机の下をのぞくと、電源タップと充電器が床に転がり、ケーブルが何本も絡まっている。掃除機をかけようとしても、コードを持ち上げるだけで面倒になる。在宅ワークでモニターを足したり、家族の充電器が増えたりするたびに、線は増えていきます。
壁にフックを打てば早そうでも、賃貸だと退去のときが気になります。机にネジを打つのもためらわれる。それでも、片付くかどうかを分けるのは、穴をあけられるかどうかより、電源タップの置き場所です。
片付けても、なぜ配線はすぐ元の状態に戻るのでしょうか。
デスクの配線がごちゃごちゃに戻る理由
配線が散らかる原因は、ケーブルの本数そのものより、線の「行き先」が決まっていないことにあります。
電源タップが床にある
壁のコンセントから延ばした電源タップを床に置くと、机の上の機器から床まで、ケーブルが1本ずつ下りてきます。機器が5つなら、5本の線が机の縁から垂れる形です。タップが床にある限り、何本まとめても、机と床の間に線が渡ります。
ケーブルが長すぎて、余りの行き場がない
機器に付いてくるケーブルの長さは、机の上でちょうどよい長さとは限りません。長すぎた分は床にたまり、ほかの線と絡まります。短く切るわけにもいかないので、余りをどこに置くかを決めないと、片付けてもすぐに元に戻ります。
機器を足すたびに、つなぎ方が場当たりになる
在宅ワークの机は、モニター、ノートパソコンの充電器、スマホの充電器、ルーター、デスクライトと、少しずつ機器が増えていきます。そのたびに空いている口に差すので、どの線がどの機器のものか分からなくなります。家族で使う机なら、なおさらです。
片付ける前に、たこ足とほこりを確かめる
配線を隠すと、見た目はすっきりします。一方で、タップやプラグが目に入らなくなり、ほこりや傷みに気づきにくくなります。グッズを買う前に、安全の点を先に確かめておきます。
東京消防庁によると、電気コード等を出火原因とする住宅火災は令和6年に488件あり、過去10年で最多でした。
たこ足は「口の数」ではなく「合計の電力」で見る
NITE(製品評価技術基盤機構)は、テーブルタップは差し込み口の数だけプラグを差して使える物ではない、と注意しています。タップには「合計1500Wまで」のような定格があり、つないだ機器の消費電力の合計がそれを超えないようにします。
デスクまわりの機器は、1台ずつの消費電力は大きくない物が多いです。気をつけたいのは、同じタップに電気ケトルやドライヤー、電気ストーブなどを足す場合です。NITE の資料では、ドライヤーは1200W、電子レンジも1200Wが目安として挙げられています。消費電力の大きな機器には、タップの使用を取扱説明書で禁じている物もあります。
プラグのほこりが、火事の原因になる
コンセントに差したプラグの刃と刃の間にほこりがたまり、湿気を帯びると、放電して火花が出ることがあります。これをトラッキング現象といいます(東京消防庁)。西宮市消防局は、電気製品を使っているかどうかに関係なく、プラグが差し込まれている状態なら起こる可能性がある、と書いています。
机の下や家具の裏は、一度つないだら触らない場所です。NITE も、棚の後ろのように普段意識しない場所のプラグを、こまめに掃除するよう呼びかけています。
電源コードは、束ねたまま使わない
NITE は、コードを束ねたまま使うと熱が逃げにくくなり、コードの温度が高くなると注意しています。NITE の再現実験では、定格7Aの延長コードを束ねた状態で1300Wのホットプレートを使い、約25分後に束ねた部分が180度に達して発火しました。
配線を片付けるとき、余った電源コードをくるくる巻いて縛りたくなります。タップの電源コードや、電気をたくさん使う機器のコードは、縛らずに、トレーの中でゆるく広げておくほうが安全です。
机や椅子の脚で踏まない
東京消防庁は、コードが家具等の下敷きになっていないか、折れ曲がっていないかを定期的に見るよう勧めています。NITE も、机や椅子の脚で踏んだり、足を引っ掛けたりしないよう配線に注意するよう呼びかけています。床を這うコードは、キャスター付きの椅子が何度も乗る場所を通さないようにします。
賃貸で「穴をあけない」はどこまでか
賃貸で気になるのは、退去のときに直す費用です。東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」では、壁の負担区分の一般的な例として、次のように分けています。
| 壁の穴 | 負担の例 |
|---|---|
| 画鋲・ピン等の穴(下地ボードの張り替えが要らない程度) | 通常の損耗として貸主の負担 |
| くぎ穴・ネジ穴(下地ボードの張り替えが要る程度) | 通常の使用を超えるとして借主の負担 |
これは一般的な例で、契約の特約によっては扱いが変わります。壁に何かを留めたいときは、契約書を読み、管理会社に聞いてからにします。
もう一つ見落としやすいのが、机そのものの穴です。天板の裏にネジで留めるケーブルラックもあり、たとえば山崎実業の「デスク下天板ケーブルラック」は、木ネジで3mmほどの穴があくと販売ページに書かれています。備え付けの机や、あとで手放すかもしれない机なら、ネジを使わない方法のほうが向いています。

