地震のニュースを見るたびに、防災グッズをそろえなければと思う。でも、いざ調べてみると、チェックリストには何十もの品目が並び、防災セットも数千円から数万円までさまざまです。一人暮らしの部屋には置き場所も限られていて、何から手をつければよいのか迷ってしまいます。
共働きで日中は家にいないと、「家にいないときに地震が来たら、家の防災リュックは役に立つのか」という疑問もわいてきます。
防災グッズは、役割ごとに分けて考えると、そろえる順番と置き場所がはっきりします。全部を一度にそろえる必要はありません。
防災グッズは、3つに分けて考える
防災グッズは、置いておく場所と使う場面によって、次の3つに分けると整理しやすくなります。
| 分け方 | 置く場所 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 身につける物 | 普段のバッグ | 外出中・勤務中に被災したとき |
| 持ち出す物(非常用持ち出し袋) | 玄関か寝室 | 家から避難するとき |
| 家に置く物(備蓄) | 部屋の収納 | 家で生活を続けるとき |
ここで取り上げるのは、1つ目と2つ目です。家に置く物については、首相官邸のページで、飲料水は1人1日3リットルを目安に3日分、大規模な災害に備えては1週間分の備蓄が望ましいとされています。量の考え方やしまい方は、持ち出し袋とは分けて準備します。
一人暮らし・共働きで気をつけたいこと
一人暮らしでは、持ち出し袋を代わりに用意してくれる人も、避難のときに荷物を分けて持ってくれる人もいません。自分1人で背負える重さに収めることが大切です。
また、共働きで日中は外にいる人は、家の持ち出し袋だけでは、外出中の被災に備えられません。東京都の資料でも、普段から持ち歩ける防災グッズが紹介されています。家の持ち出し袋と、普段のバッグの両方を準備しておくと安心です。
非常用持ち出し袋に入れる物
何を入れるかは、公的なチェックリストを土台にして、自分に要る物だけを残していくと決めやすくなります。
首相官邸のチェックリストをもとにする
何を入れるか迷ったら、首相官邸が公開している「災害の『備え』チェックリスト」(内閣府監修)が目安になります。非常用持ち出し袋に入れる物として、次のような品目が挙げられています。
- 明かりと情報: 懐中電灯、携帯ラジオ(どちらも手動充電式が便利とされている)、予備電池・携帯充電器
- 水と食べ物: 水、食品(アルファ米、レトルト食品、ビスケット、乾パンなど)
- 衛生: 洗面用具、歯ブラシ・歯磨き粉、タオル、マスク、ウェットティッシュ、手指消毒用アルコール
- 体を守る物と寒さ対策: 防災用ヘルメット・防災ずきん、紐なしのズック靴、レインウェア、衣類・下着、使い捨てカイロ、ブランケット、軍手
- 貴重品と連絡: 現金、通帳、運転免許証、マイナンバーカードなどの貴重品、ペン・ノート、救急用品(常備薬を含む)
女性の備えとして、生理用品、防犯ブザー・ホイッスル、中身の見えないごみ袋なども挙げられています。メガネやコンタクトレンズを使う人は、予備も入れておきます。

全部を入れなくてよい
チェックリストの品目をすべて入れると、袋は重くなります。東京消防庁の日野消防署のページでも、非常用品のチェックリストは一般的な例であり、必要な物は家族構成などで違うとして、自分用のチェックリストを作ることをすすめています。
一人暮らしなら、まず「明かり」「水と少しの食べ物」「トイレ」「常備薬」「貴重品」を入れ、そのあとで自分に必要な物を足していくと、絞りやすくなります。
持ち出し袋の選び方と、重さの目安
袋の形と重さは、避難のときに両手を使えるか、最後まで歩けるかに直結します。セットを買うか自分で詰めるかも、あわせて決めておきたいところです。
両手があくリュックにする
持ち出し袋は、リュックサックにします。首相官邸のページでも、持ち出す物をリュックサックに詰めておくよう呼びかけています。徳島県立防災センターの資料では、両手が使えるリュックサック型で、肩ひもが太いものをすすめています。
