毎月それなりに節約しているつもりなのに、月末になると思ったほどお金が残っていない。かといって、自分の生活費が多いのか少ないのか、比べる相手もいない。一人暮らしをしていると、そんなもやもやを感じることがあるかもしれません。これから一人暮らしや二人暮らしを始める人なら、「毎月いくらかかるのか」が気になっているところでしょう。
生活費の平均は、総務省の「家計調査」という統計で、費目ごとに分かります。ただし、平均の数字には、持ち家の人や、年齢の高い人も含まれています。そのまま自分の家計と比べると、「家賃だけ平均の倍もある」と、必要以上に不安になることもあります。
数字の見方が分かれば、平均は「自分の家計のどこを見直せばよいか」を探す、ちょうどよい物差しになります。では、働いている一人暮らしの平均は、実際にいくらなのでしょうか。
※この記事の数字は、総務省統計局「家計調査」の2025年の結果(2026年10月時点で最新の年の平均)です。
一人暮らしの生活費の平均は、月に約19万円
約19万円という数字は、働いている一人暮らしの平均です。税金が入っていないことや、年齢・住まいで平均が変わることを知っておくと、自分と比べたときの見当違いが減ります。
働いている一人暮らしの、費目ごとの平均
総務省の「家計調査」(2025年)によると、一人暮らしで、会社などに勤めている人(単身世帯のうち勤労者世帯。平均年齢43.3歳)の1か月の生活費は、平均191,523円でした。家計調査では、この生活費のことを「消費支出」と呼びます。
| 費目 | 1か月の平均 | 生活費に占める割合 |
|---|---|---|
| 生活費の合計(消費支出) | 191,523円 | 100% |
| 食料 | 45,787円 | 23.9% |
| 住居(家賃など) | 30,327円 | 15.8% |
| 光熱・水道 | 11,222円 | 5.9% |
| 家具・家事用品 | 5,851円 | 3.1% |
| 被服及び履物 | 5,972円 | 3.1% |
| 保健医療 | 8,433円 | 4.4% |
| 交通・通信 | 23,210円 | 12.1% |
| 教育 | 69円 | 0.0% |
| 教養娯楽 | 24,187円 | 12.6% |
| その他(交際費・理美容など) | 36,465円 | 19.0% |
出典: 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 2025年」。単身世帯のうち勤労者世帯の1か月平均。

いちばん多いのは食料で、生活費のおよそ4分の1です。食料のうち外食は13,817円でした。次に多いのは「その他の消費支出」で、ここには交際費(15,248円)や、理美容・身の回り品などの諸雑費(16,914円)が入っています。
交通・通信のうち、スマホやインターネットの通信は6,943円、電車やバスなどの交通は6,561円、車にかかる費用は9,706円でした。
税金と社会保険料は、生活費とは別
家計調査の「消費支出」には、税金や社会保険料は入っていません。統計局は、税金や社会保険料を「非消費支出」として分けています。
働いている一人暮らしの平均では、収入(実収入)が386,791円、税金や社会保険料などが72,643円、それを引いた手取り(可処分所得)が314,148円でした。生活費の191,523円は、この手取りから出ていく金額です。
給与明細の「総支給額」と比べると、生活費が少なく見えます。自分の家計と比べるときは、手取りの金額から考えると、ずれが出にくくなります。
年齢や住まいで、平均は変わる
同じ一人暮らしでも、どの人たちの平均かで、数字は変わります。
| 一人暮らしの区分 | 1か月の生活費 | 平均年齢 |
|---|---|---|
| 一人暮らし全体(働いていない人も含む) | 173,042円 | 58.6歳 |
| 働いている人 | 191,523円 | 43.3歳 |
| 働いている人のうち、34歳以下 | 179,225円 | 27.2歳 |
| 働いている人のうち、35〜59歳 | 205,690円 | 50.2歳 |
| 民間の賃貸住宅(民営借家)に住む人 | 191,453円 | 45.3歳 |
出典: 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯 2025年」第1表・第2表・第8表。民営借家は、働いていない人も含む。
ニュースなどで見かける「一人暮らしの生活費は約17万円」という数字は、いちばん上の、一人暮らし全体の平均です。平均年齢が58.6歳と高く、年金で暮らす人や、持ち家に住む人が多く含まれています。働いている人の暮らしと比べるなら、勤労者世帯の数字のほうが近くなります。
34歳以下の働いている一人暮らしでは、家賃地代が34,148円、外食が17,996円で、どちらも勤労者世帯の平均より多くなっています。一方で、光熱・水道は8,147円と少なめでした。
二人暮らし・共働きの生活費の平均
二人で暮らすと、生活費はどのくらい増えるのか。一人暮らしの約1.7倍という計算と、そのまま比べられない理由の両方が手がかりになります。
二人暮らしは約32万円、共働きの二人暮らしは約34万円
二人暮らしの平均は、家計調査の「二人以上の世帯」のうち、世帯の人数が2人の世帯で見られます。ここでは、世帯主が会社などに勤めている、2人の勤労者世帯の数字を使います。2025年の平均は、317,202円でした。
夫婦が共働きで、働いているのが夫婦の2人だけの「夫婦のみの世帯」の平均もあり、こちらは339,993円でした。
| 費目 | 一人暮らし(働いている) | 二人暮らし(2人の勤労者世帯) | 共働きの二人暮らし(夫婦のみ) |
|---|---|---|---|
| 生活費の合計 | 191,523円 | 317,202円 | 339,993円 |
| 食料 | 45,787円 | 81,537円 | 84,517円 |
| 住居 | 30,327円 | 24,427円 | 25,425円 |
| 光熱・水道 | 11,222円 | 21,715円 | 21,818円 |
| 交通・通信 | 23,210円 | 56,324円 | 65,359円 |
| うち車の費用 | 9,706円 | 37,866円 | 45,004円 |
| 教養娯楽 | 24,187円 | 32,128円 | 32,891円 |
| 世帯主の平均年齢 | 43.3歳 | 57.3歳 | 55.1歳 |
| 持ち家の割合 | 34.1% | 78.3% | 76.9% |
出典: 総務省統計局「家計調査 家計収支編」2025年。単身世帯のうち勤労者世帯(第1表)、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の世帯人員2人(第3-1表)、二人以上の世帯のうち勤労者世帯で、夫婦共働き・有業者は夫婦のみの、夫婦のみの世帯(第3-11表)。

