玄関のたたきに、靴が何足も出たままになっている。靴箱はもういっぱいで、新しく買った靴の置き場がない。帰ってきてドアを開けるたびに、その様子が目に入る。玄関は、家の中でも狭い場所なのに、毎日かならず通る場所です。
賃貸の部屋では、靴箱を大きくしたり、壁に棚を付けたりすることはできません。けれども、靴の数と置き場所の関係を一度整えると、同じ広さの玄関でも、出しっぱなしの靴は減らしやすくなります。
収納グッズを探す前に、済ませておきたいことがあります。そもそも、靴はなぜたたきに残ってしまうのでしょうか。
玄関が散らかる3つの理由
たたきに靴が残るのには、靴の数、戻す場所、靴ではない物という3つの原因があります。自分の玄関がどれに当てはまるか、思い浮かべながら読んでみてください。
靴の数が、靴箱に入る数を超えている
まず考えられるのは、単純に、靴が靴箱より多いことです。靴箱に入らない靴は、たたきに並ぶしかありません。この状態では、どんなにきれいに並べても、片付いた玄関にはなりません。
脱いだ靴の「帰る場所」が決まっていない
靴箱に空きがあっても、どの靴をどこに戻すかが決まっていないと、脱いだ靴はそのままになります。毎日履く靴ほど、しまうのが面倒に感じられ、たたきに残ります。
靴ではない物が、場所を取っている
傘、宅配の段ボール、資源ごみ、子どもの外遊びの道具、買い置きの日用品。玄関は、「とりあえず」の物が集まりやすい場所です。靴箱の中にも、古い靴の空き箱や、使っていない靴の手入れの道具が入っていることがあります。
片付けは「数える → 分ける → しまう」の順番で
玄関の片付けは、次の3つの順番で進めます。

ラックやケースを先に買ってしまうと、靴の数に合わず、かえって物が増えることがあります。買う物を決めるのは、3つ目の「しまう」の段階になってからです。
1. 数える: 靴を全部出す
最初の段階で知りたいのは、靴が全部で何足あるかです。数が分かれば、靴箱に入る数とくらべて、どれだけ減らすかを決められます。
持っている靴を、1か所に並べる
靴箱の中の靴、たたきの靴、クローゼットや箱の中にしまった靴を、全部出して並べます。新聞紙やレジャーシートを敷くと、床が汚れません。
並べたら、足数を数えます。思っていたより多い、と感じるかもしれません。数を知ることが、片付けの出発点になります。
履いていない靴を見分ける
並べた靴を1足ずつ手に取り、次の4つを自分に聞いてみます。
- この1年の間に、履いたか
- 足に合っているか(痛くなる、かかとが浮く靴は、履かなくなります)
- 底がすり減っていたり、はがれかけたりしていないか
- 同じ役目の靴が、ほかにないか
手放すかどうか迷う靴は、無理に決めなくてかまいません。袋や箱にまとめて、靴箱ではない場所に置いておきます。次の季節まで一度も取り出さなかったら、それが答えです。
冠婚葬祭で履く靴や、長靴のように、出番は少なくても必要な靴は、「履いていない靴」には数えません。
2. 分ける: 履く回数で3つに
残すと決めた靴を、履く回数で3つに分けます。
- 毎日履く靴: 通勤や通学、ふだんの外出で履く靴
- ときどき履く靴: 休日に履く靴、運動靴、雨の日の靴、冠婚葬祭の靴
- 季節の外の靴: 夏のサンダル、冬のブーツなど、今の季節には履かない靴
この3つは、しまう場所を変えます。全部を同じ靴箱に入れようとするから、入りきらなくなるのです。
3. しまう: 場所を決める
分けた靴の置き場所は、たたき、靴箱の中の高さ、靴箱の外の3か所で決めていきます。
たたきに出すのは、1人1足
たたきに出しておく靴は、「1人につき1足」を目安にします。明日も履く靴だけを残し、ほかは靴箱に戻します。
一人暮らしなら1足、二人暮らしなら2足です。この数が決まっていると、帰ってきたときに、どの靴をしまえばよいかで迷いません。
靴箱に入る数を確かめる
靴箱に何足入るかは、靴の大きさと、棚の幅で変わります。棚の1段で試してみると、すぐに分かります。
- いちばんよく履く靴を、棚の1段に並べてみる
- 靴と靴の間に、指が1本入るくらいのすき間を残す
- 1段に並んだ数に、棚の段の数を掛ける
すき間を残すのには、理由があります。靴の情報を発信しているABC-MARTのサイトは、靴箱いっぱいに靴をしまうと、空気の流れが悪くなり、湿気が抜けにくくなって、カビが繁殖しやすくなると説明しています。靴箱に入る数は、ぎっしり詰めた数ではなく、すき間を残した数で考えます。
靴箱の中は、履く回数で高さを決める
どの靴をどの段に置くかは、出番の多さと、靴の重さや背の高さで決まります。
- 取り出しやすい高さ(腰から目の高さ): 毎日履く靴、ときどき履く靴のうち、出番の多い物
- いちばん上の段: 出番の少ない靴、軽い靴
- いちばん下の段: 長靴、ブーツなどの背の高い靴、重い靴
棚板の高さを変えられる靴箱なら、靴の高さに合わせて調節します。スニーカーやパンプスのような背の低い靴の段は、棚板の間を詰めると、段を1つ増やせることがあります。
季節の外の靴は、靴箱の外へ
今の季節に履かない靴は、靴箱ではない場所にしまいます。クローゼットの上の棚や、ベッドの下などが候補です。
しまうときは、汚れを落とし、よく乾かしてからにします。中が見える箱や、写真を貼った箱に入れておくと、次の季節に探さずに済みます。
部屋全体の収納の考え方は、次の記事で紹介しています。

