エアコンをつけたときのにおいが気になる。換気扇のフィルターは、いつ洗ったか思い出せない。年末が近づくと、ふだん見ないふりをしている2つが、急に気になり始めます。
動画やSNSには、エアコンを自分で分解して洗う方法がたくさん出ています。けれども、どこまで自分で触ってよいのかが分からないまま始めると、こわしてしまわないか、かえって危なくないかと不安になり、結局手が止まります。
自分でやる所と、人に任せる所。その境目が決まれば、今日やることは意外と少なくて済みます。
線引きは「取扱説明書に手入れの方法が書いてあるか」
自分で掃除してよいかどうかは、腕前や道具ではなく、メーカーがどこまでを使う人に任せているかで決まります。
自分でやるのは、説明書に書いてある部品まで
エアコンにも、換気扇にも、メーカーが「使う人が自分で手入れしてください」と決めている部品があります。その方法は、取扱説明書の「お手入れ」のページに書かれています。
- 説明書に、外し方と洗い方が書いてある部品 → 自分でやる
- 説明書に書いていない所、工具を使わないと外せない所 → 自分ではやらない
エアコンも、台所の換気扇(レンジフード)も、この線で分けられます。

説明書が手元にないとき
賃貸の部屋では、取扱説明書が残っていないこともあります。そのときは、本体に貼ってあるシールで、メーカーと型番を確かめます。エアコンは室内機の下の面や側面、レンジフードはフィルターを外した内側などに貼られていることが多いです。
メーカーの公式サイトでは、型番から取扱説明書を探せるようになっていることがあります。見つからないときは、管理会社や大家さんに聞いてみてください。
エアコン: 自分でやるのはフィルターと外側
エアコンで自分の手を入れるのは、フィルターと、外から見える所まで。内部に洗浄剤を吹きかける作業は火災の例が報告されているので、自分ではやらない側に入れます。
内部の洗浄は、自分ではやらない
先に、やらないことを決めておきます。
エアコンの内部に洗浄剤を吹きかけて洗う「内部洗浄」は、自分ではやりません。NITE(製品評価技術基盤機構)は、2020年6月に「エアコンの内部洗浄による事故に注意」という注意を出しています。
- エアコンの事故は、2015年度から2019年度の5年間に263件。そのうち244件が火災
- このうち、誤った内部洗浄による火災は、5年間に20件
- 洗浄液が内部の電気部品に付くと、時間がたってから発熱し、発火することがある
NITEは、内部洗浄について「正しい知識を持つ業者に依頼してください」と呼びかけ、使う人が自分で行うことはすすめていません。ここでいう内部洗浄とは、液状の洗浄剤などを吹きかけて、機器の内部の汚れを洗い流すことです。取扱説明書に書かれているフィルターなどの手入れは、これに当てはまりません。
同じ資料は、次のことも挙げています。
- 消毒用アルコールなど、揮発しやすい液を使わない
- 漂白剤など、金属や配線を傷める液を使わない
- 高温・高圧のスチームで洗わない
奥のほうに汚れが見えても、割りばしや布を差し込んでこすることは、やめておきましょう。
フィルターの掃除の手順
自分でやるのは、フィルターです。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、フィルターを月に1回か2回掃除することをすすめています。
手順は、機種によって違います。次は一般的な流れです。必ず、自分の機種の取扱説明書を確かめてください。
- 運転を止め、電源プラグを抜く
- 前のパネルを開け、フィルターをゆっくり外す
- フィルターのほこりを、掃除機で吸い取る
- 汚れがひどいときは、水で洗う
- 日かげで、しっかり乾かす
- 乾いてから、元どおりに取り付ける
濡れたまま取り付けると、内部に湿気を持ち込みます。乾かす時間も、段取りに入れておきましょう。

高い所の作業なので、足元は、ぐらつかない踏み台を使います。いすや、積み重ねた物の上には乗らないでください。
山崎実業の tower 踏み台は、スチールの脚に木の天板を組み合わせた1段の踏み台で、耐荷重は約100kg(静止荷重)です。高さは20cmと約30cmの2種類があるので、エアコンまでの高さと自分の背丈に合わせて選びます。
フィルターの掃除は、電気代にも関わる
フィルターが目詰まりすると、エアコンは余分な力を使います。省エネポータルサイトの試算では、フィルターが目詰まりしているエアコン(2.2kW)と、掃除した場合を比べると、年間で31.95kWhの省エネ、約990円の節約になります。
金額は機種や使い方で変わりますが、掃除の手間が、電気代としても返ってくるということです。エアコン暖房の電気代を見直す方法は、次の記事で紹介しています。