共働きの夫婦のみの世帯では、収入(実収入)が679,756円、手取り(可処分所得)が547,442円でした。
二人になっても、2倍にはならない
二人暮らしの生活費は、計算上、一人暮らしの約1.7倍です。家賃や光熱費、通信の一部などは、二人で分け合えるためと考えられます。
ただし、この表をそのまま比べられない点もあります。二人暮らしの平均は、世帯主の年齢が55〜57歳と高めで、持ち家の世帯が8割近くあります。そのため、住居費は一人暮らしより低く出ています。また、車を持つ世帯が多いと考えられ、車の費用が一人暮らしの4〜5倍ほど(計算上)になっています。
統計局も、家計調査の二人以上の世帯は、国勢調査と比べると、世帯主が60歳代・70歳以上の世帯が多く、30歳代以下が少ないと説明しています。20〜30代で賃貸に住む二人暮らしなら、住居費はこの平均より多く、車の費用は少なくなりやすいでしょう。
平均と比べる前に知っておきたいこと
統計局は、家計調査の結果を見るときの注意点を説明しています。自分の家計と比べる前に、次の4つを知っておくと、数字に振り回されにくくなります。
住居費は、持ち家の人を含めた平均
統計局によると、家計調査の結果は、その品目を買わなかった(支払わなかった)世帯も含めた、すべての世帯の平均の金額です。家賃も同じで、持ち家に住んでいて、家賃を払っていない世帯も含めた平均になっています。
働いている一人暮らしで、家賃・地代を払っている世帯は56.3%です。残りは、主に持ち家の人です(持ち家の割合は34.1%)。そのため、住居費の平均(30,327円)は、賃貸に住む人の感覚より低く出ます。
民間の賃貸住宅(民営借家)に住む一人暮らしに限ると、家賃地代の平均は49,831円でした。賃貸に住んでいる人は、住居費はこちらの数字と比べるほうが実態に近くなります。
同じ考え方で、車の費用やペットの費用なども、持っていない人を含めた平均です。自分に関係のある費目ほど、平均より多くなるのは自然なことです。
学生の一人暮らしは含まれていない
家計調査は、学生の一人暮らしを調べる対象に含めていません。仕送りで暮らす大学生などの生活費は、この平均とは別のものと考えてください。
光熱・水道費は、払った月に記録される
家計調査では、電気代や水道代は、使った月ではなく、実際に払った日(口座振替なら引き落としの日)に記録されます。上下水道は、一般に2か月に1度の検針です。
自分の光熱・水道費も、1か月分だけで比べると、ずれが出ます。季節による差も大きいので、何か月か分を足して、1か月あたりに直してから比べましょう。
人数の少ない区分は、数字がゆれやすい
家計調査は、全国から選んだ世帯を調べる標本調査です。統計局は、調べた世帯の少ない区分や、たまにしか買わない品目の数字は、ゆれ(標本誤差)が大きくなりがちだと説明しています。
たとえば、34歳以下の働いている一人暮らしの数字は、集計した世帯が65世帯です。こうした数字は、おおまかな目安として見るのがよいでしょう。
自分の家計と比べる手順
平均との比べ方しだいで、見直す費目の見つかり方は変わります。出発点は、自分の支出を同じ費目にそろえ、自分に近い区分の平均を選ぶこと。
1. 1〜3か月分の支出を、費目ごとに書き出す
銀行口座の引き落とし、クレジットカードの明細、レシートやキャッシュレス決済の履歴から、1〜3か月分の支出を集めます。年払いの保険料やサブスクは12で割り、1か月あたりにします。
分け方を上の表と同じ費目にそろえておけば、そのまま横に並べて比べられます。細かく分けにくいものは、「その他」にまとめて構いません。
2. 自分に近い平均を選ぶ
一人暮らしで働いているなら、勤労者世帯の数字。20〜30代なら、34歳以下の数字。賃貸に住んでいるなら、住居費は民営借家の数字。このように、自分に近い平均を選んで比べます。
3. 金額と割合の両方を見る
金額だけでなく、生活費の合計に占める割合も見てみましょう。たとえば、手取りが平均より少ない人は、どの費目も金額は平均より少なくなりやすいので、割合で見たほうが、偏りに気づきやすくなります。
4. 平均より多い費目に、印を付ける
平均より多い費目が見つかったら、印を付けておきます。ただし、平均より多いからといって、すぐに減らすべきとは限りません。車がないと暮らせない地域に住んでいる、趣味にお金を使うと決めている、という人もいます。印を付けた費目の中から、「減らしても暮らしの満足度が下がりにくいもの」を探すのが、次の見直しの段階です。
平均と比べたあとに、見直す順番
統計局は、支出の項目を「基礎的支出」(必需品的なもの。家賃や電気代、米や野菜など)と、「選択的支出」(ぜいたく品的なもの。宿泊料やケーキなど)に分けています。見直しも、毎月必ず出ていく基礎的な支出のうち、一度決めればよい契約から始め、使い方で変わる支出へ進むと、我慢が少なく続けやすくなります。

