毎日の洗い物、洗濯物を干して取り込む作業、床の掃除。どれも少しずつ時間を取られる家事です。
食洗機、ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機と、時短家電は候補が多いうえに、決して安い買い物ではありません。買ったあとに「置き場所に入らなかった」「思ったより手入れが面倒で使わなくなった」ということにならないよう、選ぶ前に確認しておきたいポイントがあります。
自分の家の困りごとから考えれば、どれを選ぶかは決めやすくなります。賃貸で使えるか心配な人も、確認する点が分かれば判断に迷いません。買ってから気づく失敗は、どれも似た形をしています。
時短家電選びで失敗しやすいポイント
買う前に知っておくと、同じ失敗を避けやすくなります。
- 置けなかった・入らなかった: 本体のサイズだけを見て買うと、設置場所に入っても、搬入経路を通らない、扉が壁に当たって開かない、蛇口の形に合わないといった問題が起こることがあります
- 困りごとに合っていなかった: 話題の家電を買ったものの、もともと負担に感じていなかった家事だったため、あまり使わなくなるケースもあります
- 手入れが思ったより大変だった: 時短家電は、家事を「ゼロ」にするのではなく「減らす」ものです。フィルターの掃除やゴミ捨てなど、買ったあとにも一定の手入れが必要になります
- 運転音や電気代が気になった: 夜間や早朝に使いたい場合、集合住宅では運転音が気になることがあります。乾燥機能などは、使い方によって電気代も変わります
どれも、「どの家事の負担を減らしたいのか」をはっきりさせてから、設置条件と手入れまで確認して選べば、避けやすくなる失敗です。
どれから買う?困りごと別の選び方
時短家電を選ぶときは、「人気の家電」からではなく、「自分の家で毎日時間がかかっている家事」「できればやりたくない家事」から考えるのがおすすめです。

- 毎日の洗い物がつらい → 食器洗い乾燥機(食洗機): 食後の洗い物や、手荒れが気になる人に向いています。洗うだけでなく乾燥まで任せられるため、水切りかごに食器が並ぶ状態も減らせます
- 洗濯物を干す・取り込む時間がない → ドラム式洗濯乾燥機: 洗濯から乾燥までを1台で行えるため、干す・取り込む作業を減らせます。天気や花粉の時期を気にせずに洗濯できる点も特徴です
- 床掃除の時間がない → ロボット掃除機: 外出中や家事をしている間に、床の掃除を任せられます。床に物が少ない部屋ほど、力を発揮しやすい家電です
複数の家事に困っている場合は、「毎日発生する家事」「1回にかかる時間が長い家事」から優先すると、時短を実感しやすくなります。家族で暮らしている場合は、どの家事がいちばん負担になっているかを話し合って決めるのもよい方法です。
食器洗い乾燥機(食洗機)の選び方
食洗機は、置き方・給水の方式・容量・置き場所が互いに関わるので、どれか一つだけでは決まりません。キッチンに工事ができるか、蛇口に部品を付けられるかが、最初の分かれ道です。
卓上型かビルトイン型か
食洗機には、大きく分けて2つのタイプがあります。
- 卓上型: キッチンの空いたスペースに置いて使うタイプ。工事が比較的少なく、賃貸住宅でも検討しやすいタイプです
- ビルトイン型: システムキッチンに組み込むタイプ。キッチンの作業スペースを減らさずに使えますが、設置には工事が必要です。持ち家でキッチンのリフォームを考えている場合などに検討されることが多いタイプです
給水方式(分岐水栓式・タンク式)
卓上型の食洗機には、給水の方法が2種類あります。
- 分岐水栓式: 蛇口に「分岐水栓」という部品を取り付けて、食洗機に自動で給水する方式です。毎回水を入れる手間がかかりません。パナソニックによると、分岐水栓は取り外せば元に戻せるため、賃貸住宅でも検討できますが、契約内容の確認が必要で、取り外した元の部品は保管しておく必要があります。また、蛇口によって合う分岐水栓が異なり、取り付けられない蛇口もあるため、事前の確認が欠かせません