穴をあけずに配線を留める方法は、大きく分けて3つです。
- 挟む: 天板の縁に挟むケーブルトレーで、電源タップを床から上げる
- 置く: 床に残すタップは、ふた付きのケーブルボックスに入れる
- 巻く・はさむ: 結束バンドやケーブルスリーブでまとめ、充電ケーブルはケーブルホルダーにはさむ
穴をあけずに片付ける6つの手順

1. 全部抜いて、機器とケーブルを数える
最初に、タップからプラグを全部抜きます。机の上と下にある機器を書き出し、それぞれ電源が要るか、USBで充電するだけか、LANケーブルがあるかを分けます。
抜いたついでに、プラグとタップのほこりを乾いた布で拭きます。NITE は、掃除はプラグを抜いてから乾拭きし、アルコールスプレーなどを差込口に直接かけないよう注意しています。プラグが変形したり、変色したりしていないかも、このときに見ておきます。
家族で使う机なら、プラグの根元にマスキングテープで機器の名前を書いておくと、あとで誰の線か迷いません。
2. 電源タップを床から上げる
片付けの中心になるのが、ここです。天板の縁に挟むケーブルトレーを机の奥側に付け、電源タップをその中に入れます。機器からトレーまでの線は短くなり、床に下りるのは、壁のコンセントまでの1本だけになります。
挟むタイプは、ネジを使わずに付けられるのが利点です。ただし、対応する天板の厚さが商品ごとに違います(1.5〜4cm、1〜4cmなど)。天板の下に幕板(天板を支える板)や脚、引き出しがあると、挟めないこともあります。
サンワサプライの 200-CT004BK は、天板の縁にクランプで挟んで付ける、幅約90cmのメッシュのトレーです。対応する天板の厚さは1〜4cmで、載せられる重さは全体で3kgまで。横に長い机や、2人で並んで使う机に向いています。
タップを買い替えるなら、口ごとにスイッチがあり、差込口にほこり防止のシャッターが付いた物が使いやすいです。マルチタップや延長コードは電気用品安全法の「特定電気用品」で、菱形のPSEマークが付きます(経済産業省)。表示のない電気用品は販売できないことになっているので、通販でもマークの有無を見て選びます。
口ごとのスイッチと、ほこり防止のシャッターの両方がそろうのが、SAYBOUR の4個口の電源タップです。雷ガードとPSEの表示があり、定格は合計1500Wまで。コードの長さは1m・2m・3m・5mから選べるので、壁のコンセントからトレーまでの距離に合わせて選びます。
3. 床に残るタップは、箱に入れる
ルーターの近くなど、どうしても床に置くタップは、ふた付きのケーブルボックスに入れます。掃除機をかけるときに持ち上げるのは箱1つで済み、タップの上にほこりが積もりにくくなります。
箱選びで外せないのは、通気口です。ACアダプターは使っているうちに熱を持つことがあるので、詰め込みすぎず、すき間を残しておきます。箱に入れるとプラグが見えなくなるぶん、ふたを開けて拭く日を決めておきます。
イノマタ化学のテーブルタップボックス L は、外寸が約幅39×奥行15.6×高さ12.9cmの日本製の箱で、通気口があります。長さ37cmまでのタップが入ります。内寸の高さは約10.7cmなので、大きなACアダプターをつなぐなら、ふたが閉まるかも見ておくとよいです。
4. 余った長さをまとめる
トレーにタップを移すと、機器からタップまでの距離が縮み、ケーブルの余りが目立ちます。充電ケーブルやLANケーブルの余りは、面ファスナーやシリコンの結束バンドで、ゆるくまとめます。付け外しが何度でもできる物なら、機器を入れ替えるときも切らずに済みます。
電源コードの余りは、前の章のとおり、きつく巻いて縛ったまま使わないようにします。トレーの中で大きな輪にして、ゆったり置くくらいにとどめます。
MOTTERU の sofumo は、シリコンでできたケーブルバンドです。付け外しが何度でもできるうえに、汚れたら洗えます。
5. 机から下りる線を1本にする
それでも、机の上から床やトレーへ、何本かの線が下ります。モニターとパソコンのケーブル、壁のコンセントへの電源コードなどです。これらはケーブルスリーブ(筒状のカバー)にまとめて通すと、1本の太い線に見えます。
途中から線を出し入れできる編み目のスリーブなら、機器を足したときも全部を抜かずに済みます。
長さ約3m・内径約13mmの、編み目のケーブルスリーブです。はさみで切って長さを合わせられ、編み目を広げると太めの束も通せます。
6. 机の上の充電ケーブルに、定位置を作る
スマホやイヤホンの充電ケーブルは、抜くたびに机の裏へ落ち、拾うたびに絡まります。机の縁や奥に、ケーブルをはさんでおくホルダーを付けると、先端がいつも同じ場所に残ります。
貼って使う物は、はがすときに跡が残るかどうかを確かめて選びます。机の材質によっても残り方は変わるので、目立たない所に貼って試すと確実です。
Anker の Magnetic Cable Holder は、机に貼った台に、マグネットのクリップでケーブルを留める形です。クリップが使えるのは直径3.5mm以下のケーブルで、木・金属・ガラスなどの面に貼れます。接着面は水で洗うと繰り返し使え、はがしたときに糊の跡が残りにくい作りです。
買う前に測るところ
配線グッズは、届いてから「挟めない」「タップが入らない」となりやすい物です。メジャーで次の所を測ってから注文します。