避難するときは、手すりにつかまったり、頭を守ったりと、手を使う場面が多くあります。手提げのバッグより、リュックのほうが動きやすくなります。
重さは、背負って歩ける量まで
重さの目安は、千葉市の資料では男性15kg、女性10kgです。徳島県立防災センターの資料では、大人の男性10〜15kg、女性5〜10kgとしたうえで、自分の体や体力に合わせるよう勧めています。
数字よりも大切なのは、実際に背負って歩けるかどうかです。詰め終わったら一度背負って、部屋の中や家の近くを歩いてみてください。重すぎると感じたら、持ち出す物を減らし、残りは家に置く物に回します。
防災セットを買うか、自分で詰めるか
防災用品の店では、リュックと中身がそろった1人用の防災セットも売られています。品目を一つずつ選ぶ手間がかからず、まとめてそろえられるのが利点です。
ただし、セットの中身は商品によって違います。届いたら中身をすべて出して確かめ、常備薬、メガネ、モバイルバッテリーのような、自分に必要なのに入っていない物を足します。すでに持っている物が多い人は、リュックだけを買って自分で詰めるほうが、むだがありません。
47Lの防災リュックは、中身の入っていないリュックだけの商品で、反射テープとホイッスルが付いています。容量が大きいので、手持ちの物や買い足す物を、自分で選んで詰めたい人に向いています。
SHELTERの防災セット プレミアムは、約30Lのリュックに、500mlの保存水4本、アルファ米3袋とおにぎり3個、手回しでも充電できるラジオライト、簡易トイレなどが入り、セット全体の重さは約5.0kgです。中身は、入荷の状況によって同等の品に替わることがあります。
防災士と消防士が監修にかかわった、38品目44アイテム入りの防災かばん(あかまる防災)もあります。
品目ごとの選び方
ライト、ラジオ、モバイルバッテリー、携帯トイレ、ホイッスル。同じ品目でも、電源の取り方や中身の数によって、使える場面が変わってきます。
ライトは、両手があくヘッドライトも候補に
明かりは、千葉市の資料で「できれば1人に1つ」とされています。手で持つ懐中電灯のほかに、東京都の資料では、持ち歩く物の例としてヘッドライトが挙げられています。頭に付けるので、両手を使いながら足元を照らせます。
ライトの電源には、乾電池で使う物と、本体に充電して使う物があります。
- 乾電池式: 電池を替えればすぐに使える。予備の電池を一緒に入れておく
- 充電式: 電池を買い足さなくてよい。停電が長引くと、充電する手段が要る
充電式にするなら、モバイルバッテリーから充電できる物だと、停電が長引いても使い続けやすくなります。乾電池式なら、ライトに合う電池を、使用期限とあわせて確かめておきます。
単3形電池1本で点くヘッドライトなら、ジェントスの CP-195DB があります。明るさは120ルーメン、実用点灯時間は7.5時間です。白い明かりのほかに、赤色のサブLEDも付いています。替えの電池は単3形なので、同じ電池を使うほかの道具と、予備を共通にできます。
乾電池をまとめて買っておくときの選び方は、次の記事で紹介しています。

ラジオは、電源の取り方が複数あるものを
停電するとテレビは見られず、スマートフォンも電池が減っていきます。首相官邸のチェックリストでは、携帯ラジオは手動充電式が便利とされています。
防災用のラジオには、手回し、ソーラー、乾電池、USBなど、いくつかの方法で電源を取れるものがあります。手回しやソーラーで充電できる量は商品によって違うので、乾電池でも使える物を選ぶと、電池の替えがあるうちは使い続けられます。
ワイドFM(FM補完放送)に対応しているかも見ておきます。ワイドFMは、AMラジオの番組をFMの電波でも流す放送で、総務省はAMラジオの聞こえにくさへの対策や災害への備えとして整えています。
