片付けを始めたら、部屋の隅に「もう使わない物」の山ができた。まだきれいな服や、ほとんど使っていない家電を、ごみに出すのはもったいない気がする。かといって、売るには手間がかかりそうで、どうすればよいか決められないまま、山がそのまま残っている。片付けの途中で、手が止まりやすいところです。
手放し方は、物の状態や大きさ、かけられる手間、いつまでに手放したいかで選ぶと、迷いにくくなります。決まった出し方がある家電や、頼む前に確かめたい回収業者のことも、先に知っておくと、出す段になって慌てません。
山を前にして迷うのは、物のことより、自分の予定や手間がはっきりしていないときかもしれません。
手放す前に決めておくこと
行き先を選ぶ前に、期限と、かけられる手間と、手放す物の置き場所を決めておきます。この3つが決まっていないと、どの方法を選んでも途中で止まりがちです。
いつまでに手放したいか
引っ越しの日が決まっている、年末までに部屋を空けたいなど、期限があるときは、時間のかかる方法を選ぶと間に合わないことがあります。フリマアプリは、売れるまでの日数が読めません。粗大ごみも、申込みから収集までに日にちがかかります。期限が近いほど、すぐに手放せる方法が向いています。
どれだけ手間をかけられるか
売る方法は、写真を撮る、説明を書く、梱包して送るなど、手間がかかります。忙しい時期に、売るつもりの物を何十点も抱えると、それ自体が新しい「片付かない山」になります。「売るのは、これとこれだけ」と、数を決めておくと続きます。
置き場所と期限を決めておく
手放す物は、1か所にまとめて置きます。売るつもりの物には、「○月○日までに売れなければ、譲るか処分する」と期限を決めておきましょう。期限を過ぎた物を部屋に戻せば、山はまた元どおりです。
物を出して分けるまでの順番は、次の記事で紹介しています。

手放し方は4つから選ぶ
不用品の行き先は、大きく分けて「売る」「譲る」「自治体に出す」「決まった出し方で出す」の4つです。

まだ使える物は、売るか譲る。使えない物や、手間をかけたくない物は、自治体のごみに出す。家電の一部やパソコンのように、法律などで出し方が決まっている物は、その方法で出します。回収業者に頼む方法もありますが、頼む前に確かめたいことがあります(あとの章で説明します)。
売る: まだ使えて、売れそうな物
まだ使える物でも、売るには写真や梱包の手間がかかり、お金になるまでの日数もまちまちです。売る物は、使える時間と相談して選びます。
売り方の違い
家具や家電はリサイクルショップ、同じ種類の本や服がたくさんあるなら宅配買取というように、物によって向く売り方が分かれます。
| 売り方 | 向いている物 | 手間 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| フリマアプリ | 服、本、小物、人気のある物 | 写真・説明・梱包・発送を自分でする | 売れるまでの日数が読めない。買う人とのやりとりがある |
| リサイクルショップ(持ち込み) | 家具、家電、まとめて手放したい物 | 店まで運ぶ | 値段がつかない物もある |
| 宅配買取・出張買取 | 本、服、ブランド品など、同じ種類が多い物 | 箱に詰めて送る、または来てもらう | 値段が分かるのは査定のあと |

