仕事から帰って、冷蔵庫を開けて、今日は何を作ろうかと考える。足りない物に気づいて、もう一度買い物に出る。平日の夕食づくりは、料理そのものより、その前の「考える」と「買う」に時間を取られがちです。
そんなときに助けになるのが、ミールキットです。ミールキットは、1回の食事に使う食材と調味料、作り方がセットになって届く商品のことです。献立を考えることと買い物を、人に任せられます。
ただ、調べ始めるとサービスの数が多く、料金の書き方もそろっていません。迷いの元は、比べる軸がないまま、サービスの一覧から見始めることです。サービスを見比べる前に、自分の暮らしの側で先に決めておけることがあります。それが決まると、候補はかなり絞りやすくなります。
ミールキットとは?食材宅配との違い
ミールキットは、1つの献立に必要な食材と調味料、作り方がセットになった商品です。例えば「鶏肉と野菜の炒め物」のキットなら、使う分の鶏肉と野菜、合わせ調味料、作り方を書いた紙が1つの袋や箱に入って届きます。献立を考える手間と、食材を1つずつ選ぶ手間が省けます。
食材宅配は、野菜や肉、卵、牛乳などの食材を家まで届けてくれるサービス全体を指す言葉です。ミールキットは、食材宅配のサービスが扱っている商品の1つ、と考えるとわかりやすくなります。
似たサービスとの違いは、次のとおりです。
| サービス | 届く物 | 自分でやること |
|---|---|---|
| ミールキット | 1つの献立に必要な食材と調味料、作り方 | 切る・加熱するなどの調理 |
| 食材宅配 | 野菜・肉・卵などの食材(ミールキットを扱うサービスも多い) | 献立を考える、調理 |
| ネットスーパー | 店で売っている商品 | 商品を選ぶ、献立を考える、調理 |
| 宅配弁当・総菜 | できあがった食事 | 温める |
ミールキットは、「自分で作りたいが、考える時間と買い物の時間は減らしたい」という人に合います。火を使うことや洗い物も減らしたい日が多いなら、宅配弁当や総菜のほうが合う場合もあります。
週末に時間が取れる人は、作り置きという方法もあります。作り置きの始め方は、次の記事で紹介しています。

運営者の場合:お弁当の宅配から、ヨシケイのミールキットへ
わたしが最初に頼んでいたのは、ミールキットではなく、ワタミの宅食のお弁当でした。そのあとヨシケイというサービスがあると知り、そこでミールキットという物を知って、注文するようになりました。今は何年も続いていて、頼むのは週に3〜4回です。
コースは決めていません。スマイリーミール、バランスミール、カットミール、Lovyuのクイックダイニング、カジュアルディッシュなど、食べたいメニューがあるものを選んでいます。頼まない日は、鍋やカレーなど、自分の食べたいものを作っています。
続いている理由は、決まった分の食材だけが届くので、余らせて無駄にすることがないからです。献立を考えなくてよく、レシピどおりに作ればちゃんとおいしくできます。買い物に行く回数も減り、食費も安くなりました。
届き方は2つの型に分かれる
ミールキットを選ぶとき、最初に見ておきたいのが届き方です。大きく分けて、2つの型があります。
| 毎日届く型 | 週1回まとめて届く型 | |
|---|---|---|
| 届き方 | その日の分が、毎日届く | 1週間分が、決まった曜日にまとめて届く |
| 冷蔵庫 | その日の分だけなので、空きが少なくて済む | 数日分を入れておく空きが要る |
| 作る日 | 届いた日に作る。要らない日は注文しない | 期限の中で、作る日を自分で決められる |
| 一緒に買える物 | 献立の食材が中心 | 野菜・肉・卵・日用品なども一緒に頼めることが多い |
| サービスの例 | ヨシケイ | Oisix、生協の宅配(コープデリ、パルシステムなど) |