しまう前に、靴を乾かす
靴の収納で、見落とされやすいのが湿気です。
ABC-MARTのサイトによると、カビは、ほこりや汚れなどの栄養、高い湿度、適度な温度、空気の4つがそろうと発生します。履いた直後の靴の中には、汗の湿気がたまっています。履いた靴はすぐに靴箱へしまわず、汚れを落として、湿気を出しておきます。
防虫剤や除湿剤のメーカーであるエステーも、ぬれた靴は靴箱に入れず、まず陰干しをして、乾かしてからしまうことをすすめています。革靴やスニーカー、素足で履くサンダルやパンプスは、汗を吸いやすい靴です。
このことから、「たたきに1人1足」には、もう1つの意味があります。その日に履いた靴を、たたきで休ませて、乾かすための場所でもあるのです。次の日は別の靴を履き、乾いた靴を靴箱に戻す、という流れにすると、片付けと手入れが一度に済みます。
靴箱そのものの湿気にも、気を配ります。
- 靴箱の扉を、ときどき開けて、空気を入れ替える
- 開ける時間を取りにくいときは、靴箱の中に除湿剤を置く
- 雨の日に履いた靴は、風通しのよい所で乾かしてからしまう

エステーの備長炭ドライペット 下駄箱用は、除湿剤54gと脱臭剤41gを1つにまとめた物で、靴箱の隅に置いて使います。湿気を吸うと中の薬剤がゼリー状に変わるので、替えどきが目で見て分かります。白い吸湿面に靴クリームや防水スプレーが付くと液がしみ出す原因になるので、靴の手入れは靴箱の外で済ませます。
靴箱が小さい・ないときに使えるグッズ
数えて、分けて、それでも靴箱に入りきらない場合に、グッズを使います。買う前に、置く場所の幅・奥行き・高さを測っておきましょう。