- タンク式: 分岐水栓を取り付けずに、本体のタンクに水を入れて使う方式です。買ってすぐに使えますが、運転するたびに給水が必要になります
毎日使うなら給水の手間が少ない分岐水栓式、蛇口の形が合わない場合や工事を避けたい場合はタンク式、という考え方が一般的です。
容量は家族の人数と食器の量で選ぶ
パナソニックの卓上型食洗機では、容量の目安として、食器約40点で5人分、約24点で3〜4人分、約18点で3人分、約6点で1人分とされています(日本電機工業会の自主基準による計測)。
ただし、鍋やフライパンもまとめて洗いたい場合や、1日分の食器をまとめて洗いたい場合は、人数の目安より大きめの容量を選ぶ人もいます。一方で、容量が大きいほど本体も大きくなるので、容量は次の設置スペースとあわせて決めます。
設置スペースで確認すること
卓上型の食洗機を置く場合は、次の点を確認します(パナソニックの設置ガイドより)。
- 本体のサイズが収まるか: 大容量タイプは高さ約60×幅約55×奥行約35cm、1人用のコンパクトなタイプは高さ約43.5×幅約31×奥行約22.5cmなど、容量によって大きさが大きく変わります
- コンロから離せるか: コンロなどの熱源からは15cm以上離して設置します
- 壁との間にすき間があるか: 本体と壁の間には0.5cm以上のすき間が必要です
- 上に空間があるか: 運転中に排気の蒸気が出るため、上部にできるだけ空間を確保します。吊り戸棚のすぐ下などは注意が必要です
- 扉を開けたときに蛇口に当たらないか: シンクの横に縦向きに置く場合などは、扉の開く範囲も確認しましょう

買ったあとに残る手入れ
食洗機を使うと、手で洗う時間は減りますが、次のような手入れや作業は残ります。
- 食器を並べる・取り出す
- 残さいフィルター(食べかすを受けるフィルター)の掃除
- 食洗機専用の洗剤の補充
- 食洗機に対応していない食器や調理器具の手洗い(食器の表示や取扱説明書で確認)
パナソニックの NP-TA5 は、食器40点・小物20点を洗える5人分相当の卓上型で、庫内容積は約50Lです。大皿やフライパンも一緒に洗えます。運転音は38dB(50Hz)・40dB(60Hz)で、質量は約19kgあります。
SOLOTA(NP-TML1)は、庫内約10Lの1人分の食洗機で、分岐水栓を付けずに、本体のタンクに水を入れて使います。付属の排水ホースは約0.8mなので、置き場所から排水先までの距離も測っておきます。
ドラム式洗濯乾燥機の選び方
ドラム式洗濯乾燥機は本体が大きく重いため、選ぶ前の確認が特に大切な家電です。パナソニックは、購入前に確認すべきこととして、次の4つを挙げています。
1. 搬入経路
設置場所に置けても、そこまで運び込めなければ設置できません。建物の入口、エレベーター、階段、玄関、廊下の幅・高さを測っておきましょう。エレベーターの中や、階段の踊り場のスペースは見落としやすいポイントです。
2. 設置スペース(防水パンと扉の向き)
洗濯機置き場に防水パン(防水フロアー)がある場合は、外寸と内寸を測り、購入候補の機種が置けるかどうかをメーカーのサイトやカタログで確認します。
ドラム式は、扉が横に開くタイプが多く、扉の向きには右開きと左開きがあります。扉が壁に当たらないか、開けた扉で通路がふさがらないかを考えて、向きを選びます。
3. 排水口
洗濯機の真下に排水口がある場合は、排水口の高さによって、本体の下に必要なすき間が変わることがあります。排水口の位置と高さも、あわせて見ておきたいところです。
4. 蛇口の高さとコンセントの位置
ドラム式は背が高い機種が多いため、蛇口が低い位置にあると、本体が蛇口に当たって設置できないことがあります。蛇口の高さと形、コンセントの位置も、購入前に確認が必要です。
乾燥方式(ヒートポンプ式・ヒーター式)
ドラム式洗濯乾燥機の乾燥方式には、主に「ヒートポンプ式」と「ヒーター式」があります。
| ヒートポンプ式 | ヒーター式 | |
|---|---|---|