Torreya の多機能防災ラジオは、ソーラーと手回し、USBで内蔵の電池を充電でき、別売の単4乾電池でも動きます。ワイドFMに対応し、重さは520g。防水はIPX3相当の生活防水なので、水に沈める使い方には向きません。
ソニーの ICF-B300 も、手回し・USB・太陽光で内蔵の電池に充電できます。単3形アルカリ乾電池2本でも使え、ワイドFMにも対応しています。上に付いたソーラーパネルは屋外用で、部屋の明かりでは充電できません。また、ラジオを聴きながらのスマートフォンの充電には対応していません。
モバイルバッテリーは、自分のスマホに合う容量で
スマートフォンは、情報を集めたり、家族や職場と連絡を取ったりするのに欠かせません。東京消防庁も、停電への備えとして、懐中電灯とあわせてスマートフォンの予備バッテリーを挙げています。
容量について、東京都の資料では、自分のスマートフォンのバッテリー容量を把握したうえで、数回充電できるもののうち、持ち運びやすい重さのものを選ぶよう勧めています。容量が大きいほど重くなるので、普段のバッグにも入れるなら、重さもあわせて見ます。
モバイルバッテリーは、リチウムイオン電池を使った製品です。NITE(製品評価技術基盤機構)は、2026年7月の資料で、事故を防ぐための「3つのC」を呼びかけています。
- 賢く選ぶ: 販売している事業者の連絡先や製品の情報、リコールの情報を確かめる。表示のマークが適切かを見る
- 丁寧に使う: 高温になる場所で使ったり、置いたりしない。強い衝撃や圧力を加えない。異常を感じたら使うのをやめる
- 正しく捨てる: メーカーの回収や、自治体の回収の区分を確かめる
NITEが確かめるよう呼びかけている「表示のマーク」の一つが、電気用品安全法のPSEマークです。選ぶときは、商品の説明にPSEマークの表示があるかを見ておきます。
アンカーの Zolo Power Bank は、容量10000mAhで、長さ約14cmのUSB-Cケーブルが本体に付いています。大きさは約109×65×25mm、重さは約212gで、PSEマークの技術基準に適合した製品です。Lightning端子のiPhoneに使うなら、別にケーブルを用意します。
携帯トイレは、持ち出し袋にも入れる
災害のときは、水が流せなくなったり、避難先のトイレが混み合ったりすることがあります。東京都の資料では、携帯トイレを、便座に取り付けて使う凝固剤入りの袋として紹介しています。便座にビニール袋と凝固剤を入れれば、そのままトイレとして使えます。
携帯トイレは、家に置く備蓄の品目に入っていることが多いですが、東京都の資料では持ち歩く物の例にも挙がっています。持ち出し袋と普段のバッグにも、数回分を入れておくと、避難の途中や外出先で困りにくくなります。
選ぶときは、次の点を見ます。
- 凝固剤が1回分ずつに分かれているか(必要な分だけ取り出せる)
- 便座にかける袋が付いているか、別に用意が要るか
- においを防ぐ袋が付いているか
- 保存できる期間はどのくらいか
停電で夜のトイレが暗くなることもあるので、ライトと一緒にしておくと使いやすくなります。
ONE STEP の簡易トイレは、便座にかける汚物袋と、1回分ずつに分かれた凝固剤、防臭袋が組になっていて、約15年保存できます。回数は10回分から600回分まで選べますが、20回分のセットは防臭袋が5枚と回数より少ないので、選ぶときに中身の数を見ておきます。
ホイッスルは、身につけておく
ホイッスル(笛)は、閉じ込められたときなどに、音で自分の居場所を周りに知らせるための道具です。
首相官邸のページでは、寝室の手の届く所に、懐中電灯やスリッパと一緒にホイッスルを備えておくよう呼びかけています。小さくて軽いので、鍵やバッグに付けておくと、いつでも持ち歩けます。
愛の笛 ヘルピ〜の大きさは約50×33mm、重さは約10g。人の耳に聞こえやすいとされる3000Hz付近の音が出ます。首に掛けるひもは、強く引っ張ると留め具が外れる作りです。色は4色ありますが、どれも暗い所で光る蓄光ではありません。
