さくなったときや手が滑ったときに、指が刃に触れてけがをする事例が報告されています。
スライサーを選ぶときは、食材を押さえるための安全ホルダーが付いているものを選び、食材が小さくなったら無理に最後まで削らず、包丁に切り替えるようにしましょう。また、洗うときや引き出しから取り出すときにも刃に触れる危険があるため、刃にカバーを付けて保管する、ほかの道具と分けてしまうなどの工夫も大切です。
加熱調理の手間を減らす便利グッズ
コンロの口数が少ないキッチンでは、電子レンジを使った調理を取り入れると、同時に作れる品数が増えます。
シリコンスチーマー
シリコンスチーマーなら、食材と調味料を入れて電子レンジで加熱するだけで、蒸し料理や煮物風の料理が作れます。火を使わないため、加熱中にほかの作業を進められます。折りたためるタイプを選べば、使わないときは薄くして収納できます。
使うときは、製品ごとに決められた耐熱温度と、使える加熱機器を必ず確認しましょう。電子レンジやオーブン(耐熱温度以下)で使える製品が多い一方、直火やオーブントースターでは使えない製品が一般的です。高温での使い方については、取扱説明書の指示に従ってください。
マジカリーノのシリコンスチーマーは、角型と丸型から選ぶ、容量約1.6Lの深型です。耐熱温度は200度で、食洗機でも洗えます。角型は魚やパスタのような細長い物を入れやすく、丸型はふたに空気穴が2か所あって、汁物や蒸し料理に向いています。
電子レンジ用の調理器具(パスタ・ゆで野菜など)
パスタをゆでる、野菜を下ゆでするといった作業を、鍋でお湯を沸かさずに電子レンジで行える専用容器もあります。100円ショップで手に入るものから、数千円の多機能なものまで価格帯は幅広く、コンロを別の料理に使えるのがメリットです。ただし、パスタ専用のように用途が限られるものもあるため、「週に何回使いそうか」を考えてから選ぶと、使わなくなるのを防げます。
保存・解凍の手間を減らす便利グッズ
作り置きや冷凍保存を取り入れると、平日の調理時間を短くできます。保存と解凍の道具は、便利さだけでなく、食品を安全に扱えるかどうかでも選びたいところです。
作り置きの進め方や、安全に保存するためのルールは、次の記事で紹介しています。

耐熱ガラスの保存容器
耐熱ガラスの保存容器は、「冷蔵・冷凍で保存する」「電子レンジで温める」「そのまま食卓に出す」を1つでこなせる、兼用性の高い道具です。器に移し替える手間と、洗い物を減らせます。ガラスは色やにおいが移りにくいのも特徴です。
使うときは、メーカーの注意事項を守ることが大切です。例えば耐熱ガラス製品のメーカーであるiwakiは、保存容器「パック&レンジ」について、フタをしたまま電子レンジで使える一方、オーブンで使うときはフタを外すこと、直火では使わないこと、加熱した直後に急に冷やさないことなどを案内しています。また、水分の多い食品や液体は、凍るときに体積が増えてガラスが割れることがあるとして、冷凍しないよう注意を促しています。フタの素材によっては食洗機に対応していない物もあります。食洗機で洗うつもりなら、買う前にフタの表示を見ておきます。
作ったおかずを保存するときは、早く冷えるように浅い容器に小分けすることが、食中毒予防のポイントとして挙げられています。平たく浅い形の保存容器をいくつかそろえておくと、小分け保存に困りません。
iwaki のパック&レンジ 7点セットは、200mlが4個、500mlが2個、1200mlが1個の組み合わせで、高さはどれも約5.5cmです。大きい容器の上に小さい容器を重ねてしまえる作りになっていて、フタはポリカーボネート製(耐熱温度140℃)です。
解凍プレート
冷凍した食材を、アルミなど熱を伝えやすい金属の板にのせておくと、何ものせないときより早く解凍できます。解凍プレートは、そのための板です。電気を使わず、電子レンジ解凍で起こりやすい「端だけ加熱されてしまう」ムラを避けたいときに向いています。
向いているのは、薄切り肉や魚の切り身、平たく冷凍したひき肉など、厚みの少ない食材です。一方、厚みのある肉のかたまりは解凍に時間がかかるため、あまり向いていません。冷凍するときにあらかじめ平たく薄くしておくと、解凍プレートの良さを活かせます。
食中毒予防の観点からは、室温で長時間放置して解凍するのは避け、冷蔵庫や電子レンジで解凍すること、使う分だけ解凍して解凍後はすぐに調理することが勧められています。解凍プレートを使う場合も、食材はラップや保存袋に入れたまま使い、解凍できたらすぐに調理するようにしましょう。
保存袋スタンド・ホルダー
ファスナー付きの保存袋に食材や汁気のあるおかずを入れるとき、袋の口を開いた状態で立てておけるスタンドがあると、片手でも中身を入れられます。使い終わった保存袋を乾かすスタンドとして使えるタイプもあり、兼用性があります。
また、冷蔵庫は詰め込みすぎると冷気が回りにくくなるため、容量の7割程度までを目安にすることが勧められています。保存袋を平らにして冷凍し、立てて並べるように収納すると、中身がひと目で分かり、詰め込みすぎにも気づけます。
洗い物・片付けの手間を減らす便利グッズ
洗う前のひと手間を減らす道具があれば、料理のあとの洗い物や片付けの負担は軽くなります。
シリコンスクレイパー
フライパンや鍋、お皿に残った油汚れやカレーなどのソースを、洗う前にかき取れるヘラ状の道具です。先に汚れを取っておくことで、スポンジや洗剤の使用量を抑えられ、洗い物の時間も短くなります。料理の最後に鍋の中身をきれいに集めるときにも使えるので、調理用のヘラと兼ねられるものを選ぶと、道具の数を増やさずに済みます。
タイガークラウンのウィズ シリコンゴムベラ(大)は、長さ約26.4cm・幅約5.7cmの日本製で、柄とへらがつなぎ目なく一体になっています。芯にはステンレスが入っていて、耐熱温度は204℃です。
作業台に置けるポリ袋ホルダー
野菜の皮や切れ端を捨てる場所として、三角コーナーの代わりに、ポリ袋をかけて使う小さなホルダーを作業台に置く方法があります。調理中に出た生ごみをその場で袋に入れ、料理が終わったら袋ごと口を縛って捨てられるため、三角コーナーのようにぬめりを掃除する手間がかかりません。フタ付きのタイプを選べば、においが気になりにくくなります。使わないときは折りたためるものもあります。
排水口の使い捨てネット・ぬめり取り
シンクの排水口は、ぬめりや汚れがたまりやすく、掃除が負担になりやすい場所です。使い捨ての排水口ネットや、置いておくだけでぬめりを抑えるタイプのぬめり取りを使うと、掃除の回数を減らせます。どちらも手ごろな価格の消耗品で、品質の差も出にくいので、100円ショップなどの物から試してみて構いません。
シンクやコンロまわりの汚れを手早く落とすコツは、次の記事で紹介しています。