毎日届く型は、その日に使う分だけが届くので、食材が余りにくく、冷蔵庫がいっぱいになりません。外食や出張の予定がある日は、その日の分を注文しなければ済みます。例えばヨシケイには、1日単位で注文できるメニューがあります。気をつけたいのは、注文には締め切りがあることです。当日になって急に予定が変わった日は、届いた食材を翌日に回すなどの調整が要ります。
週1回まとめて届く型は、作る日を自分で決められます。野菜や卵などのふだんの買い物も一緒に済ませられる反面、数日分を入れておく冷蔵庫の空きと、「どの日に何を作るか」を自分で決める手間が残ります。
どちらが良いというものではありません。冷蔵庫の空きに余裕があるか、ふだんの買い物も一緒に済ませたいか、作る日を自分で動かしたいかで、合う型が変わります。
選ぶ前に決めておきたい5つのこと
型のイメージがついたら、次の5つを自分の暮らしに当てはめてみてください。サービスの公式サイトを見るときに、どこを確かめればよいかがはっきりします。

1. 何人分が必要か
ミールキットは、2人前から用意されている商品が多くあります。例えば、Oisixは公式サイトで、ミールキット(Kit Oisix)は基本的に2人前からと案内しています。
一人暮らしの人は、次のどちらにするかを先に決めておくと選びやすくなります。
- 1人用の商品があるサービスを選ぶ
- 2人前を作り、半分を翌日の昼や夕食に回す
2人前を2回に分けて食べる場合は、作った料理を何日以内に食べればよいかを、商品の説明で確かめておきましょう。
2. どこまで手間を省きたいか
同じミールキットでも、調理の手間には幅があります。
- 食材がそのまま届く: 洗う・切るところから自分でやる。料理をする時間はあるが、献立を考えたくない人向け
- 食材がカット済みで届く: 包丁を使う作業が少ない。平日は早く作り終えたい人向け
- 電子レンジや湯せんで作れる: 包丁を使わない。帰りが遅い日が多い人向け
例えば、ヨシケイは2025年9月にメニューを新しくし、今は6つのコースがあります。公式のお知らせでは、食材がカット済みの「Cut Meal(カットミール)」は調理時間が約15分、電子レンジや湯せんで作る「Timely Meal(タイムリーミール)」は約10分とされています。調理時間は目安で、慣れや台所の広さによって変わります。
平日の中でも「早く帰れる日」と「遅くなる日」が決まっている人は、日によってコースや商品を変えられるかも見ておくとよいでしょう。
3. 受け取れる時間と、留守のときの方法
受け取りは、続けられるかどうかに関わる点です。次の3つを確かめます。
- 届く曜日と時間帯は選べるか
- 留守のときは、どう受け取るのか(玄関先に置いてもらえるか、専用の箱があるか)
- オートロックのマンションでも受け取れるか
受け取り方は、サービスによって違います。ヨシケイは、留守のときのために鍵付きの専用ボックスを貸し出していて、置く場所は利用を始めるときに担当者と相談して決めます。Oisixは、指定した日時にヤマト運輸で届き、お届け日時やお届け先は毎回変えられます。
オートロックの建物や、玄関の前に物を置けない決まりのある建物に住んでいる人は、受け取れるかどうかを申し込む前に問い合わせてください。
4. 食材の代金のほかにかかる費用
1食あたりの価格だけを見比べると、あとで「思ったより高い」と感じることがあります。見落としやすいのは、次のような費用です。
- 入会金・年会費
- 送料(配達料)
- 冷凍の商品にかかる手数料
- 生協の場合は、加入するときの出資金
2026年10月に各社の公式サイトで確かめた内容は、次のとおりです。料金は変わることがあるので、申し込む前に公式サイトで最新の情報を見てください。
ヨシケイ
入会金と食材の配達料はかかりません。
Oisix
入会金・年会費・解約金はかかりません。請求されるのは、商品の代金と送料です。ミールキット(Kit Oisix)の価格は、2人前が994円(税込)から、3人前が1,566円(税込)から買えます(2026年4月1日時点の情報)。