本体の外側と、吹き出し口の見える所
フィルターのほかに自分で拭いてよいのは、手の届く外側だけです。
- 本体の外側は、やわらかい布でから拭きする。汚れが落ちないときは、水で濡らして固くしぼった布で拭く
- 吹き出し口の羽根は、手の届く範囲だけを、やさしく拭く。無理に動かさない
- 洗剤やスプレーを使ってよいかは、説明書で確かめる
「お掃除機能つき」でも、手入れは要る
フィルターを自動で掃除する機能のついたエアコンでも、手入れがまったく要らなくなるわけではありません。集めたほこりをためる部品を、自分で外して捨てる機種があります。
どの部品を、どのくらいの間隔で手入れするかは、機種ごとに違います。説明書の「お手入れ」のページを、一度開いてみてください。
エアコンの内部の汚れが気になるときは、自分で分解せず、プロに頼みます。ダスキンのエアコンクリーニングは、エアコンを分解して内部を洗うサービスで、壁掛けのほか、天井埋込のエアコンにも対応しています。地域によっては来てもらえない所もあるので、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
レンジフード: 自分でやるのはフィルターと表面
油汚れが相手なので、強い洗剤を使いたくなるかもしれません。けれども、自分で手入れするのはフィルターと表面までで、使える洗剤にも決まりがあります。
始める前に
台所の換気扇は、今は「レンジフード」と呼ばれる、覆いのついた形が多くなっています。油を吸い込む場所なので、汚れは油です。
メーカーは、手入れの前に、次のことを守るよう呼びかけています。
- 電源スイッチを切り、各部が冷めてから始める
- 厚手のゴム手袋をする(金属の板の端で、手を切ることがあります)
コンロの上に乗って作業するのは危険です。五徳(鍋をのせる台)を外し、コンロの上に新聞紙などを敷いて、床に置いた踏み台から手を伸ばします。
Trade-ABCのロング手袋は、内側が起毛になったポリ塩化ビニル製で、色違いの3枚がセットです。袖口が広いタイプと絞ったタイプがあり、それぞれS・M・Lから選べます。
フィルターは、月に1回が目安
レンジフードのメーカーである富士工業は、公式サイトで、フィルターの手入れを1か月に1回程度すすめています。洗い方は、次のとおりです。
- フィルターを外す
- 中性洗剤を溶かしたぬるま湯に、20〜30分浸す
- 金属以外の、やわらかいスポンジなどで洗う
- 水ですすぎ、乾かしてから取り付ける
シンクに入りきらないときは、大きなポリ袋を二重にして、その中にぬるま湯と洗剤を入れて浸す方法があります。お湯が漏れないよう、袋の口をしっかり持って作業してください。
本体の表面は、拭き取る
同社の案内では、本体や前の板は、中性洗剤を浸した布で汚れを拭き取り、そのあと、洗剤が残らないように、水で湿らせた布でよく拭き取ります。
油汚れは、時間がたつほど固くなります。料理のあとや、後片付けのついでに、表面をさっと拭いておくと、年末の大掃除がぐっと軽くなります。
拭き取りに使うなら、コネクトのシステムクロス厚手。30cm×30cm・34gのマイクロファイバーのクロスで、色は6色あります。手に握ってちょうどよいのは30cmで、1枚で広い面を拭くなら40cmが向いています。
使ってはいけない物がある
油汚れにはアルカリ性の洗剤がよく効きます。ただし、レンジフードに使ってよいかどうかは、別の話です。
富士工業は、変質や変色の原因になるとして、次の物を使わないよう案内しています。
- シンナー、灯油
- みがき粉
- アルカリ性洗剤
- 60℃以上の熱湯
レンジフードの多くは、表面に塗装がされています。強い洗剤や、かたいたわしは、塗装を傷めることがあります。使える洗剤は機種ごとに違うので、説明書に載っている物を使います。