フリマアプリで売るときの注意
フリマアプリは、個人どうしの取引です。自治体の消費生活センターなどは、出品者のトラブルとして、「届いていない」と言われる、商品に苦情を言われて代金が支払われない、といった例を挙げています。運営会社が間に入ってくれるとはかぎらないので、出品する側でも次のことを守っておきます。
- 傷や汚れは、写真と説明で正確に伝える
- 発送は、追跡できる方法を選び、発送の記録を残す
- アプリの利用規約と、出品できない物の決まりを確かめる
梱包に使う袋や緩衝材は、家にある物で足りることも多いですが、何点も送るなら、まとめて用意しておくと手早く送れます。
この宅配ビニール袋は、B5・A4・A3・特大の4サイズから選ぶ100枚入りで、口のフタにのりが付いています。のりは一度貼るとはがせない作りなので、封をするのは中身と送り先を確かめてから。A4サイズは縦31.5cm×横25cmで、中が透けない白い袋です。
家電を売るときは、古物商の許可がある店に
まだ使える家電は、売ることもできます。環境省は、リユース(製品のまま、ほかの人に使ってもらうこと)を目的に家電を手放すときは、古物商の許可を持つ、信頼できるリユースショップに買取を頼むよう案内しています。
譲る: まだ使えるが、売るほどではない物
売るほどの値段はつかなくても、まだ使える物は、譲るという方法があります。
- 家族や友人、職場の人に声をかける
- 地域の掲示板やアプリで、受け取りに来てくれる人を探す
- 自治体や地域の団体が行っている、リユースの催しや回収を使う
譲るときも、相手と受け渡しの日時や場所を決めるやりとりがあります。大きな家具を譲るときは、運び出しを誰がするかも先に決めておきましょう。
服は、売る・譲るの前に、季節ごとに見直すと量がたまりにくくなります。服の分け方としまい方は、次の記事で紹介しています。

自治体に出す: 使えない物、手間をかけたくない物
使えない物は、収集に出すか、処理施設に自分で運ぶかのどちらか。決まりは市区町村ごとに違うので、住んでいる所の案内が出発点です。
燃やすごみ・資源・粗大ごみ
壊れた物や、汚れて使えない物は、自治体のごみに出します。分け方と収集日は、住んでいる市区町村の案内で確かめます。品目ごとの分け方は、自治体のページやアプリで調べられることが多いです。
家具や寝具のような大きな物は、粗大ごみとして、事前の申込みと手数料が必要なことが多くあります。大きさの基準は自治体で違い、たとえば東京都新宿区は「一辺がおおむね30cmを超えるもの」としています。申込みから収集までは日にちがかかるので、引っ越しなど期限があるときは、早めに申し込んでおくと間に合いやすくなります。
自分で持ち込める自治体もある
自治体によっては、ごみの処理施設に自分で持ち込むことができます。車で運べるなら、収集を待たずに手放せる場合があります。持ち込める物、受付の日時、料金は自治体で違うので、行く前に案内を見ておきます。
決まった出し方がある物
家電の一部やパソコン、名前の書かれた書類は、ふつうのごみと同じようには出せません。手元にある物がどれに当たるかを、出す前に見分けておきます。
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法で出し方が決まっていて、粗大ごみには出せません。環境省によると、家電の小売店などが引き取り、メーカーがリサイクルします。
- 引き渡すときに、「リサイクル料金」と「収集運搬料金」がかかる
- 料金を払うと「家電リサイクル券」が出る。券の番号で、引き渡しが終わったかを確かめられる
- 買い替えるときは買った店に、買い替えないときは、その製品を買った店などに頼む(分からないときは、市区町村に問い合わせる)
パソコン
家庭のパソコンは、メーカーが回収してリサイクルする仕組みがあります。「PCリサイクルマーク」が付いているパソコンは、新たに料金を払わずに回収してもらえ、マークがないパソコンは有料、と案内している自治体があります。申込みの方法は、メーカーごとの案内に沿って進めます。自治体の小型家電の回収ボックスで受け付けている場合もあります。
どの方法で出す場合も、中のデータは、手放す前に自分で消しておきます。スマートフォンも同じで、初期化してから手放しましょう。
小型家電
ドライヤー、電気シェーバー、ゲーム機のような小さな家電は、自治体が役所や店に回収ボックスを置いていることがあります。ボックスに入る大きさや、受け付ける品目は自治体で違います。持っていったのに入らなかった、とならないよう、出す前に案内を見ておきます。
書類・郵便物
名前や住所が書かれた書類は、そのまま捨てずに、個人情報の部分を消すか、細かく切ってから出します。書類の分け方と、捨ててよい時期の目安は、次の記事で紹介しています。