定期会員の送料は、住んでいる地域と注文金額(税抜)で決まります。本州に届ける場合は、次のとおりです。
| 注文金額(税抜) | 送料 |
|---|---|
| 6,500円以上 | 0円 |
| 4,500円以上 | 300円 |
| 2,000円以上 | 600円 |
| 1,999円以下 | 1,200円 |
北海道・四国・九州、沖縄は、金額の区切りと送料が変わります。冷凍の商品を頼むと、送料とは別に冷凍手数料がかかり、冷凍の商品の注文金額(税抜)が1,600円未満のときは300円(税込)、1,600円以上のときは無料です。
生協の宅配
加入するときに出資金が必要です。出資金は入会金とは違い、やめるときに返ってくるお金です。出資金の金額、手数料、届けられる地域は生協ごとに違うので、住んでいる地域の生協の公式サイトで確かめてください。
送料がかかるサービスは、「1回にいくら頼むと送料が下がるか」を見て、ミールキットだけを頼むのか、ふだんの食材も一緒に頼むのかを決めると、費用の見通しが立ちます。
5. 注文の締め切りと、いらない週の扱い
出張や旅行、外食の予定がある週は、届かないようにしたいものです。見ておきたいのは、下の4点です。
- 注文や変更は、いつまでにすればよいか
- いらない週は、どうやって止めるのか
- 止め忘れたときは、どうなるのか
- 休止や解約は、どこから手続きするのか
例えば、Oisixの定期宅配は、毎週または隔週で届きます。おすすめの商品があらかじめ入った「定期ボックス」という買い物かごが用意され、締め切りまでは中身の入れ替えや追加、削除ができます。締め切りを過ぎると、その内容で注文が決まります。いらない週は、締め切りまでにボックスごとキャンセルでき、費用はかかりません。締め切りの日時は届ける曜日と地域によって違うので、注文開始のメールか、定期ボックスの画面で確かめます。
ヨシケイは、1日単位で注文できるメニューと、1週間おまかせのメニューがあります。
「何も操作しないと、おすすめの内容で届く」仕組みのサービスは、便利な反面、止め忘れが起こりやすくなります。締め切りの曜日をスマートフォンの予定に入れておくと、忘れにくくなります。
一人暮らし・共働きで見る点の違い
5つのうち、どこを重く見るかは、暮らし方によって変わります。
一人暮らしの場合
- 何人分から頼めるか(1人用があるか、2人前を分けて食べるか)
- 冷蔵庫と冷凍庫の空き(小さめの冷蔵庫では、数日分のまとめ届けが入りきらないことがあります)
- 1回の注文金額が少なくなりやすいので、送料がいくらになるか
- 留守の時間が長いので、受け取りの方法
共働きの場合
- 平日に調理にかけられる時間(カット済みや、電子レンジで作れる商品があるか)
- 2人のどちらが受け取るか、どちらが作るか
- 帰りが遅くなった日に、翌日へ回せるか
- 子どもがいる場合は、子ども向けの献立や取り分けができる商品があるか
2人で使うときは、届く曜日と「その日は誰が作るか」を先に決めておくと、届いた食材がそのままになるのを防げます。料理以外の家事も含めた分け方は、次の記事で紹介しています。

型ごとのサービスの例
挙げるのは順位ではなく、2つの型の違いを見るための例です。
毎日届く型の例: ヨシケイ
ヨシケイは、注文した食材を、スタッフが毎日届けるサービスです。その日に必要な食材が、必要な人数分だけ届きます。献立は、専属の栄養士が栄養のバランスを考えて作っています。
- 入会金と配達料はかからない
- 留守のときは、鍵付きの専用ボックスに届けてもらえる
- 1日単位で注文できるメニューと、1週間おまかせのメニューがある
- 支払いは、1週間分をまとめて行う
一部に、配達していない地域があります。自分の住所が配達エリアに入っているかは、公式サイトの配達エリア検索(郵便番号で調べられます)で確かめられます。コースの内容や料金も、同じ公式サイトに載っています。
週1回まとめて届く型の例: Oisix