| しくみ | 空気を除湿・加熱しながら乾かす | ヒーターの温風で乾かす |
| 乾燥時の温度(パナソニックの説明) | 約65℃の低温風 | 槽内が80℃近くになりやすい |
| 衣類への影響 | 縮みや傷みが少ない | 縮みや傷みが起きやすい |
| 電気代 | 抑えやすい | かかりやすい |
| 向いている人 | 乾燥機能をよく使う人 | 乾燥機能をあまり使わない人 |
パナソニックが示している標準消費電力量の参考値では、ヒートポンプ式の機種が約800Wh、ヒーター式の機種が約2,400Whとされています。これを、家電の電気代表示に使われる目安単価(31円/kWh)で計算すると、1回あたり約25円と約74円になります。
ただし、これは特定の機種の参考値をもとにした計算で、実際の電気代は、機種、衣類の量や素材、契約している電気料金プランなどによって変わります。乾燥機能を毎日のように使うなら、本体価格だけでなく、こうした運転にかかる費用もあわせて比べるとよいでしょう。乾燥機能をあまり使わない場合は、本体価格を抑えやすいヒーター式を選ぶ人もいます。
乾燥機付き洗濯機の機種ごとの違いは、次の記事で紹介しています。


買ったあとに残る手入れ
乾燥機能を使うと、干す・取り込む作業は減りますが、乾燥フィルターにたまったホコリの掃除など、定期的な手入れが必要です。フィルターにホコリがたまったままだと、乾きにくくなる原因にもなるため、取扱説明書に沿った手入れが欠かせません。また、乾燥機能を使えない衣類もあるため、洗濯表示の確認も必要です。
東芝の ZABOON TW-127XP5L は、洗濯12kg・乾燥7kgのヒートポンプ式で、洗濯から乾燥までの消費電力量は1330Whです。運転音は洗濯32dB・脱水37dB・乾燥48dB。置くには奥行の内寸が520mm以上の防水パンが要り、本体は幅645mm(排水ホースを含む)・高さ1060mmあります。
パナソニックの NA-LX129EL も同じヒートポンプ式(洗濯12kg・乾燥6kg)ですが、洗濯から乾燥までの消費電力量は800Whと、上の機種より少なめです。防水パンは奥行の内寸540mm以上が必要で、本体は幅63.9×奥行72.2×高さ106.0cm、重さは約81kgあります。
運営者の場合:毎日、乾燥まで回している
わたしは、パナソニックのドラム式洗濯機を使っています。洗濯は毎日で、そのたびに乾燥まで回すので、服を干さなくてよくなりました。その代わり、フィルターの掃除は毎日、排水フィルターの掃除は2〜3日に1回しています。乾燥を使うぶんの電気代にも気をつけていて、乾燥が終わったらすぐに取り出すのも、しわにしないための習慣です。
ロボット掃除機の選び方
ロボット掃除機がどこまで掃除できるかは、部屋の段差と家具の下のすき間で決まります。機能を比べるのは、その2つを測ってからでも遅くありません。
段差を越えられるか
ロボット掃除機が乗り越えられる段差は、多くの機種で2cm程度までとされています。部屋と部屋の間の敷居や、ラグ・カーペットの厚みなどで段差がある場合は、候補の機種の公式スペックで、越えられる段差の高さを確認しましょう。段差を越えられない場合は、部屋ごとに掃除させるなどの使い方になります。
家具の下に入れるか
ベッドやソファの下を掃除させたい場合は、本体の高さと、家具の下のすき間の高さを比べます。たとえばアイロボットの「ルンバ」は、本体の高さが約9.2cmの機種があり、家具の下に10cm程度のすき間があれば入れる目安になります。機種によって高さは異なるため、購入前にスペックで確かめておくと確実です。
あると便利な機能
毎回のゴミ捨て、部屋ごとの掃除、床のコード、拭き掃除。どれが手間になっているかで、要る機能は変わります。
- 自動ゴミ収集(自動ゴミ排出): 掃除が終わると、充電台(ステーション)が本体のゴミを自動で吸い取る機能です。本体のゴミを毎回捨てる手間が減り、ステーションの紙パック交換は数週間〜数か月に1回程度になる機種もあります(ゴミの量や機種によって変わります)