お風呂に入れないときの備え
断水が続くと、体や髪、口の中を水で洗えない日が出てきます。少ない水で清潔を保つ道具は、持ち出し袋と家とに分けて用意します。
断水すると、お風呂に入れない日が続くことがある
地震などで水道が止まると、家のお風呂やシャワーは使えなくなります。東京都の資料では、阪神・淡路大震災のときに神戸市の全世帯が断水し、復旧までに数か月かかったことが紹介されています。
避難所でも、お風呂は自由には使えません。内閣府の避難生活の取組指針では、自治体に対し、国際的な基準(スフィア基準)に沿って、シャワーや仮設風呂などの入浴施設を50人に1つ設けるよう求めています。多くの人で順番に使うことになります。
内閣府の資料では、入浴は体を清潔にし、ストレスの解消にも効果があるとされています。お風呂に入れない間も、体や口を少しでも清潔に保てるように、水をあまり使わない道具を用意しておきます。

持ち出し袋に入れる物と、家に置く物
衛生の道具は、持ち出し袋に少しと、家に多めに、の2か所に分けて用意します。持ち出し袋は重さに限りがあるので、避難してすぐの間に使う分だけを入れ、残りは家に置きます。
| 用途 | 持ち出し袋に入れる物 | 家に置く物 |
|---|---|---|
| 体 | 個包装の体拭きシート、ウェットティッシュ | 体拭きシートを多めに |
| 髪 | 小さな容量の水のいらないシャンプー | 大きめの容量のもの |
| 口 | 歯ブラシ、小さな液体ハミガキ・洗口液、コップ | 液体ハミガキ・洗口液のボトル |
| 下着 | 下着の替え、生理用品 | 季節の衣類、生理用品を多めに |
| 手 | 手指消毒用アルコール、ウェットティッシュ | 石けん・ハンドソープ |
首相官邸のチェックリストでは、持ち出し袋に入れる物として、ウェットティッシュ、タオル、歯ブラシ・歯磨き粉、衣類・下着、手指消毒用アルコール、石けん・ハンドソープが挙げられています。千葉市と徳島県立防災センターの資料では、ドライシャンプー(水のいらないシャンプー)が、家に備える生活用品の例に入っています。家に置く量の考え方は、水や食料の備蓄とあわせて決めます。
体を拭くシートは、大判で個包装のもの
体を拭くシートは、お風呂の代わりに体の汚れや汗をふき取る物です。首相官邸のチェックリストにはウェットティッシュ、東京都の資料では持ち歩く物の例として汗拭きシートが挙げられています。
体を拭くためにそろえるなら、顔や手を拭く小さなウェットティッシュとは別に、体用の大きなシートを用意しておきます。選ぶときは、次の点を見ます。
- 大きさ: 1枚で背中や足まで拭ける大判か
- 個包装か: 1枚ずつ包まれていると、持ち出し袋や普段のバッグに必要な枚数だけ入れられる
- アルコールの有無: 何日も続けて使うので、肌に合うかを見る。ノンアルコールと書かれた物もある
- 保存できる期間: 長く保存できると書かれた防災用の物もある。点検のときに期限を確かめる
トーヨの「からだも拭けるウエットタオル ジャンボ」は、1本が60×30cmの個包装で、アルコール不使用・無香料。20本入りの袋1つで売られています。
水のいらないシャンプーは、使い方を一度試しておく
水のいらないシャンプー(ドライシャンプー)は、髪や頭皮にかけてから、タオルなどでふき取って使う物です。頭に直接スプレーする物、タオルに含ませて拭く物、泡やジェルの物など、商品によって形と使い方が違います。
災害のときに初めて使うと、量や拭き取り方に迷うことがあります。買ったら一度使ってみて、自分に合うかと、どのくらいの量を使うかを確かめておくと、持ち出し袋に入れる容量を決めやすくなります。開けたあとは使う期間の目安がある商品もあるので、商品の説明を確かめてください。