洗剤の液性の見分け方や、汚れに合う洗剤の選び方は、次の記事で紹介しています。

ファンは、説明書に外し方があるときだけ
フィルターの奥にあるファン(羽根)は、機種によって扱いが分かれます。
- 説明書に外し方が書いてある機種: 手順どおりに外し、フィルターと同じように洗う。取り付けは、確実に行う
- ファンの掃除がいらない作りの機種: 外すことができないものもある
外した部品の取り付けがゆるいと、運転中に音がしたり、落ちてきたりするおそれがあります。自信がないときは、無理に外さないでください。モーターや、配線のある所には、水や洗剤をかけません。
古い換気扇は、様子を見る
NITEは、長く使った換気扇の事故にも注意を呼びかけています。約18年使った換気扇で、内部の部品が傷み、出火した事例があります。次のような様子があれば、使うのをやめて、修理の窓口や管理会社に相談してください。
- スイッチを入れても、羽根が回らない
- 回転が遅い、または不規則
- 回るときに、いつもと違う音や振動がある
プロに頼むのは、こんなとき
自分でやらない側に入れた所は、放っておかずに、人に任せる形で片づけます。頼むかどうかは、汚れの場所と、自分の時間や不安の大きさで決めればよいでしょう。
頼んだほうがよい場面
当てはまるものが1つでもあれば、頼むことを考えてよいころです。
- エアコンの内部の汚れや、においが気になる
- レンジフードの内部や、ファンに固まった油が落ちない
- 高い所の作業が不安、時間が取れない
- 説明書がなく、外し方が分からない
エアコンや換気扇の内部を、専用の機材と洗剤で洗うサービスを、ハウスクリーニングといいます。日々の掃除や洗濯を代わりに行う家事代行とは別のサービスで、1回ごとに頼む使い方が中心です。
ユアマイスターも、このハウスクリーニングを頼めるサービスです。エアコンとレンジフードのどちらの内部を任せたいのかを決めてから、作業の内容を見比べます。
頼む前に確かめること
頼んだあとで困らないように、聞いておくことを先にそろえます。賃貸かどうかや機種によって、確かめる相手も変わります。
- 賃貸の部屋のエアコン: 備え付けのエアコンは、大家さんの持ち物です。内部の洗浄を頼む前に、管理会社に連絡して、頼んでよいか、費用はどちらが持つかを確かめます
- 機種: お掃除機能つきのエアコンは、料金や作業時間が変わることがあります。型番を伝えて、見積もりを取ります
- 作業の範囲: どこまで分解して洗うのか、追加の料金がかかるのはどんなときかを聞いておきます
- もしものとき: 作業のあとに動かなくなった場合の対応を、頼む前に確かめます
年末は、早めに動く
年末にエアコンや換気扇の掃除を頼もうとすると、希望の日に来てもらえないこともあります。頼むと決めたら、予定は早めに押さえておきます。
エアコンは、暖房を本格的に使い始める前に済ませておくと、掃除のために止める日を作らずに済みます。大掃除全体の進め方は、次の記事で紹介しています。

頻度の目安
手入れの間隔は、同じエアコンやレンジフードの中でも、場所ごとに違います。
| 場所 | 自分でやること | 目安 |
|---|---|---|
| エアコンのフィルター | ほこりを取る | 月に1回か2回 |
| エアコンの外側 | 拭く | 汚れが気になったとき |
| レンジフードのフィルター | 中性洗剤で洗う | 月に1回程度 |
| レンジフードの表面 | 拭き取る | 料理のあとに、さっと |
| 内部の洗浄 | プロに頼む | 汚れやにおいが気になったとき |
エアコンのフィルターは資源エネルギー庁、レンジフードのフィルターは富士工業の案内による目安です。機種によって違うので、説明書の案内があるときは、そちらに合わせてください。
30分でできる、今日の分
全部を一度にやろうとすると、腰が重くなります。次の2つだけなら、30分ほどで終わります。
- エアコンのフィルターを外し、掃除機でほこりを吸って、戻す
- レンジフードのフィルターを外し、中性洗剤のぬるま湯に浸す。浸している間に、本体の表面を拭く
内部の汚れが気になったら、それは「頼むことのリスト」に書いておきます。自分でやらないと決めることも、大掃除の段取りのうちです。
まとめ
エアコンと換気扇の掃除は、取扱説明書に手入れの方法が書いてある部品までを自分でやり、その先は頼む、と線を1本引くと迷いが減ります。エアコンの内部洗浄は、自分ではやらない側です。レンジフードの洗剤は中性洗剤を基本にし、アルカリ性洗剤は使えないことがあります。
次にエアコンの前に立ったら、室内機の下の面か側面にある型番のシールを見て、その型番で取扱説明書の「お手入れ」のページを探してみてください。

