一人暮らしの部屋は、ワンルームや1Kのように収納スペースが限られていることが多く、気づけば床や机の上に物があふれてしまいます。「収納グッズを買えば片付くはず」と買い足しても、グッズそのものが場所を取って、かえって部屋が狭くなる、ということも起こります。
実は、狭い部屋が片付くかどうかの分かれ目は、収納グッズを選ぶ前の「順番」にあります。
それにしても、なぜ一人暮らしの部屋には、これほど物があふれやすいのでしょうか。
一人暮らしの部屋が散らかりやすい理由
一人暮らしの部屋が散らかりやすいのには、いくつか共通する理由があります。
- 収納スペースそのものが少ない: ワンルームや1Kでは、クローゼットが1か所だけ、キッチンの収納はシンク下だけ、という間取りも珍しくありません
- 生活のすべてを1部屋で行う: 寝る・食べる・くつろぐ・仕事をする・服を着替えるといった動作が同じ空間に集まるため、使う物も1部屋に集中します
- 物の定位置が決まっていない: 引っ越しのときに「とりあえず空いている場所」に物を入れたまま、置き場所が決まらずに暮らしていると、使った物を戻す場所がなく、出しっぱなしになりがちです
- 床に一度置くと、そこが置き場になる: 床に物を1つ置くと、「ここに置いてもいい」という感覚になり、物が物を呼ぶように増えていきます
逆にいえば、物の量を部屋に合わせ、定位置を決め、床に物を置かない仕組みをつくれば、狭い部屋でも散らかりにくくなります。
収納グッズを買う前にやること
収納で失敗しないためには、次の4つの順番で進めるのがおすすめです。
1. 持ち物を減らす(使っていない物を手放す)
収納の基本は、収納する物の量を減らすことです。収納スペースが限られている以上、物の量が多すぎると、どんなに工夫してもしまいきれません。
まずは、引き出しやクローゼットの中身を一度出して、「この1年で使ったかどうか」を目安に見直します。捨てるかどうか迷う物は、「迷う物」を入れる箱を1つ用意し、しばらく使わなければ手放す、という方法もあります。使っていない物は、譲る・売る・処分するといった方法で手放すと、収納に余裕が生まれます。
ただし、物をとにかく減らすことが目的ではありません。物が少ない暮らしが合う人もいれば、趣味の物に囲まれて暮らしたい人もいます。大切なのは、自分が実際に使っている物を見極めて、使っていない物に収納スペースを取られないようにすることです。
2. 使う頻度で分ける
残した物は、「毎日使う物」「週に数回使う物」「季節や行事のときだけ使う物」のように、使う頻度で分けます。この分け方が、次の「どこに置くか」を決める基準になります。
3. 定位置を決める
物ごとに「ここに戻す」という定位置を決めます。定位置は、その物を使う場所の近くにするのが基本です。例えば、鍵は玄関、爪切りやはさみはよく座る場所の近く、といった具合です。使う場所と置き場所が離れていると、戻すのが面倒になって出しっぱなしになりやすくなります。
4. 置き場所のサイズを測る
収納グッズを買うのは、ここまで済ませてからです。置きたい場所の幅・奥行き・高さを測り、扉の開け閉めや引き出しを引く分の余裕も確認してから選びます。サイズを測らずに買うと、「入らなかった」「扉にぶつかる」「思ったより大きくて部屋が狭くなった」といった失敗につながりやすくなります。

収納の基本ルール
物の量と定位置が決まったら、次は置き方です。床を空ける、縦に使う、高さを使う頻度に合わせる、見せるか隠すかを分ける、の4つは、玄関でもクローゼットでも同じように当てはまります。
床に物を置かない
床に物が置かれていると、部屋が狭く見えるうえに、掃除もしにくくなります。床はできるだけ「何も置かない場所」にして、物は棚・収納ケース・フックなどに収めるのが基本です。バッグや脱いだ服など、つい床に置きがちな物ほど、先に置き場所を決めておきましょう。
縦の空間を使う
一人暮らしの部屋は床面積が限られているため、横に広げるのではなく、縦に空間を使うのがポイントです。背の高い棚や、突っ張り式のラック、壁面のフックなどを使うと、床面積を増やさずに収納量を増やせます。ただし、背の高い家具は地震のときに倒れるおそれがあるため、転倒防止の対策もあわせて考えておく必要があります。
使う頻度と高さを合わせる