フレッシィのドライシャンプーは150mlのスプレーで、頭皮と髪に吹きかけて指でもみ、タオルで拭き取って使います。使用期限は設けられていないものの、保管の目安は未開封で3年、開けてからは1年以内です。成分にエタノールを含むため、火の気のある所では使わないようにします。
口の中の手入れは、少ない水で続ける
お風呂と同じように、歯みがきも水が少ないと後回しになりがちです。日本歯科医師会の資料では、口の中を清潔にしておかないと、口の中で細菌が増えて肺炎を起こしやすくなるとして、少ない水でも歯をみがくよう呼びかけています。特に高齢の人は、誤嚥性肺炎への注意が要ります。
同じ資料で紹介されている、少ない水での歯みがきの手順は次のとおりです。
- コップを2つ用意し、水の少ないほうで歯ブラシをぬらす
- 歯をみがき、歯ブラシが汚れたら、ぬらしたティッシュで汚れを取る
- 少ない水のコップですすぎながら、歯みがきと汚れ取りをくり返す
- 最後に、もう1つのコップの水で、少なくとも2回口をゆすぐ
水がないときは、シュガーレスガムをかんで唾液を出すことや、マウスウォッシュ(洗口液)で口をすすぐことがすすめられています。マウスウォッシュなら、刺激の少ないノンアルコールのものが、同じ資料のおすすめです。歯ブラシがないときは、少しの水やお茶でうがいをしてから、タオルやティッシュで歯の表面をこすって汚れを取る方法も紹介されています。
厚生労働省のサイトに載っている、口腔ケアの学会などによる災害時のQ&Aでは、うがいをしにくい状況では、研磨剤の入ったチューブの歯みがき剤は使わないようにする、としています。口の中に残ると乾きやすくなるためです。液体ハミガキや洗口液が手に入れば、水だけよりも歯垢を取りやすくなります。うがいは、一度に多くの水を含むより、少量ずつ分けて何回かすすぐほうが向いています。
新潟県のページでも、歯ブラシと、水がなくても使いやすい液体ハミガキを、防災グッズとして用意しておくようすすめています。持ち出し袋には、歯ブラシ、小さな液体ハミガキか洗口液、コップを入れておくと、避難先でも手入れを続けやすくなります。家に置く分は大きめのボトル、持ち出し袋には歯ブラシなどがまとまった1人用のセット、と分けて用意する方法もあります。
持ち出し袋用にまとめて用意するなら、CORAFTURE の防災用歯磨きセットがあります。全長10cmのミニ歯ブラシ6本、フロス6本、ハミガキシート10枚が入り、朝晩2回で1人3日分です。歯みがき粉は使わず、歯ブラシとフロスのあとに、指に巻いたシートで口の中を拭き取ります。
サンスターの GUM デンタルリンス ノンアルコールタイプは、960mlのボトルに入った、医薬部外品の液体歯みがきです。1回に約10ml(3〜4回押した分)を口に含み、20秒ほどすすいで吐き出してから、そのままブラッシングします。
下着と生理用品の替えも入れる
首相官邸のチェックリストでは、持ち出し袋に衣類・下着を入れるよう挙げています。女性の備えとして、生理用品、サニタリーショーツ、おりものシート、中身の見えないごみ袋も挙げられています。
お風呂に入れない日が続くときは、下着を替えられるかどうかも、過ごしやすさに関わります。徳島県立防災センターのチェックシートでは、衣類は季節や一人ひとりの状況で数を決めるとされ、タオルを安全ピンで留めて下着の代わりにする使い方も紹介されています。持ち出し袋の重さと相談しながら、下着の替えを何枚入れるかを決めておきます。
生理用品は、東京都の資料でも、普段のバッグに入れておく物の例に入っています。家にいるときも外出中も手元にあるよう、持ち出し袋と普段のバッグの両方に少しずつ入れておきます。
手を清潔にする道具
首相官邸のチェックリストには、感染症対策にも役立つ物として、マスク、手指消毒用アルコール、石けん・ハンドソープ、ウェットティッシュが挙げられています。水で手を洗えないときにも、食事の前やトイレのあとに手を清潔にできるよう、持ち出し袋と普段のバッグに入れておきます。