不用品回収業者に頼む前に確かめること
まとめて運び出してくれる回収業者は手軽に見えますが、料金や許可をめぐる相談が増えています。頼むかどうかは、許可があるかと、見積もりの中身で決めます。
回収サービスのトラブルは増えている
量が多いときや、運び出しが難しいときは、不用品回収業者に頼む方法もあります。ただ、国民生活センターは、不用品回収サービスのトラブルに注意を呼びかけています。全国の消費生活センターなどに寄せられた相談は、2018年度の1,354件から、2021年度には2,231件に増えました(2022年11月の発表)。
相談の例として、広告で見た「軽トラックパック7,000円」を申し込んだところ、当日2トントラックで来た作業員に25万円を請求された、というものが紹介されています。「トラック詰め放題」で頼んだのに、積める量を限られ、断るとキャンセル料を請求された、という例もあります。
家庭のごみを回収するには、市区町村の許可が要る
環境省によると、家庭から出るごみを回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業の許可」か、市区町村からの委託が必要です。「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」だけでは、家庭のごみは回収できません。
環境省は、許可のない回収業者を使わないよう呼びかけています。回収された物が不法投棄されたり、適正に処理されなかったりした例、高額な料金を請求された例が報告されているためです。大きな音で町を回る、空き地で回収する、チラシやインターネットの広告を出すといった業者の例も挙げています。
頼む前のチェックリスト
国民生活センターの助言をもとに、頼む前に確かめたいことをまとめます。
- まず、住んでいる市区町村に、出し方を相談する(余裕を持って)
- 市区町村以外に頼むなら、一般廃棄物処理業の許可がある業者か、市区町村が委託している業者かを確かめる
- 複数の業者から見積もりを取り、作業の内容、料金、追加料金、キャンセル料を確かめる
- 作業前に納得できない提案があれば、はっきり断る
- 作業のあとに、聞いていない料金を請求されたら、その場では払わない
困ったときは、消費者ホットライン「188(いやや)」で、近くの消費生活センターなどに相談できます。訪問販売にあたる場合は、クーリング・オフができる可能性もあります。

暮らし方に合わせた進め方の例
同じ量の不用品でも、期限があるか、一度にどれだけ動けるかで、進め方は変わります。自分に近い例から、順番を借りてください。
引っ越しの前
引っ越しの日から逆に数えると、時間のかかる物から先に手をつけることになります。
- 1か月以上前: 大きな家具と家電の行き先を決める(売る・譲る・粗大ごみ・家電リサイクル)。粗大ごみは早めに申し込む
- 2週間前: 売れなかった物は、譲るか自治体に出すかを決める
- 直前: 燃やすごみと資源を、収集日に合わせて少しずつ出す
一人暮らしで、週末に少しずつ
平日に時間が取れないなら、1回に扱う数と、売れなかったときの区切りを先に決めておくと、山が増えにくくなります。
- 売る物は、1回に5点までなど数を決める
- 売れなかった物の期限(たとえば1か月)を決めて、過ぎたら譲るか出す
- ごみの収集日の前日に、手放す物の置き場所を見直す
実家の片付けなど、量が多いとき
量が多いときは、物を分け始める前に、家族の考えと、出し方の相談が要ります。
- 家族と、何を残すかを先に話し合う
- 市区町村に、量が多いときの出し方を相談する
- 業者に頼むなら、許可と見積もりを確かめて、複数社を比べる
まとめ
どの手放し方を選ぶかは、物の状態と、かけられる手間と期限で決まります。ただ、家電4品目とパソコンの出し方と、回収業者の許可の確認だけは、急いでいても飛ばせません。
部屋の隅の山から売る物を5点だけ選び、売れなかったときの期限をメモに書いて、残りは次の収集日に出す分と譲る分に分けておくと、山が残りにくくなります。