同じ収納スペースでも、高さによって出し入れのしやすさが大きく変わります。次の図のように、使う頻度に合わせて置く高さを決めると、出し入れがラクになり、元に戻す習慣もつきやすくなります。

- 目線から腰の高さ: いちばん出し入れしやすい場所です。毎日使う物を置きます
- 目線より上: 手を伸ばさないと届かないので、季節の物やストックなど、たまにしか使わない軽い物を置きます
- 腰より下: かがむ必要があるので、使う頻度が低めの物や、重い物・かさばる物を置きます。重い物を下に置くと、家具が安定しやすくなります
見せる収納と隠す収納を使い分ける
よく使う物や、見た目が気に入っている物は、棚やフックに出しておく「見せる収納」にすると、すぐ手に取れて便利です。一方、生活感が出やすい物や、細かい物は、扉付きの収納やふた付きのボックスにしまう「隠す収納」にすると、部屋がすっきり見えます。ワンルームでは部屋全体が一度に目に入るため、隠す収納を多めにすると落ち着いた印象になりやすくなります。背の高い家具を入り口から見て奥や壁際にまとめたり、家具の色をそろえたりするのも、すっきり見せる方法としてよく挙げられます。
場所別の収納アイデア
同じ部屋の中でも、玄関は小物、キッチンはすき間、浴室は湿気と、場所ごとに困りごとが違います。いま物があふれている場所の節から読むと、手をつける所が決まります。
玄関
玄関は、靴・傘・鍵など外出に使う物が集まる場所です。
- 靴は履く頻度で分ける: よく履く靴は下駄箱の取り出しやすい段に、冠婚葬祭用の靴などは上段にしまいます。玄関の床(たたき)に出しておく靴は、毎日履く1〜2足までにすると、玄関が広く使えます
- 鍵や印鑑は定位置を決める: 外出前に探し物をしないよう、小さなトレーやフックに「ここに置く」と決めておきます
- 扉の内側を使う: 玄関ドアや下駄箱の扉の内側に、フックやポケットを付けると、マスクや折りたたみ傘などの小物を掛けられます。玄関ドアが鉄製なら、マグネット式のフックが使える場合もあります
山崎実業の RIN のキーフックは、鍵を掛けるフックが5つと、ハガキや印鑑を入れておけるホルダーが一緒になった物です。付け方はマグネットのほか、付属の木ネジで壁に留める方法も選べます。耐荷重は約900gです。
キッチン
一人暮らしのキッチンは、作業スペースも収納も小さいことが多い場所です。
- シンク下は高さを分けて使う: シンク下は奥行きがあるものの、排水管があって使いにくい場所です。排水管をよけて置ける棚や、コの字型のラックで上下の段を分けると、鍋やフライパン、洗剤のストックを整理しやすくなります
- コンロまわりに出しておく物を絞る: 毎日使う調味料や調理器具だけを手の届く場所に置き、ほかは収納にしまうと、作業スペースが広く使えて掃除もしやすくなります
- 冷蔵庫の上や横のすき間を使う: 冷蔵庫の上にラックを置いたり、冷蔵庫と壁の間のすき間に細いワゴンを置いたりすると、食品のストックやラップ類の置き場が増えます。ただし、冷蔵庫は種類によって側面や上から熱を逃がしているため、取扱説明書で必要なすき間や、側面に物を付けてよいかを確認してから使いましょう
アイリスオーヤマの USD-2V は、幅を約42〜70cmの間で伸び縮みさせられるシンク下の棚で、奥行きと高さはどちらも約39.5cmあります。棚板は2枚で、耐荷重は棚1枚あたり5kgです。シンク下の扉の内側の幅と、排水管までの高さを測ってから選ぶと、入らない失敗を防げます。
15cmほどのすき間があれば、山崎実業の tower のスリムワゴンが入ります。幅13cm・奥行き47.5cm・高さ80.5cmの3段のワゴンで、耐荷重は上段が約2kg、下段が約6kgと、下の段ほど重い物を載せられる作りになっています。
キッチンの場所ごとのしまい方は、次の記事で詳しく紹介しています。

洗面所・浴室
洗面所や浴室は、湿気がこもりやすく、物が多いとカビや水あかの原因にもなります。
- 洗濯機の上の空間を使う: 洗濯機の上に、洗濯機をまたぐタイプのラックや突っ張り棚を設置すると、タオルや洗剤の置き場になります
- 浴室は「浮かせる収納」にする: シャンプーボトルやスポンジは、床や棚に直接置かず、フックやマグネットで吊るすと、水が切れやすく、床の掃除もしやすくなります