なお、先ほどの口腔ケアのQ&Aでは、手指消毒用の製品は、アルコールや洗浄の成分を含むため、口の中には使えないものが多いとされています。手に使う物と、口に使う物は分けて用意します。
普段のバッグに入れておく物
外出中や勤務中に被災すると、すぐに家に帰れないことがあります。東京都の資料では、常に持ち歩いておきたい物の例として、次のような物が挙げられています。
- 携帯充電器(モバイルバッテリー)
- 本人確認書類、現金
- 常備薬・おくすり手帳、ばんそうこう、目薬
- マスク、ウェットティッシュ、生理用品、大判のハンカチ
- 携帯用トイレ、防犯ブザーや笛、ヘッドライト
- 飴などのお菓子、ゼリー飲料
- 筆記用具・メモ帳、レジ袋
すべてを持ち歩く必要はありません。同じ資料では、ポーチやジッパー付きのポリ袋などにまとめておく方法が紹介されています。バッグを替えるときも、ポーチごと移せば入れ忘れを防げます。
置き場所は、玄関か寝室
持ち出し袋は、置いた場所からすぐ手に取れなければ役に立ちません。玄関と寝室とでは、置き方の注意が少しずつ違います。
すぐに持ち出せる場所に置く
徳島県立防災センターの資料では、持ち出し袋は、玄関や寝室など、すぐに持ち出せる場所に置くよう勧めています。東京消防庁も、目の付きやすい所に保管するよう呼びかけています。
一人暮らしの部屋なら、玄関の近くに置くと、外へ出るときにそのまま背負えます。夜に地震が起きたときを考えて、寝室に置く人もいます。クローゼットの奥や、物を積んだ下にしまうと、いざというときに取り出せません。
寝室の手の届く所には、ライトとスリッパ
首相官邸のページでは、寝室には、できるだけ家具を置かないこと、置く場合も倒れたときに出入り口をふさがないようにすることを呼びかけています。そのうえで、手の届く所には、懐中電灯やスリッパ、ホイッスルを備えておきます。
夜中の地震では、部屋が暗く、床に割れた物が散らばっていることがあります。枕元のライトとスリッパは、持ち出し袋とは別にしておくと、すぐに使えます。

玄関に物を置くときは、通り道をふさがないことも大切です。倒れにくい置き方と、玄関の物の減らし方は、次の記事で紹介しています。

点検は、年に2回
詰めた中身は、食品の期限や電池の残りが、時間とともに変わっていきます。見直す時期を先に決めておけば、忘れずに済みます。
春と秋に見直す
持ち出し袋は、用意したあとも中身を見直します。徳島県立防災センターの資料では、季節で変わる衣類などを入れ替えるため、春と秋の年2回の点検をすすめています。千葉市の資料でも、定期的に点検し、食品や水の賞味期限が近い物から入れ替えるとしています。
点検のときに見るのは、次の点です。
- 食品と水の賞味期限
- 薬や電池の使用期限
- 季節に合った衣類が入っているか(夏は汗をふく物、冬は防寒の物)
- モバイルバッテリーや充電式のライトの残量
- ライトやラジオが実際に点くか、聞こえるか
日にちを決めておくと忘れにくい
点検の日を決めておくと、忘れにくくなります。たとえば、防災週間(8月30日〜9月5日)や、防災とボランティア週間(1月15日〜21日)に合わせる方法があります。
この期間と毎月1日・15日などには、災害用伝言ダイヤル(171)を試しに使うことができます(首相官邸のページによる)。持ち出し袋の点検とあわせて、家族や実家との連絡の取り方も確かめておくと、いざというときにあわてずに済みます。
まとめ
持ち出し袋の中身は首相官邸のチェックリストが目安になりますが、全部を入れなくてかまいません。背負って歩ける重さに収めて、玄関か寝室に置き、春と秋に見直す。日中は外にいる人は、携帯トイレやモバイルバッテリーを普段のバッグにも分けておきます。
今夜のうちに、家にあるライトとモバイルバッテリー、常備薬を玄関の近くに集めてください。チェックリストと見比べて足りない物を紙に書き出せば、それがそのまま買い物のメモになります。