1. 毎月決まって出るもの(家賃・スマホ・保険・サブスク)
家賃、スマホ代、保険料、サブスクのように、毎月同じ金額が出ていくものは、一度見直せば、その効果が毎月続きます。働いている一人暮らしの平均では、住居と通信だけで37,270円(計算上)あり、生活費の2割ほどです。
スマホの料金プランは、まず、データの使用量に合っているかを確かめます。
固定費を見直す順番や、乗り換えのときの注意点は、次の記事で紹介しています。

2. 食費(外食と、弁当・総菜)
食費は生活費の中でいちばん大きい費目です。働いている一人暮らしの平均では、外食が13,817円、弁当・総菜などの調理食品が8,662円で、合わせると食費の半分近くになります。毎日の食事を全部自炊に変えるより、外食の回数や、ついで買いを見直すほうが続けやすいでしょう。
食費は、無理なく減らせる順番を次の記事にまとめています。

3. 光熱・水道(季節で変わる)
光熱・水道は、冬や夏に増えやすい費目です。電気やガスの料金プラン、契約している会社が今の暮らしに合っているかを確かめたうえで、使い方を見直します。
冬に増えやすい電気代の見直し方は、次の記事で紹介しています。

4. 交際費・娯楽は、減らすより上限を決める
交際費や教養娯楽(趣味、旅行、動画配信など)は、使い方しだいで増えも減りもする支出です。働いている一人暮らしの平均では、教養娯楽が24,187円、交際費が15,248円でした。
この費目は、減らしすぎると暮らしの楽しみがなくなり、節約そのものが続かなくなりがちです。「1か月に使うのはここまで」と上限を決めておき、その範囲なら気持ちよく使う、というほうが長続きします。
二人暮らしは、共通の費用から決める
二人暮らしや共働きの家庭では、家賃・光熱費・食費のような二人で使う費用と、それぞれのスマホ代やこづかいのような一人ずつの費用を、分けて書き出すと話し合いやすくなります。まずは共通の費用の合計を出し、どう分担するかを決めておくと、どちらか一方に負担が偏りにくくなります。
まとめ
働いている一人暮らしの生活費の平均は、月191,523円(家計調査、2025年)でした。ただし、住居費は持ち家の人も含めた平均です。賃貸に住んでいるなら、民営借家の家賃地代49,831円と比べたほうが、自分の暮らしに近い比べ方になります。
平均より多い費目があっても、それが自分にとって大事な支出なら、削らなくて構いません。見直す候補が2つ残って順番を決められないときは、一度見直せば効果が毎月続く、家賃や通信のような決まって出ていくほうを先にします。