- ストックの量を決める: 洗剤やシャンプーの詰め替えは、「ストックは各1つまで」のように持つ量を決めておくと、置き場所があふれにくくなります
ヤマソロのランドリーラック「エコー」は、天井に突っ張って洗濯機の上に棚を作る、幅約60cmのラックです。取り付けられる天井の高さは198〜260cmなので、脱衣所の天井を先に測っておきます。かごが2つ付き、耐荷重は約3kg、組み立ては自分で行います。
シャンプーなどのボトルを浴室の壁に浮かせて置きたいなら、山崎実業の tower のディスペンサーホルダーが使えます。付けられるのはマグネットが付く平らな壁で、ボトルは口のねじ込み部分の直径が約2.4〜3.2cm、容量約750mlまでが目安になります。今のボトルの口の太さを、買う前に測ってみてください。
クローゼット
一人暮らしの部屋では、衣類だけでなく、季節の家電や寝具までクローゼットに入れることが多くなります。
- 吊るす服とたたむ服を分ける: シャツやジャケットなどしわになりやすい服はハンガーに掛け、Tシャツやニットなどはたたんで収納ケースにしまいます
- 丈の短い服の下を使う: ハンガーに掛けた服のうち、丈の短い服をまとめて片側に寄せると、その下に収納ケースを置くスペースが生まれます。収納ケースを買う前に、服の下からクローゼットの床までの高さを測っておきましょう
- ハンガーをそろえる: ハンガーの形や厚みをそろえると、服の並びが整って見え、同じ幅により多くの服を掛けやすくなります
- 季節外の物は上段や奥へ: 季節外の衣類や寝具は、クローゼットの上段や奥にまとめ、季節が変わったら入れ替えます
MAWA のエコノミック 40P は、肩幅約40.5cm・厚さ約1cmの、表面に滑り止めのコーティングをしたハンガーで、20本で1セットです。天然皮革や合皮の服は、色が移るおそれがあるため、このハンガーには向きません。
クローゼットの中の分け方や、湿気・虫食いを防ぐしまい方は、次の記事で詳しく紹介しています。

ベッドまわり
ベッドを置く一人暮らしの部屋では、ベッド下が大きな収納スペースになります。
- ベッド下はキャスター付きの収納ケースで: キャスター付きのケースなら、奥の物も引き出しやすくなります。ベッドの下の高さを測り、ケースが入るかを確認してから選びましょう
- 湿気に気をつける: ベッド下や壁際はほこりや湿気がたまりやすい場所です。ときどきケースを出して掃除や換気をすると、カビを防ぎやすくなります
- 枕元の小物は小さなトレーにまとめる: スマートフォンの充電器やメガネ、リモコンなどは、枕元の小さな棚やトレーにまとめておくと、ベッドの上に物が散らばりにくくなります
JEJアステージのベッド下収納ボックスは、キャスターとふたが付いたケースです。大きさは幅39cm・奥行き80cm・高さ16.5cm。ふたは半分だけ開けられ、ケースどうしをつなげれば奥のケースもまとめて引き出せます。入る量の目安は、バスタオルで約9枚です。
書類・小物(ワンルームのリビング部分)
ワンルームでは、郵便物や書類、細かい日用品が机やテーブルの上にたまりがちです。
- 郵便物は届いたらその場で分ける: 郵便受けから持ち帰ったら、不要なチラシなどはすぐに処分し、保管が必要な書類だけを残します
- 保管する書類は1か所にまとめる: 契約書・保証書・公共料金の書類などは、ファイルボックス1つなど決まった場所にまとめます。紙で保管しなくてよい書類は、スマートフォンで撮影してデータで残す方法もあります
- 小物はグループごとにボックスへ: 文房具・薬・充電ケーブルなど、種類ごとに小さなボックスに分けてラベルを付けると、どこに何があるかが分かりやすくなります
郵便物をためない仕組みや、書類の保管期間の目安は、次の記事で詳しく紹介しています。

無印良品のやわらかポリエチレンケース・中は、外寸が幅25.5cm・奥行き36cm・高さ16cmの、柔らかい素材のケースです。ふたは別売りで、ふたを付ければ3段まで積み重ねられます。
賃貸で壁や突っ張り棒を使うときの注意
賃貸住宅で収納を増やそうとすると、壁にフックを付けたり、突っ張り棒を使ったりする場面が出てきます。退去時のトラブルや物の落下を防ぐには、取り付ける前に知っておきたいことがいくつかあります。
壁の穴はどこまで大丈夫?