運営者の場合:キッチンバサミとサンサンスポンジ
わたしのキッチンでよく使っているのは、分解して洗えるキッチンバサミです。切るのはお肉が多く、刃を外して合わせ目まで洗えるので、肉を切ったあとも洗いやすいです。
冷凍や作り置きには保存容器を使っていて、解凍するときも容器から出さずにそのままです。
洗い物の前には、お皿やフライパンの汚れを拭き取ってから洗い、排水口には使い捨てのネットなどを付けています。
食器洗いに使っているのは、ダイニチのサンサンスポンジで、すごくよいと感じています。泡立ちがよく、汚れもよく落ちます。水切れがよくて乾きやすいので、使い終わったあとも気になりません。へたりにくく、長く使えるところも気に入っています。
ダイニチ楽天市場店の8個セット(4個×2)は、大きさが約75×115×33mmで、硬さはノーマルとソフトの2種類です。オートディスペンサーを使っている場合、濃い色のスポンジには反応しにくいことがあります。
予算感の目安
紹介した道具の価格帯は、ブランドや機能によって幅があります。以下は執筆時点の一般的な相場の目安です。
| 予算感 | アイテムの例 |
|---|---|
| 100円〜1,000円程度 | 排水口ネット・ぬめり取り、シリコンスクレイパー、まな板シート、電子レンジ用パスタ調理器(シンプルなもの) |
| 1,000円〜3,000円程度 | 分解できるキッチンバサミ、シリコンスチーマー、解凍プレート、安全ホルダー付きのスライサー(シンプルなもの)、耐熱ガラス保存容器(1個)、ポリ袋ホルダー、保存袋スタンド |
| 3,000円〜1万円程度 | 刃を付け替えて使うスライサーのセット、耐熱ガラス保存容器のセット |
キッチンの道具は、100円ショップで十分なものと、少し予算をかけたほうが使いやすいものがあります。刃物(スライサー・キッチンバサミ・ピーラーなど)は、切れ味が悪いと余計な力が入り、けがにつながるおそれもあるため、刃の品質や安全ホルダーの有無を確認して選ぶのがおすすめです。一方、排水口ネットのような消耗品は、手ごろな価格のもので十分な場合が多いでしょう。

まとめ
道具を探す前に、自分の料理を「下ごしらえ」「加熱」「保存・解凍」「洗い物・片付け」に分けて、いちばん面倒な工程を1つ決めておく。そうすれば、「減らしたい手間」「洗う手間」「置き場所」「兼用できるか」の4つのチェックも、その工程に当てはめるだけで済みます。
買うのは、その工程の道具を1つだけ。商品ページで、分解して洗えるか、しまう場所の幅に収まるかを見てから選びます。刃物と加熱に使う道具は、取扱説明書の注意を守って使うことが前提です。