- マッピング(間取りの学習): 部屋の形を覚えて、効率よく掃除したり、「キッチンだけ」のように部屋を指定して掃除したりできる機能です。入ってほしくない場所を設定できる機種もあります
- 障害物の回避: カメラやセンサーでコードなどの障害物をよける機能です。床に物が置かれやすい家庭で役立ちます
- 水拭き: 掃除機がけに加えて、床の水拭きもできる機種があります
機能が増えるほど本体価格も高くなる傾向があります。上の4つのうち、自分の家で手間になっているものに絞って選べば十分です。
買ったあとに残る手入れと準備
ロボット掃除機を使う場合、次のような作業は残ります。
- 掃除の前に、床の物やコード類を片付ける(アイロボットも取扱説明書で、電化製品のコードを抜いて移動させるようすすめています)
- ゴミの処理(自動ゴミ収集がない場合は、ほぼ毎回)
- ブラシに絡まった髪の毛の除去や、フィルターの掃除
ロボット掃除機を活かすには、床に物を置かない部屋づくりもセットで考えるとよいでしょう。段差のある場所や家具のすき間、階段など、ロボット掃除機が入れない場所は、自分で掃除する場所として分けておくと使いやすくなります。床に物を置かない収納の考え方は、次の記事で紹介しています。

エコバックスの DEEBOT N20 PRO PLUS は、吸引と床の水拭きを1台でこなし、ゴミを自動で集めるステーションも付いています。拭き掃除まで任せたい家なら、候補に入る1台です。
Anker の Eufy Auto-Empty C10 は、本体の高さが約7.2cmの薄型で、自動ゴミ収集ステーションが付いています。乗り越えられる段差は17mmまでなので、敷居のある家は高さを先に測っておくと確かです。Wi-Fiは2.4GHzのみの対応です。
電気代の考え方
家電の電気代は、次の式で目安を計算できます。
電気代(円)= 消費電力量(kWh)× 電気料金の単価(円/kWh)
家電のカタログなどで使われる電気料金の目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている31円/kWh(税込)です。たとえば、1回の運転で800Wh(0.8kWh)を使う家電なら、0.8×31=約25円が1回あたりの目安になります。
ただし、実際の単価は、契約している電力会社や料金プランによって異なります。より正確に知りたい場合は、電気料金の明細で自分の家の単価を確認して計算してみてください。消費電力量は、各メーカーの公式サイトやカタログ、取扱説明書に記載されています。
電力会社や料金プランの見直し方は、次の記事で紹介しています。

賃貸・集合住宅で使うときの注意
借りている部屋に置くなら、設備に手を加えるときの確認、運転音、引っ越したあとのことまで考えておきたいところです。
- 工事や部品の取り付けは管理会社に確認する: 食洗機の分岐水栓の取り付けなど、設備に手を加える場合は、事前に管理会社や大家さんに確認しましょう。取り外した元の部品は、退去時に戻せるよう保管しておきます
- 運転音と使う時間帯を考える: 食洗機やドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機は、運転中に音が出ます。夜間や早朝に使いたい場合は、公式スペックの運転音(dB)を比べたり、タイマーやスマートフォンの予約機能で運転する時間帯を調整したりすると、音が気になりにくくなります
- 引っ越しの可能性も考える: 引っ越しの予定がある場合は、次の住まいでも置けるサイズか、搬入しやすいかも考えておくと、買い替えの負担を減らせます
まとめ
時短家電は、話題になっているものより、自分の家で毎日負担になっている家事から選ぶほうが、買ったあとも使い続けやすくなります。どの家電も、本体が収まるかだけでなく、搬入経路や蛇口の形、買ったあとに残る手入れまで見ておけば、「置けない」「使わなくなった」という失敗は防げます。
迷ったときは、買ったあとに残る手入れまで含めて、自分が続けられるかどうかを目安にしてください。