| 測る所 | 何に使うか |
|---|---|
| 天板の厚さ | 挟むタイプのトレーが付くか(商品ごとに対応する厚さが違う) |
| 天板の奥の縁の下 | 幕板・脚・引き出し・補強の枠が、挟む位置にないか |
| 電源タップの長さ | トレーの幅やボックスの内寸に、コードの根元まで収まるか |
| 壁のコンセントからトレーまでの距離 | タップのコードの長さを選ぶ |
| つなぐ機器の消費電力 | 合計がタップの定格(1400W・1500Wなど)を超えないか |
| まとめるケーブルの太さと本数 | スリーブの内径や、ホルダーが対応する太さに合うか |
天板の材質も見ておきます。ガラスの天板や、中が空洞の天板は、挟むタイプを付けられない商品があるので、商品ページの条件で確かめます。
引っ越してすぐの部屋で、何を先に買い、何を暮らしてから決めるかは、次の記事で紹介しています。

在宅ワークの机と、家族の共用デスクのこつ
モニターを足すと、線が増える
ノートパソコンに外付けのモニターを足すと、モニターの電源と映像のケーブルが加わります。パソコンの差し込み口によっては、USB-Cケーブル1本で映像と電気をまかなえる組み合わせもあり、線の数は機種選びで変わります。
共用デスクは「誰の線か」を見えるようにする
家族で使う机は、使う人ごとに充電器が増え、空いた口に差しっぱなしになりがちです。タップの口ごとにラベルを貼り、使わない人の充電器は抜いて引き出しにしまう、と決めておくと、口が足りなくなるのを防げます。
小さな子どもがいる家では、床のタップに手が届きます。差込口にシャッターの付いたタップを選び、床に置くならふた付きの箱に入れて、差込口が直接見えないようにしておきます。
机ごと動かせるようにしておく
在宅ワークの机は、模様替えや大掃除で動かすこともあります。壁のコンセントへ下りる線を1本にしておけば、プラグを1つ抜くだけで机を動かせます。動かしたあとは、コードが机や椅子の脚の下敷きになっていないかを見直します。
部屋全体の片付けを、どこから手をつけるかは、次の記事で紹介しています。

運営者の場合:6つの機器をつなぐ机を、ボックスと小物でまとめています
わたしの机には、パソコン、モニター、デスクライトのほか、スマホとiPadの充電器、外付けのHDDがつながっています。電源タップは雷よけの付いた物を使っていますが、つなぐ物が増えるうちにケーブルがまとまらなくなり、机のまわりが乱雑になっていました。見た目がよくないうえに、ほこりもたまりやすかったです。
そこで、タップをテーブルタップボックスに入れました。床に出ているのが箱ひとつになったので、見た目がすっきりして、ほこりもたまりにくくなりました。掃除もしやすくなり、足をケーブルに引っかけることもなくなりました。箱から出ているケーブルは、結束バンドとケーブルクリップでまとめています。
今ほしいと思っているのは、USBの差し込み口がたくさんある電源タップです。スマホやiPadのように、USBで充電する物が多いからです。USBの口がたくさんあれば、充電器をひとつずつ差さなくて済むので、タップのまわりがもう少しすっきりしそうです。
よくある質問
Q. 電源タップのスイッチを切っておけば、トラッキングは起きない?
A. タップのスイッチを切っても、タップ自体のプラグは壁のコンセントに差さったままです。西宮市消防局は、電気製品を使っているかどうかに関係なく、プラグが差し込まれていればトラッキングは起こりうるとしています。長く使わない機器はプラグを抜き、差したままのプラグは定期的にほこりを拭き取ります。
Q. 電源タップは、どのくらいで買い替える?
A. 東京消防庁の田園調布消防署は、日本配線システム工業会の目安として、テーブルタップは3〜5年、壁のコンセントやスイッチは10年で交換を、と案内しています。年数がたっていなくても、NITE は、プラグを差して傾けたときにぐらつく、抜けやすいといった場合は接触不良のおそれがあるとして、メーカーや販売店に相談するよう勧めています。コードの被覆のひび割れや硬くなっていないかも、ときどき見ておきたい所です。
まとめ
配線の片付けで迷ったら、床にある電源タップを机の高さへ上げられるかを考えると、ほかの道具の要不要も決まってきます。トレーにタップが収まれば、ボックスやスリーブは必要な分だけで足ります。
すっきりした机の下は、ほこりがたまっていても目に入りません。年末の大掃除や季節の変わり目など、プラグを抜いて拭く日を、片付けたその日に決めておくと続けやすくなります。