靴を上下に重ねるホルダー
1足分の場所に、左右の靴を上下に重ねてしまう道具です。靴箱の棚の高さに余りがあるときに使えます。
- 棚の高さに収まるかを確かめる(ホルダーに靴を入れた高さを、商品の説明で見ます)
- 高さを変えられる物なら、スニーカーにもパンプスにも使いやすい
- 背の高い靴や、底の厚い靴には、使えないことがある
くつホルダー スリムは、幅8×奥行26×高さ13.5cmのポリプロピレン製のホルダーで、6個入りの日本製です。パンプスやサンダル、バレエシューズのような細身の靴に合わせた幅になっています。かかとを受けるストッパーは、本体か台紙に付いて届くので、包みと一緒に捨てないようにします。
棚の中に足す、コの字の台
棚の1段を、上下2つに分ける台です。背の低い靴やサンダル、子どもの靴に向いています。
- 棚の幅と奥行きに合う大きさを選ぶ
- 幅を伸び縮みさせられる物もある
- 棚の高さも確かめる(台の高さと、上下に置く靴の高さ)
スニーカーなら約4〜6足、かかとを引っ掛けるヒールの靴なら約6〜8足。山崎実業の LINE 伸縮シューズラックに入る目安です。スチールのラックで、幅は約38〜70cmの間で伸び縮みし、奥行きと高さはどちらも約15cm、1段あたりの耐荷重は約5kgです。
薄型のシューズラック
靴箱がない部屋や、靴箱だけでは足りないときに、たたきや玄関の壁ぎわに置く棚です。
- 奥行き: 玄関のドアの開け閉めと、人が通る幅のじゃまにならない奥行きを選びます
- 高さ: 背の高いラックは、たくさん入りますが、倒れやすくなります。置く場所については、次の章の注意を読んでください
- 形: 靴を斜めに立てかける形は、奥行きを取りません。扉やカバーの付いた形は、ほこりを防げますが、湿気がこもらないよう、ときどき開けます
簡易シューズラック(4段・5段)は、奥行きが約19cmの組み立て式の棚で、幅は約42〜75cm、高さは4段が約58cm、5段が約73cmです。1段の高さは約15cmですが、ポールを外せば段の間を広げられ、ハイカットのスニーカーやブーツも入れられます。道具を使わずに組み立てられる、樹脂のフレームと金属のポールの棚です。
中が見える靴の箱
季節の外の靴や、出番の少ない靴をしまう箱です。重ねて置けます。
- 扉の付いた物は、重ねたままで取り出せる
- しまう前に、靴をよく乾かす。箱の中に、靴用の乾燥剤を入れておくと安心
横型のクリアシューズボックスは、外寸が約36×28×22cm、内寸が約34×26×19.5cmの透明なケースで、扉は磁石で閉まります。大きいサイズの靴は、内寸の長さに収まるかを先に確かめておくとよいです。直射日光の当たる所は避けたいので、窓のそばより、ベッドの下やクローゼットの中のほうが向いています。
出入口には、倒れやすい物を置かない
玄関は、地震や火事のときに、外へ出るための通り道です。
東京消防庁は、家具の置き方について、避難の通り道や出入口の近くには、倒れたり動いたりしやすい家具類を置かないよう呼びかけています。出入口の近くに動きやすい物があると、出入口をふさいでしまうおそれがあるためです。
玄関にラックを置くときに気をつけたいのは、置く位置と、重さの振り分けです。
- 背の高いラックは、倒れたときにドアの前をふさがない位置に置く
- キャスターの付いた物は、ドアの近くに置かない
- 重い物は下の段に、軽い物は上の段に入れる
- 通るときに体が当たらない幅を残す
また、部屋の外の共用の廊下は、同じ建物に住む人みんなの通り道です。自分の部屋のドアの前であっても、靴や傘立て、ラックを置いてよいかは、建物の決まりで決められています。置く前に、入居のときの書類や、管理会社の案内を確かめましょう。迷うときは、部屋の中に置くのが安心です。
靴ではない物の置き場所
靴の場所が決まったら、玄関に集まるほかの物も見直します。
- 傘: 1人につき、長い傘1本と折りたたみ傘1本を目安にします。使わないビニール傘が、たまっていませんか。ぬれた傘は、乾かしてからしまいます
- 段ボール・資源ごみ: 出す日まで、玄関ではない場所に置く場所を決めます。玄関にしか置けないときは、たたんで、壁ぎわに立てておきます
- 外で使う物(子どもの遊び道具、レインコート、靴の手入れの道具): 1つのかごや箱にまとめます
鍵や印鑑など、玄関で使う小物をまとめる道具は、次の記事で紹介しています。

暮らし方に合わせた例
同じ3つの順番でも、靴箱があるかどうかや、何人で住んでいるかで、置き方は少し変わります。近いほうの例を、自分の玄関に当てはめてみてください。
一人暮らし(靴箱が小さい、または、ない)
靴箱が小さい部屋やない部屋では、置ける場所が限られます。たたき、棚、クローゼットのそれぞれに置く靴を、先に決めておきます。
- たたきに出すのは1足
- 靴箱、または薄型のラックに、毎日履く靴と、ときどき履く靴を入れる
- 季節の外の靴は、箱に入れて、クローゼットの上の棚へ
靴箱のない部屋では、ラックに置く靴を「今の季節に履く靴」だけに絞ると、小さなラックでも足りやすくなります。
二人暮らし・共働き
2人分の靴が1つの靴箱に入ると、場所の取り合いになりがちです。数も場所も、人ごとに分けておきます。
- たたきに出すのは、1人1足で、合わせて2足
- 靴箱の棚を、人ごとに分ける(右半分と左半分、または、上の段と下の段)
- 自分の場所に入りきらなくなったら、自分の靴を見直す
人ごとに場所を分けておくと、「どちらの靴が多いか」でもめずに済みます。
片付いた玄関を続ける3つの決まり
一度片付いた玄関も、靴を買い足したり季節が変わったりするたびに、少しずつ元に戻ろうとします。戻りやすい場面ごとに、決まりを1つずつ持っておくと迷いません。
- 1足買ったら、1足見直す: 靴箱に入る数は決まっています。新しい靴を買ったら、履いていない靴がないかを確かめます
- たたきの靴は、朝に入れ替える: 出かけるときに、今日履く靴を出し、昨日の靴を靴箱に戻します
- 衣替えと一緒に、靴も入れ替える: 季節の変わり目に、季節の外の靴と入れ替え、そのときに数を数え直します
まとめ
玄関の片付けは、収納グッズを買う前に、靴の数を知ることから始まります。たたきに出す1人1足は、その日に履いた靴を乾かす場所も兼ねています。
次の休みに靴を全部出して並べ、いつもの靴が靴箱の1段に何足入るかを数えると、減らす足数が見えてきます。