Oisix(オイシックス)は、ミールキットのほか、野菜や肉、総菜なども扱う食材宅配サービスです。定期宅配では、毎週または隔週で、指定した日時に商品が届きます。
- 入会金・年会費・解約金はかからない
- ミールキット(Kit Oisix)は基本的に2人前から。10分ほどで作れる商品もある
- お届け日時とお届け先は、毎回変えられる
- 休止と解約は、Webサイトやアプリから手続きできる
送料は、地域と注文金額によって変わります(上の表を参照)。最新の料金と商品の中身は、申し込む前に公式サイトで見ておいてください。
週1回まとめて届く型の例: 生協の宅配
コープデリやパルシステムなどの生協の宅配も、週に1回、決まった曜日に届く仕組みが基本です。ミールキットのほか、食材や日用品も一緒に頼めます。加入するときに出資金が必要で、届けられる地域は生協ごとに決まっています。住んでいる地域で使える生協と、手数料などの条件は、各生協の公式サイトで確かめてください。
お試しを申し込む前に確かめること
初めての人向けに、お試しのセットやお試しの期間を用意しているサービスがあります。味や量、受け取りの流れを確かめられるので、迷っているときの助けになります。申し込む前に見ておきたいのは、次の点です。
- 対象は誰か(初めて利用する人だけ、など)
- 届く日と、受け取りの方法
- キャンセルできる期限
- お試しのあと、自動で定期の注文に切り替わるかどうか
- 申し込んだあとに、電話やメールでの連絡があるか

確かめた範囲では、次のとおりです(2026年10月時点)。
- ヨシケイ「お試し5days」: ヨシケイを初めて利用する人が対象です。月曜から金曜の5日分が、毎日届きます。キャンセルは、配達日の前の週の水曜17時まで(申し込む週によって変わる場合があります)。申し込みのあと、スタッフからメールや電話で連絡が来ることがあります。内容は地域によって違う場合があります
- Oisix「おためしセット」: 定期購入ではなく、Oisixを初めて利用する世帯が1回に限り注文できるセットです。送料は無料ですが、離島など一部の地域には届けられません。注文が確定したあとのキャンセルはできません
- らでぃっしゅぼーや「ふぞろい食材おためしセット」: 野菜などの食材のおためしセットで、ミールキットとは違います。初めての人だけが、1回に限り注文できます。おためしセットを買っても、定期コースには自動で切り替わりません(定期コースは別に申し込みます)。支払いは、クレジットカードの1回払いだけです
お試しで届く量は、ふだんの注文より多いことがあります。届く日までに、冷蔵庫と冷凍庫を空けておきましょう。
国民生活センターは2024年11月、インターネットで注文する食事の宅配(弁当や総菜など)についての相談をまとめ、注意を呼びかけました。定期コースについては、お試し価格で申し込んだあとに「冷凍庫に入りきらない」と気づいた例や、家族が注文を知らずに受け取りを断ってしまった例が紹介されています。同センターは、注文の前に次の点を確かめるようすすめています。
- 1回に届く個数と、購入する回数
- 変更や解約の条件
- 届く日(確実に受け取れるようにし、同居の家族にも伝えておく)
これは弁当や総菜の宅配についての助言ですが、ミールキットを申し込むときにも、そのまま役に立つ確認です。
まとめ
ミールキットは、サービスの名前から選ぶより、自分の暮らしに合う届き方から選ぶと、続けやすくなります。毎日使わなくてもかまいません。わたしも週に3〜4回だけ頼み、ほかの日は自分の食べたいものを作っています。「帰りが遅くなりやすい曜日だけ」「忙しい月だけ」という使い方でも、考える時間と買い物の時間は減らせます。
毎日届く型と週1回まとめて届く型のどちらにするかは、夕食づくりが重くなる曜日が決まっているかどうかで考えやすくなります。それでも決めきれないなら、冷蔵庫に数日分を入れておく空きがあるかどうかを決め手にしてください。