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復は「借りた当時の状態に戻すこと」ではなく、普通に暮らしていて生じる傷みや経年による変化の修繕費用は、家賃に含まれるものとしています。そのうえで、壁や床の負担の分け方は次のとおりです。
- ポスターやカレンダーの掲示に使った画鋲・ピンの穴(下地のボードの張り替えが不要な程度のもの)は、通常の損耗と考えられ、原則として貸す側の負担
- 重い物を掛けるためにあけたくぎ穴・ネジ穴で、下地のボードの張り替えが必要な程度のものは、借りる側の負担
- 家具を置いたことによる床やカーペットのへこみ・跡は、通常の損耗として貸す側の負担
- 結露を放置して広がったカビやシミは、借りる側の負担
ただし、これはあくまでガイドラインです。賃貸借契約書に特別な取り決め(特約)がある場合は、その内容が優先されるのが原則です。壁に何かを取り付ける前に、契約書の内容を確認しておきましょう。また、同じ場所に何度も刺して穴が大きくなったり、壁一面に多数の穴があいたりすると、通常の損耗とはいえない可能性があります。
壁に穴をあけずに収納を増やしたい場合は、突っ張り式の棚やラック、はがせるタイプのフックなどを選ぶと安心です。はがせるタイプでも、壁紙の種類によっては跡が残ることがあるため、目立たない場所で試してから使いましょう。
家具は壁から少し離して置く
ガイドラインは、結露を放置して広がったカビやシミを借りる側の負担としています。収納家具やベッドを壁にぴったり付けて置くと、空気が流れにくく、結露やカビの原因になることがあります。壁から少し離して置き、ときどき換気をするのが基本です。
突っ張り棒・突っ張り棚が落ちないようにするには
突っ張り棒は、壁に穴をあけずに収納を増やせる便利なアイテムですが、取り付け方を間違えると落ちやすくなります。突っ張り棒メーカーの平安伸銅工業は、正しい取り付け方として次の点を挙げています。
- バネ式は、取り付ける幅より数センチ長く伸ばしてから付ける: 取り付け幅ぴったりに伸ばしてから付けるのは、落ちる原因になります。数センチ長く伸ばしたうえで、押し縮めながら取り付けます
- ジャッキ式は、長さ固定ネジをしっかり締めてから突っ張る: 長さを固定するネジを根元まで締めてから、グリップを回して圧力をかけます
- 石膏ボードなど強度の低い壁は避ける: 石膏ボードや化粧合板の壁は、突っ張る力で壁が反ってしまい、落下の原因になります。下地のある場所に取り付けるか、壁を補強するための専用の板などを使います
- 長さによって耐えられる重さが変わる: 突っ張り棒は、長く伸ばすほどたわみやすくなり、耐えられる重さ(耐荷重)が小さくなります。製品に表示されている、使う長さでの耐荷重を確認しましょう
重い物を載せる場合や、頭より高い位置に取り付ける場合は、特に注意が必要です。取り付けたあとも、ときどき緩みがないか確認しておくと、落ちる前に気づけます。

超強力伸縮ラック ワイド S は、取り付け幅68〜104cm・奥行き35.5cmの、メッシュの棚が付いた突っ張り棚です。耐荷重は68cmで付けたときに約55kg、104cmいっぱいに伸ばすと約25kgになります。104cmより広い場所には、M(93.5〜152cm)や L(119〜200cm)のサイズがあります。
散らかりにくい状態を続けるコツ
一度片付けても、しばらくすると元に戻ってしまうことはよくあります。散らかりにくい状態を続けられるかどうかは、ふだんの小さな習慣で決まります。
- 使ったら定位置に戻す: 定位置が決まっていれば、戻すのは数秒で済みます。「戻すのが面倒」と感じる物は、定位置が使う場所から遠すぎないか見直しましょう
- 1つ買ったら1つ手放す: 服や食器など、つい増えやすい物は、新しく買ったら古い物を1つ手放すようにすると、物の量が一定に保たれます
- 収納の「8割」を目安にする: 収納スペースをぎゅうぎゅうに詰めると、出し入れしにくくなり、結局外に出しっぱなしになりがちです。少し余裕を残しておくと、新しい物が増えたときにも対応しやすくなります
- 定期的に見直す: 季節の変わり目や年末など、タイミングを決めて持ち物を見直すと、使わなくなった物がたまりにくくなります
まとめ
収納グッズは、持ち物を減らし、使う頻度で分け、定位置を決め、置き場所を測ってから買う。この順番を守るだけで、買い足す物を絞り込みやすくなります。
手をつけるなら、いま床に置いてある物から。バッグや脱いだ服など、床にある物の行き先を1つずつ決めていけば、「一度置いた所がそのまま置き場になる」流れを止められます。

